ドケチな僕をNetflixに契約させた、サイバーパンク・エッジランナーズ全10話を視聴完了しました。最初はたった10話だし、サクッと観れてええやん! と思っていましたが、1、2エピソードを視聴して、そんな短時間で終わってしまうのが心惜しい気持ちでいっぱいになりました。
サイバーパンク・エッジランナーズは、ポーランドのCDプロジェクトRED開発によるビデオゲーム「サイバーパンク2077」の前日譚となるスピンオフ作品で、日本のアニメ制作会社であるトリガーが制作しています。
原作ゲームは上層部による無理な開発スケジュール管理が祟って、今世紀最高のゲームを目指したものの、ローンチに大失敗してしまい、今後このゲームの枕詞として永遠に語られる不名誉な十字架を負ってしまっていました。これは後の涙ぐましい努力によるアップデートや追加DLC発表でも、なかなか払拭できない大きなダメージでしたが、このアニメシリーズの人気によって一気に息を吹き返した印象すらあります。
僕は、原作ゲームを比較的評判のよかったPC版でプレイして、大満足していましたし、正直アニメ化にはまったく期待していませんでした。
アキラや攻殻機動隊のアニメは大好きなんですが、サイバーパンクを描くには、ちょっと絵柄が趣味じゃなかったんです。
もうちょっと大人っぽいテイストが良かったと思っていました。しかし、視聴して印象は一変。いつものトリガーの絵柄で、あのエロティックでグロテスクな展開を見せられると、めちゃくちゃイケナイモノを見ているかのような強い衝撃がありました。
一部の人間だけが富を貪り、大多数の人間の犠牲によってなりたつサイバーパンクの世界は、広告代理店と製作委員会によってアニメーターが搾取されているアニメーション業界と相関性を僕は見出しました(笑)。
Netflixという海外企業が、救いの手となるのか? そんな気持ちで視聴しましたが、制作費自体はかわらないのか、日本のアニメと比べて、素人目にはクオリティ自体は遜色なかったです。Netflixだから、すげー凝ってるな、とか作画枚数すげぇな、とかは感じなかった……。普通に作画が微妙な回とかあったし……六話だったかな(でもその絵柄の変化も演出にしている印象はあった)。
もし、Netflixからトリガーに支払われる制作費が日本の製作委員会制のアニメと違うのなら、報酬の少ない日本のアニメでも、アニメーターは手を抜かずに最高の仕事をしているということなんでしょうね……。
お話自体は、サイバーパンクと言うだけあって、成り上がって無理をして破滅にむかっていくある男の話です。ハッピーエンドはありえない、どれだけ派手に死んでレジェンドになるか。
普通の青年が、レジェンドのアダムスマッシャーに一歩も引かず、タンカを切るシーンは特に痺れました。グレンラガンなんかと交差しますね。
ヒロインのルーシーは、めちゃくちゃ危険な香りのするイイ女って感じなんですが、もう少し主人公のディビッドと心通わせていくシーンを深く描いて欲しかったかも。あそこまでルーシーが惚れ込んだ理由がもうちょっと欲しかった。前半のルーシーのほうが僕には魅力的に感じたのは、僕がドMだから? もう二話くらい増やして、キャラ同士の関係性を深く描いて欲しかったな。
デヴィッドとルーシー以外にも、デヴィッドと母親、ファラデーとキゥイの過去、デヴィッドとレベッカ(恋愛感情匂わせじゃなくて、もっとドロドロやって欲しかった、ラストシーンも簡単すぎる)、デヴィッドとメイン(父であり兄である感じをもっと)、もっとしっかり描けそうじゃないですか?
出来が素晴らしかったので、もっとくれよ、足らねぇよ、ぐらいしか文句が付けれないです。
ルーシーが、仕事に参加しなかった理由は、ディビッドを守るためだったわけなんですが、それを打ち明けなかったのは、言えばディビッドを守るために、メーンや仲間達を窮地に追いやってしまったことが明るみに出るから、なんでしょう。その点で、彼女は裏切ったキゥイを責めることはできません。このすれ違いがなければ、エッジランナーズの最後は、また違ったものになったかもしれません。悲劇的なラストの余韻に、タラレバの思考の渦に飲み込まれてしまいます。
ゲームそのまんまの舞台で、ゲームの音楽、SEが作中流れるので、ゲームをプレイしている人間からすると、めちゃくちゃ楽しい。
生存キャラも次回作で、再登場とかして欲しいですね。