※この記事はゴリゴリのネタバレ記事です
ネタバレなしの感想
ゼノブレイド3を90時間ほどでクリアしました。
サブクエストやヒーロー覚醒イベントなどは結構残っていますが、次のゲームの発売日が迫っているので、ぼちぼちやる感じで、DLCの解禁を待とうと思っています。エキスパンションパス購入済み。
本作は、ゼノブレイドシリーズ最新作で、1と2の世界が融合した世界を舞台としており、シリーズ集大成と銘打っています。
その言葉に偽りはなく、UIがゼノブレイドらしからぬ洗練ぶりをみせており、非常に遊びやすく、シリーズを初めて手にする人にとっては、最もおすすめな作品かもしれません。シリーズが現行ハードで全部遊べることからも、本作から始めて、気に入ったのなら2やDEに手を出すと良いと思いました。フィールドの各所に、前作を彷彿とする要素が出てきて、ファンサービスとなっていますが、思い入れのある人が感動する……それくらいです。一部前作キャラのその後がわかってしまいますが、個人的には前作知らなくても問題ないレベルです。僕自身、ゼノブレイドは2からDEとプレイしましたが、スターウォーズ方式で、最新作から初めて、過去作で繋がりを知るという流れも面白いと思います。
物語の発端となる若き鬼才科学者クラウスの実験からはじまったゼノブレイドのエピソードが幕とのことですが、3本編において、クラウスはまったく出てこないし、匂わせもないため、独立した話として楽しむことができます。っていうか結構謎や投げっぱなしが多くて、消化不良の部分も多いです。ゾハル的モノリス出てこなかったですね。
良い点
まず、最初に良かった点を箇条書きしましょう。ネタバレなし感想とも重複します。
UIの洗練度
過去作とくらべて、格段に UI、UXが洗練されています。まだまだ使いにくい点・説明不足な点があります(階層構造のマップ、Rスティック押し込み拡大マップが不透明で背景を透かして欲しい、アクセサリーのリストが長くて選択しにくい、インタリンクのスキルツリーの習得・未習得がわかりにくい、フィールドアクション可能なオブジェクトの説明など)が、個人的に及第点以上で、過去作のように誤操作を誘発するような、欠陥はなかったように思います。
チュートリアルが充実し、見返す機能も搭載されました。本作がゼノブレイド初めてという人にもスムーズに楽しむことができると思います。
この点は、本作最大の美点です。
サブクエストがスムーズで面白い
クエスト関連のUXは、特に完成度が高く、お使いクエストを一箇所で完結できるコレペディア、受注してクエスト発生場所が一発で移動できるショートカット、ナビゲーション機能など、スムーズに消化できるように配慮が行き届いています。
また、サブクエストはアイオニオンという特殊な世界の事情を補完するようになっていて、この世界の人々の営みを垣間見ることができます。いわゆる、ボリューム増しだけのために作られたお使いクエスト的なサブクエストは皆無です。後述しますが、サブクエストでは、主人公達があまり長々と綺麗事をポエらないため、サクッと面白いショートストーリーを楽しむことができます。
最大7人パーティー
フィールド、バトルを含めて、いわゆる控えメンバーがなく、メインキャラ6人に、助っ人キャラ一人が入り乱れます。せっかく育てたキャラが最終バトルで控えメンバーということがないので、没入感が増すし、バトルの掛け合いや、キャンプシーンで、元敵対同士が心を通わせていくことが、実感できるのが良かったです。また、色々な種族の混合チームでダイバーシティ高めなのも良かったです。
音楽
最初は、まったく聞き取れなかったんですが、プレイしていくうちに、耳になじんでいきました。2ほど自己主張が激しくなく、ふと遠景を眺めているとき、染み渡るような優しいBGMに癒やされました。シリーズ中で一番好きな感じだったかもしれません。
他にも、全体的に前作よりもブラッシュアップされて良くなった点は多いです。
ゼノブレイド3は、間違いなく良作です。
しかし、シリーズで一番好きか、ハマったか? と問われるとまったく同意できません。
過去作で僕が思っていた不満点の多くが解消されたのに……僕って文句言いたいだけレビュワーなのかな? そうは思いたくないが……。
シリーズの指標(ベンチマーク)とも言えるクオリティだが、最新作としてもっと発展してほしかった
さて、シリーズを2、DEと通してプレイしてきた自分の評価としましては……、すごく出来がいいんだけど、キレイにまとめすぎて、変化を恐れていないか?
という感じでした。
皮肉なことに、本作のテーマは、変化を恐れるな、仲間との絆を信じて未来へと進もう! というものでしたので、ちょっとゲーム内容に添ってないかな、という感じ。
この感想は、シリーズ通して遊んできての感想なので、僕が本作から遊んだら、そんなふうには感じなかったのかもしれません。
要するに、3は前作までの荒削りだった部分を洗練させた作品でした。これをシリーズ集大成とするなら、まさしくその通り。しかし、三作遊んだ自分にとっては、ちょっと飽きてきたかもな……とも感じました。
上記レビューや良い点でも書きましたが、複雑なシステムを親切丁寧にレクチャーしてくれるのは嬉しいのですが、さすがに三作目となると勝手がわかっているので、最初の方はシステムが開放されるまで、かったるく感じてしまいました。
3に足らないのは、スケール感と発展性です。
自分は遊んでいて、2のDLCのイーラ編や、DEのDLCの繋がる未来を、単純に長尺にしたような感覚を覚えました。ナンバリングタイトルとしてのリッチさ・野心が足らないと言えばいいでしょうか。
最初にスケール感について話しましょう。
本作には、1や2の舞台となった神の躯や、アルスの躯が出てきます。しかし、基本としてそれらは死んで無機物化したものであって、普通の大地と変わりません。1や2のときのような独特な世界にはなっていません。
どこかで2の5倍くらいフィールドが広いと書いていたのを覚えているのですが、プレイしていて、そんな風に感じませんでした。
オリジンが最初から人型で1のようにその体躯の上を歩けるとか、アルス化(フィールド化)した生きたセイリュウが出てきて、その上を歩けるとか、もっと1と2のダイナミックな要素を足しても良かったかもしれません。
世界は、2つの陣営に分かれて、最大10年という短い一生を捧げ戦いあうという、ハードな世界設定なので、独自文化が発達した街というものがほとんどなく、コロニーという仮設施設に人々は住んでいます。そのため、新しい拠点に行っても、代わり映えがなく、新しい場所に来たという感覚が、前作よりもないです。
この設定は、悪いものではなく、活かし方次第だったかな、と感じています。仮設の拠点なので、ストーリーの進行によってダイナミックに場所を変えることが可能でした。
シティーがストーリー上でそういう展開をしていましたが、あんな感じでコロニーがいろんな場所に移動したり、合流したりすれば、面白かったのではないでしょうか。
現行のRPGでよくあるスタイルが、メインとサブの2つのミッションを用意するものですが、ストーリー上で街や施設が破壊されることで、サブクエストが進行不能になってしまうということがあります。そのため、ストーリー展開で取り返しが付かない要素を無くすために、あまり大きくフィールドを変化させにくいというジレンマがあります。移動可能なコロニーという舞台は、これをうまく回避できたと思います。
2のアルスのように、場所ごとの建築や衣装など用意しなくても済みますし、再生されるキャラクターという設定で、キャラ数を減らせます。本作では設定上、作業工数としても減らせたと思いますので、そのぶんをどこかをリッチにして欲しかったですね。
バトル一辺倒であること。
本作には、ミニゲーム的なものは一切ありません。しょうもないミニゲームを入れるくらいならバッサリカットしてしまったほうが良いと思っていますが、本作のバトルは前作よりもシンプルでわかりやすいので、ひたすらバトルというのも飽きてしまうのです。キャラビルドも1や2と比べると単純で、こういう成長をさせていけば強くなるぞという指標が立てにくい作りなので、装備やスキル構成は基本オートで、成長の喜びが少なかったですね。
後半でゴロッとバトル要素に大きな変化や追加要素があれば楽しかったかもしれません。2のチェインアタックの属性玉の要素は、理解するのが難しかったですが、トランプのピラミッドをじっくり組み立てて、一気にここからは俺のターン!!! 的なカタルシスがありました。今作ではキャラコンボ最大4+ウロボロス最大1か、ウロボロス2回で終わるという、固定パターンしかなかったので、チェインアタックの気持ちよさはあまりなかったように思いました。
1のコロニー9復興や、2の傭兵団派遣等といった本編に関係のないボリュームあるコンテンツがない(特にその2つが面白かった訳ではないですが……)、その点でもリッチなナンバリングタイトルという感覚が沸かなかったです。
ソウルハッカーは強敵と戦うモチベーションになって面白かったです。
本作のバトル要素の目玉と言えるインタリンクですが、1の未来予測や2のブレイドチェンジを超えるアイディアかと言われると、それほど斬新で面白い要素と感じませんでした。
ストーリーとセリフについて
今作で、個人的に致命的だったのはセリフ回しです。
これは完全な好みの問題です。僕のわがまま。水が合わないってだけ。
1や2からシナリオライターが変わったのか、本当に寒いセリフのオンパレード!!!
特にマシロのヒーロークエスト、クリスの「調べ」がどうたらこうたら……もう、聞いていて自分の首を締めたくなりました。
ランツが「クリスの行動、いったいどういう意味だったんだ?」 って聞いてきて、ノアが「想い」 がうんたら言って、それでランツが理解できるのが訳わからん。「調べ」って言葉を「想い」に変えただけやん!!!
寒くて長いセリフの弊害で、ただでさえ多いカットシーンがより増長になってしまっています。上記のクリスのエピソードのように、説明になってない説明を繰り返します。そこで声優使うよりも、フィールド上やバトルでの掛け合いの声のパターンを増やして欲しかったです。
今作の主人公ノアは、最後まで好きになれなかったな……。
イケイケのときは、ポエムほざくばっかりで、なんか主人公補正でうまく行くし、窮地に立たされると黙るので、Jやシャナイアなどが荒ぶると、「いいぞ、こいつを黙らせろ!」 と声援を送りました。
設定やストーリーの流れ自体は好きでした。
メビウスと兵士達の関係って、人間が農耕や牧畜でやっていることと同じです。
生きていく以上、肉を食うな、木を切るななどとは僕は言いませんが、人として割り切れない課題だと思うんですよ。
答えがでない命題をテーマにしているのは、ゲームも結構進んでるな、って思いました。
同じ人間が何度もループして出会うという展開、ちょっとゼノギアスを彷彿としますね。
ラストシーンは、こんな風に切ない別れになってしまうのか……と、感動してうるうるしてしまいました。
ご都合主義な2のラストとは打って変わって……。
でも、これってDLCへの布石ですよね。そうであって欲しい。
エンディングだけ切り取ると、良いラストに感じましたが、全体を通すと筋が通ってないような気もします。世界が分かれてくれるなら、メビウス達が今にとどめた意味ってないですよね? 対消滅してしまうことが絶対の運命だから、メビウス(人々の想い)はそうしたんですよね? 2つの世界に別れるのなら、その意味はない……、あれ? このラストも、シナリオライターが、なんかせつねーラストにしたいというワガママなのでは? シティーの人間ってあのまま消えてしまうの? モニカやゴンドウは、それに納得できたの? 正義マンのノアはそれで良いの? サイコパスかな? 納得できる真のラスト求む!!! DLC! DLC!
サブクエストを全部消化していないのですが、わりと謎が残ってますね。
NとMというオリジナルが存在するのに、ノアやミオが生まれた理由は?
おくりびとって結局なんなの? なんとなくかっこいいからと設定した存在? もうちょっと話の根幹に関わってくれてもよいのでは?
最初のウロボロスの兵士たちが、80歳まで行きた理由がわからなかった。7人目の始祖はニアですよね。存在隠した理由はわからんが……。
あと、リクって何者なのか、女王との関係がわからなかった……サブクエストで明らかになるのかな?
レックスさんのハーレム野郎っぷりには、マジで痺れたよ。
総評
1と2の記憶消して、3を最初にやりたかった。
3に足らなかったのは、シリーズ最新作に相応しい飛躍と変化でした。
4では、この点は解消されると思うので、そこは期待したいです。
酷評しているようですが、そこまで悪い評価でもなく、ボタンの掛け違いという感じという印象です。1と2って脇目も振らず全力投球すぎて、ユーザーが遊びやすいように、と細かいところまで目が届いていない、という感じでした。今作は、手の抜けるところをちゃんと見つけて、ずいぶんスマートにゲームを作っているな、と感じました。
3については、DLCでハッピーエンドよろ!!!