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百英雄伝-クラファンバッカーの所感その2:このゲームを辞める理由(酷評注意)

今週のお題「名作」

初代PS時代のRPGの名作とされる、幻想水滸伝I&IIのオリジナルメンバーが再集結した精神的続編の百英雄伝のファーストインプレッション記事の第二弾にして、おそらく最後の記事となる。

現在プレイ時間12時間。

ついに拠点を構えて、たくさんの仲間を発見して、ゲームの一番キモの部分に到達したと考える。

そして、これ以上このゲームに僕の大切な人生の時間をコミットする必要はなさそうと判断した。他に遊ぶべきゲーム、やるべきことが僕にはありそうだ。完全な駄作とは思わなかったが、自分には合わなかった。

かなりの酷評になってしまうので、その点を留意されたし。

この作品が素晴らしい、傑作だと思ってる方を否定するつもりはない。

これは僕個人の感想であり、貴方にとって他人の感想だと客観的に読んでほしい。

前回記事では、名シナリオと評される幻想水滸伝I&IIから期待していたシナリオ、プロット展開が期待はずれで良くなかった点を書いた。

smoglog.hatenablog.com

シナリオ展開については、その後もツッコミどころ満載だった。

 

このシーンは、JRPGにありがちな敵の巡回ルートを隠れて進む侵入ミッション中だ。

冗談みたいだろ……これで見つかってないんだぜ?

そもそも帝国の連中、どこからやって来たんだろう。ワールドマップ眺めても、行軍ルートがさっぱりだ。

 

さて、前回はゲームプレイ時間が3時間だったため、ゲームシステムやグラフィック、UIについては触れなかった。3時間プレイの時点でも、ストレスフルな部分、残念な部分が多かったが、要素が全て解放されていないので、その時点で評価するのは尚早と感じたからだ。

今回は、前回触れなかったゲームシステムやグラフィック、UIについての所感と、最後に総評を記す。

 

グラフィックについて-HD-2Dでは非ず(公式が2.5Dと表現)

今でもメディアによっては、そのビジュアルスタイルをHD-2D風と評しているが、スクエニのオクトパストラベラー他のそれとはスタイルが違う。

個人的にHD-2Dとは、次の要件を満たすビジュアルスタイルであると考える。

  1. 被写界深度を生かしたリッチなボケ味あるミニチュア風表現
  2. ドット絵キャラクターと親和性の高いドット絵テクスチャのポリゴン背景
  3. 豊かなライティング効果とフィルター表現


www.youtube.com

 

百英雄伝が満たしている要件は、最初の「被写界深度のあるリッチなボケ味を生かしたミニチュア的表現」だけだ。

クラウドファンディング時のトレイラーは、もっとHD-2D的だったため、その後の開発でこちらのビジュアルスタイルへ舵切りされたのだろうと思う。

HD-2Dそのままだとスクエニが抗議するからなのか、技術的に再現できなかったのか。

自分はゲーミングデスクトップPCでプレイしているが、本作プレイ中はサイバーパンク2077もかくや、ってぐらいファンが唸るので、これ以上処理を重くなるのは得策ではないと判断したのかもしれない。

リリースされて、このビジュアルスタイルが安っぽく不満だった。クラウドファンディングしてなかったら購入を見送っただろう。

 

グラフィックについて-良い点

キャラクタードット絵が素晴らしい。描き込まれたアニメーションとパターン。

モンスターのグラフィックもよい。

 

ゲームプレイについて-フィールド・ダンジョン

ダンジョンが無駄に広い。行ったり来たりが苦痛だ。敵をシンボルエンカウントにしなかったのはなぜだろう? ダンジョンの広さもそれに準拠しているように感じた。ビジュアル上行き止まりに見えない行き止まりが多い。

謎解き・ギミックが用意されているのは良いと思った。

マップが最初から解放されているのは、親切だが探索しがいはない。

 

街の設計が悪い。入口の無駄なスペース。宿屋・道具屋など施設へのアクセスの悪さ。レトロゲームは、限られた容量ゆえに、街の設計が洗練されていた。

 

フィールドの詳細マップが使いにくい。アイコンだけの白地図ではわからない。無駄に広いが探索要素があまりないので、空気に近い。

詳細マップとワールドマップのアートスタイルが全然違うので、照らし合わせようがない。

 

UI設計が現代のゲームのレベルに達していない

イベントシーンスキップ(switch版はBボタン長押しで出来たとコメントいただいた。コントローラガチャガチャさせて反応なかったので早とちりしてしまったようだ)、パーティーメンバー外の一括装備変更(拠点以外では控えメンバーの装備変更できない)、一括強化(武器など)、一括回復(宿屋は編成メンバーのみ回復。控えメンバーは回復しない。宿屋が無料じゃなかったら……)など、現代のゲームとしてあって当然の便利機能がない。かゆいところに手が届かない仕様のオンパレード。

※アップデートで仕様変更あるかもしれない。

 

ルーン(必殺技や魔法、常時バフ)の付替が一部施設でしかできない。宝箱からせっかく手に入れた強力そうなルーンをその場で試せない。

 

アイテム所持制限数があるのはいいが、拠点でしか受け預けできない仕様は本当に不便だ。キャラクターカスタマイズ用にルーンを受け取り、預け忘れて遠方へ行った時の絶望よ。装備できないルーンや装備品が少ないアイテム所持欄を圧迫する。

ビジュアルはレトロでも、仕様は現代的にしてほしい。

昔のゲームの不便さ・割り切った仕様というよりは、最終調整不足、制作力不足と感じる。

 

謎の同行者システム。要するにイベント必須キャラクター以外のキャラでパーティ組むためだと思うが、控えメンバーとして入れ替えできると良かった。仲間のピンチでもただ見守るだけの同行者達。変な仕様だ。

 

バトル編-シンプルだが、オート戦闘を多用して放置ゲー化

戦闘がもっさりしている。

やたらと大仰なくせに技の威力が低いせいで、ただ演出が増長に感じる。

英雄コンボも一人ずつ攻撃した場合とダメージ大差ない。

バランス調整がいまいちに感じる。回復手段の少なさ、消費MP。

おまかせモードにするとHPが見えなくなるので、解除タイミングがわからず手遅れになる。

 

ミニゲーム-シンプルで浅い

ベーゴマ。ちゃんとレベルデザインしてほしい。そもそもベーゴマ性能ありきでゲーム性が薄い。俺より弱いヤツに会いに行く!!! で虚しい。

釣り。ボタンポチポチするだけ。虚無。

 

仲間集め-コントローラを置いた理由はこれが決め手だった

100人以上のキャラクターが登場するそうだが、登場キャラクターが多いぶん、一人ひとりに割かれるバックストーリーは薄まる。

ビックリマンシールでアレが出た、これが出たくらいの感覚だ。

美麗イラスト1枚と短いバックストーリーで色々妄想できる人向けと思った。

個人的好みとしては、少ない仲間で重厚なストーリーが味わえるほうが良かった。

キャラ参入条件も、今日日生成AIでも書かないようなテンプレイベントのオンパレードで、人が作ってるならもっとクリエイティブになってくれ、と憤慨モノだった。

仲間になったキャラクターが、イベントシーンで一言でもセリフを発するのはすごいと思った。

 

ゲームの一番の推しポイント、それが自分の嗜好と全然合わなかった。

これが本作をプレイする大きなモチベーションに繋がる要素と思うので、それが面白くないと思う自分の感性では、たとえ大型アップデートでUIが洗練されても、これ以上ゲームを続ける意味を失ってしまった。

 

総評

ユニークさに欠けるジェネリックな中世ファンタジー世界を舞台に、実に多種多様な、時に場違いなキャラクターが登場し、それが作品としての異彩となっている。

舞台設定に、もっと捻りや斬新な設定、重厚なロアが欲しかった。

キャラクターたちには、奇天烈ともいえるビジュアル、空回りとも取れる奇妙な言動のキャラもいるが、それでも一応のまとまりを感じるので、テキストライターとしての力量はあるのだろう(時々コイズミ構文みたいなトンマなセリフが出てくるが……)。

一方、ストーリーの運び、状況説明、場面転換などは無理や違和感、超展開、都合主義が目立つ。これは作り手が鈍感なのか、作り直す余裕がなかったのか、両方なのか。いずれにせよ、名シナリオと名高いタイトルの制作陣によるものとしては期待外れだった。

 

総評としては壊滅的につまらない作品ではないと思ったが、自分の好みのゲームではなかった。

良くも悪くも、JRPGが時代遅れとされ、斜陽のジャンルだったころの退屈さを残しているタイトルに思う。

このゲームは基本シンプルに作られている。バトル、ミニゲーム、仲間加入イベント。シンプルゆえに遊びやすい。そのため、やろうと思えば、このままダラダラ遊ぶことはできる。しかし、そのシンプルさには奥行きと面白みはなく、システム的不便さも相まって、過去作ファンなどの特別な思い入れがない限り、プレイし続けるモチベーションを失ってしまう。

 

 

JRPGは、技術進歩や新しいトレンド、大きな制作費をかけた海外ゲームの台頭によって、一時の勢いを失った。しかし、レトロゲームブームやインディーズ・小規模開発タイトルなどで、人気を盛り返してきたように思う。

今作は、ベテラン開発陣ということで、過去作のユーザーフィードバックや開発ノウハウが引き継がれ、洗練された作品を期待していた。

しかし完成した百英雄伝は、あの名作を手掛けたベテラン陣の精神的続編というよりは、あの名作に憧れた新興スタジオの処女作という印象だった(ある意味、実際その通りなのだが……)。

かつての幻想水滸伝ファンには刺さる作品にはなったように思うが、日本製JRPGの現時点の最高到達点とされるような完成度には、残念ながら届いていないように感じた。

 

 

 

 

 

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