プレイ時間は現在15時間程度。ネタバレは極力なしでファーストインプレッションとして記事にします。
マンボー延期につき、アウトドア遊びも自粛中。
久々にゲーム買おうかな、と物色中、テイルズシリーズ久々の新作が、評判がよかったので、Steamページを覗いてみました。
僕のテイルズシリーズ歴は、初代ファンタジアから、PS2のリバースくらいで途切れています。
コンピュータゲームの表現力が増すにつれ、JRPGはいつしか時代遅れの烙印をおされてしまいました。一時期、洋ゲー要素を取り入れようとして、中途半端な感じになったりもしましたけど、近年になってJRPGは再評価されて、一つのジャンルとしての地位を確立し、メーカー自身もコンプレックス感じずに、直球のJRPGを作るようになったようにも思います。
そのためJRPGそのものには、特に抵抗はなかったんですが、バンダイナムコというところが引っかかって、最初はあんまり乗り気ではなかったです。
レビューをみていくと、ゲームのクオリティは高いものの、DLCの部分で批判されているみたい……。やっぱりかぁ……。次のレビュー……「女の子のおっぱいがでかい」。
……ふむ……買うか(いい笑顔)。
ゲーム以前の話
ここで、製品版を買っといてよかったです。
たぶん、無料デモ版をインストールしていたら、そこで止めていたと思います。
批判にあるとおり、当初、DLC購入の導入が押し付けがましくて、ゲームに没入できなかったです。
基本プレイ無料のゲームだったら、宣伝してくるのは仕方がないのですが、あきらかに海外AAAタイトルよりも見劣りしている部分があるのに、フルプライス約9000円を支払わせといて、DLCの宣伝が目障りなほど多い。これを見て、悪感情を抱かず、買う人いるんでしょうか。願わくば、開発者がやったことではなく、数字しか見てないアホな上層部が押し付けてきた仕様だと思いたいです。
今は気持ちに折り合いがつきましたが、その時まで、セールまで待って買えばよかった、とは思ってましたし、DLC広告消すDLCか、PC版なんでMODが欲しかったです。ユーザー体験のこと考えてほしい。
さて、ゲーム以外のところの愚痴はここまでにしておいて、肝心のゲームの評価ですが、評判どおりに素晴らしい出来です。
迷いようのない一本道なシナリオ、場違いファッションの美男美女、破滅的思考の敵、都合よく道を塞ぐ人や岩、見えない壁。古き良きJRPGの要素が網羅されています。懐かしい気持ち、オープンワールドなどの海外大作ゲームに慣れた今、ちょっと新鮮な気持ちもあります。
前述のとおり、最初はところどころに見えるコストがかかってない部分が見えて、貶す気持ちもありましたが、今はJRPGはこれで良いんだよ、って気持ちが強いです。
JRPGの定義
何度もJRPGって書きましたけど、その定義ってなんでしょうか。
僕が思うに、JRPGというのは、キャラクター主導のRPGだと思います。
世界設定や、ゲームシステムよりも、まずキャラクターありきで、そこからそのキャラクターが活躍するための舞台設定を考え、バトルシステムを考える。海外のゲームでは、舞台設定やテーマが先行して、キャラクターを作るパターンが多い気がします。日本では、ワールドクリエイター(世界設定を考える人)とシナリオライターが兼任することが多いですし(むしろ区別するものという考えがないのかもしれません)。
JRPGによくある、抑圧する帝国と反抗勢力の図式って、「何番煎じだよ、そんなに自由と平等をテーマにしたいんかい」 と思いますけど、JRPGにとって重要なのは、魅力的なキャラクター活躍する場を作ることで、テンプレ設定になるのはそのためではないか、と僕は思うのです。逆説的に言うと、この部分にもう少し捻りや、テーマ性を持たせたのがペルソナシリーズの人気の秘訣ではないか、と思うのです。
最新のテイルズは、15時間程度のプレイでは、今の所、従来のテンプレ的設定です。
300年前に突如として侵攻してきた勢力により、隷属化されてしまった世界。2つの惑星の対立を主軸にするのは、初代ファンタジアから続く、テイルズシリーズの伝統とも言えますが、JRPGのよくある設定とも言えます。圧制への反発、自由と平等というのは人類普遍のテーマでもあるので、願わくば中盤以降に、深みのある展開があると嬉しいです。
やはり、テイルズオブアライズの一番のウリは、キャラクターです。
今回は、ネタバレのこともありますので、主人公とヒロインに絞っておきます。
主人公は、侵略者レナ人によって苦役にさらされるダナ人の奴隷の青年です。物語当初は、名前も記憶ももたず、その上、無痛症で、どれだけ傷を負っても痛みを感じず、人から指摘されなければ、傷の具合を見余って死ぬ可能性すらある、という状態です(この設定面白いので、ゲームでもHPが見えないとか反映されたら面白かったかも)。
記憶がないことを自覚した時点より謎の鉄仮面を被っています。鉄仮面で連想するのは、バスティーユ監獄の鉄仮面及び、それをモチーフにした映画『仮面の男』です。出自には大いなる秘密が隠されていそう。
侵略者による、ダナ人を人を人と思わない所業に怒り猛る熱血漢、それでいて物事を中立の立場から見る知性を宿す、なかなかの好青年です。ビジュアルから、もっとスカした奴を想像していたので、かなり好印象。
ヒロインは、侵略者レナ側の人間ですが、同胞に反旗を翻した裏切り者です。ただし、非人道的なレナによるダナへの行為に憤慨したのではなく、あくまで個人的な理由があるようです。個人的に聖女的ないい子ちゃんじゃないところが、人間味があって良いです。
性格は非常に苛烈で、簡単に言うと、いわゆるツンです。主人公ととある理由でパートナーとなりますが、全然仲良くないです。近年のゲームで、ここまで尖った性格のヒロインはお目見えしたことがなく、Mっ気ある僕はドキドキします(キモい)。
彼女には、「他人が接触すると激痛を与える」という呪いがかかっており、人との触れ合う機会がずっとなく、孤独に生きてきたようです。ツンツンした性格も、呪いによって傷つけないように、人を遠ざける不器用な優しさという側面があります。
彼女の体には、敵の中ボス的な奴から盗み出した超エネルギー体が同化しています。これが彼女の切札となるのですが、あまりに強すぎるため、使用者自身を傷つけてしまうのです。
他者に激痛を与える呪い、自身の目的のための手段が自身を傷つける、なかなか凝った設定ですね。見た目とかいばら姫的なモチーフなのかな。
この二人がパートナーとなるのは、まさにそれが理由となっていて、主人公は痛みを感じない体なので、ヒロインと接触できますし、その上、傷つくものの、切札も使用可能。
主人公の侵略者たちを倒して故郷を開放する、ヒロインの同胞の幹部を倒す、二人の目的も重複しているため、協力関係となるのです。
我々的には、もちろんそれは、表向きの話です。
プレイヤー的には、めっちゃかわいいのに、これまで人と接することができず、コミュ障でツンツンした女の子が、問題ある体質を物ともせずに、急接近してきた好青年に、次第に絆され、やがてトロットロのデレデレになる展開……デュフフフ(キモい)。
この二人の行末を見守るのが、一番のゲームのモチベーションとなっています。
この設定を考えた奴、天才やで!
バトルシステム
バトルシステムは、リニアモーションウンタラカンタラアーダラカタブラシステムとかそういう大仰な名前ではなくなってしまったっぽいですね。
ワンボタンで技をつないで、コンボしていくいつもの感じ、回避がすごく反応がよく、非常に爽快感のあるバトルです。ボス戦は、予想外のなかなか歯ごたえがある難易度で、スリルがあって面白いです。
派手な連携技も繰り出せて、テンポが良い。
JRPGでは、バトルがゲームの主軸となっているのは間違いなく、ここが面白くないとかかったるいとおもうと全部が台無しです。
バトルを面白く、難易度を高めているシステムが、CPという回復魔法が使える制限があることです。このゲームでは、技や攻撃魔法は、クールタイム制で、コスト消費なしに使えるため気軽に派手なバトルができます。回復魔法だけは、CPというコストを消費します。このポイントは、パーティ全体で共有します。これによって、ダンジョンアタックにも緊張感がうまれます。CPを使って攻略するシーンもあります。CPの管理は大事です。
全体的に難しいシステムはないので、UIは洗練されています。一点、CPの使用は、メニュー画面でしかできないのが惜しいです。バトル勝利後に残りCPが表示されるので、その時回復できたり、Lボタンを押すと、クエスト進行とCPが表示されるので、そこでも回復できたら便利なのにな、って思いました。
キャラ強化は、スキルツリーベースになっていて、称号が増えるたびに新しいスキルツリーが開放されます。面白いのが、称号はキャラクターの特徴や性格もベースになっていて、称号が増えるたびにキャラ属性も増えていき、どんどんキャラクターの厚みが豊かになっていきます。
スキル収得には、バトル報酬などで得るSPが必要になります。新しい技を身につけるため、SPを稼ぎたい、バトルする、新しい技を使うためバトルする。単純ですが、よく出来たループとなっています。
SPは、サブクエストの報酬ともなっています。このゲームのサブクエストは、典型的な「お使いクエスト」ですが、アイテムやお金の他に、まとまったSPが報酬として支払われるため、積極的に受けたくなります。つまらない・かさ増し・タイミング逃すと報酬が美味しくないと問題の多い「お使いクエスト」ですが、この作品はどのタイミングでも美味しい報酬を用意する、という一つの回答を見ました。
ビジュアルについて
ビジュアル面については、アニメ調グラフィックにおいて、最高峰といえる出来栄えに感じました。
モーションにロボット感、リップシンクが不自然な点など、明らかにコストかかってない部分がありますが、表情が非常に豊かで、一昔まえの整ってるけど表情筋死んでるような感じとは一線を画しています。
自由に闊歩できる範囲は狭いものの、街や自然のビジュアルも綺麗で、新しい場所へ向かうのが楽しみです。フォトモードがないのが残念でなりません。あとウルトラワイドに対応していないのも残念。
手書きアニメパートの存在価値
最後に苦言というか提案というか。
本作には、手書きアニメのカットシーンが存在します。これはかつて表現力が足りなかったゲームを補完する、プレイヤーにとってご褒美でした。
しかし、現代ではリアルタイムレンダリングの3DCGの表現力が上がりすぎたせいで、それと比べると明らかにクオリティが低く見えてしまいます。
背景の緻密さ、作り込まれた衣装、モーションの滑らかさ。どれひとつとっても見劣りしてしまい、アニメになると、逆に僕はがっかりしてしまいます。
もちろん、手書きアニメには、3DCGにはない強みがあります。
たとえば劇中に出てきたシーンだと、長い髪をまとめる、物を食べる、器を壊すなど、接触判定や大掛かりな変形などは、3DCGでは難しい。
3DCGが手書きアニメと見分けがつかないほどトゥーンシェーディングを極めた場合、リアルタイムレンダリングされた映像の中に、手書きアニメのキャラクターを挿入するという方法は、今後アリではないか、と思います。
今の方式だと、アニメファンへのアピールなのかわかりませんけど、アニメに演技が下手くそなド素人タレントを起用する的な販促側面が強い気がします。ゲームのクオリティを下げてしまっていると感じます。アニメ作るのコストが非常にかかるのに、もったいないです。
後にアニメ化したいなら、ゲームとアニメで別個にしたほうがよくないですか。
これまでの伝統なのか、協業関係なのかわかりませんけど、ちょっと見直した方が良いと思うんです。
まとめ
- 海外大作ゲーコンプレックスを感じない、ド直球JRPG
- 関係性の変化が気になる魅力的なキャラクター
- 難解すぎない、爽快で、歯ごたえあるバトル
- 美しいビジュアル(アニメパートが見劣りしてしまうほど……)
- 企業姿勢に疑問が残り、ユーザー体験・満足度を損なわせている