注意‼‼この記事はネタバレを多量に含みます。
DLCが延期になっちゃいましたね~。残念だけど、待ってるよ!!
今回のサイバーパンク2077コラムは、オープンワールドゲームとしての出来について語りたいと思います。
皆さんは、オープンワールドゲーム好きですか。僕はちょっと苦手に感じていました。さあ、自由に遊べ、と言われても、何から手を付けたらいいのかわからなくて。その点、サイバーパンク2077は、マーカーと指示で逐一指示されて、僕には遊びやすかったですね。
あれ……? ってことは、サイバーパンク2077ってオープンワールドゲームとして出来が良いのかな?
断っておくと、僕はサイバーパンク2077というゲームが大好きです。しかし、ここでは、オープンワールドゲームとしては、そこまで高く評価しない、という意味です。
僕が考えるオープンワールドゲームの3カ条は以下の通り。
- 町やダンジョンなどがシンボル化されていない、ロードを挟まないシームレスなマップ構造
- 世界に生きるNPCが、それぞれのタイムスケジュールで活動している
- シナリオの自由度が非常に高い
サイバーパンク2077では、1だけが抜きん出ていて、他の2つは結構微妙です。
NPCたちは、基本的に風景だし、プレイヤーが関わるまで、その場でずっと突っ立っている。
シナリオもいくつかの選択肢を選ぶ自由度はあれど、むちゃくちゃをすることはできません。A.B.Cと選択できる、と言うのに、逆に不自由さを感じるんですよね。Aしか選択できないようにみせて……Bと言う変な行動しても、ストーリーが続いて行く! そのほうが遥かに自由と感じる。マルチエンドといっても、道中の選択が後半まで影響することは一部を除いてありませんし、みんな小さな違いはあれど、同じシナリオを体験している。
あと、〇〇する[任意] 書かれていたり、選択肢にライフパス由来のものがあると、せっかくだし……って選んじゃって、なんか自分で選んでる気がしないなー、とも思いました。
サイバーパンク2077をオープンワールドゲームとする根拠は、舞台となるナイトシティの作り込みの凄さ。ナイトシティという野心的なフィールドは、これまでのゲームを圧倒的に凌駕する一方で、オープンワールドゲームが抱える課題を克服したゲームとは思えませんでした。
オープンワールドゲームが抱える課題とは、自由度の高さとメインストーリー(とサブストーリー)とは相性が悪いということです。
サイバーパンク2077では、人格コンストラクトを納めた生体チップによって余命いくばくもない主人公Vが、か細い可能性に賭けて、生き残ろうとするのがメインストーリーです。
緊急性の高いストーリーなので、根本的に寄り道(サブクエスト)との相性が悪いんです。メインクエストのチャプターごとに、電話が来るまで待て、とか一日待て、とか猶予があり、そこでサブクエストを消化することもできますが、終盤になると、もう死にそうな状態なのに、メインストーリーを進めなければ、いつまで経っても死なないという状態になり、「重病人ごっこ」をしているような気持ちになります。
個人的にシナリオそのものは、面白いのですが、オープンワールドにはちょっとミスマッチに感じました。
逆に、オープンワールドゲームとして、出来の良かったタイトルとしては、ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドを挙げたいです。
このゲームは、結末は一つしかありませんが、その過程(順序)はプレイヤーごとに全く違ってきます。また、主人公は100年前に負けていて、記憶喪失かつ、再起をはかっているところなので、記憶を取り戻し、力を付けるため、寄り道はむしろ推奨なんです。メインストーリーから外れても、違和感がない作りになっています。
未だに、オープンワールドゲームとして、ゼルダを超えた作品には出会えていません。
そういうゼルダにも問題点があって、メインストーリーが特別面白いわけではないということです。
自由度をとれば話がつまらなくなり、話をとれば自由度が失われる。
この相反している部分の解決こそが、次なるオープンワールドゲームの傑作だと僕は思うのです。
そして、ウィッチャー3を作ったCDプロジェクトREDの最新作であるサイバーパンク2077には、そこを期待していました。
……が、僕の感想としては、そこへは到達できていないと思いました。
(今、そこに期待しているのはフロムソフトウェアのエルデンリングです。あとブレスオブザワイルド2も!)
文句言うばかりでは、良くないと思うので、浅慮ながら個人的な解決方法を書いてみます。
ひとつは、メインストーリーを序盤に持ってきて一旦完結させて、これ以降はサブクエストをご自由に、という方式。サイバーパンク2077もエンディング後に終盤前にループするので、やれたと思うんですけどね。まあ、今作はジョニーという相棒が居てこそだと思うので、やっぱり今回のシナリオは、オープンワールドのシナリオとしてはちょっとミスマッチだったのかもしれません。
ふたつめは、メインストーリーとサブストーリーの区分けを無くして、サブストーリーの蓄積によって、メインストーリーになっていくというロマサガ方式です。
具体例にして考えると、主人公が肉体を持たないデジタルゴーストだったら解決しそう、と思うのです。ちょっとウオッチドックスレギオンぽいというか、古くは魔剣Xぽいというか……。
『スタートボタンを押してください』 というSF短編小説集に、『All You Need Is Kill』 の桜坂洋氏が書いた『リスポーン』 という話があります。この話は、ある日、強盗に襲われ殺された青年が、その強盗に乗り移ってしまう。青年の親は青年が乗り移っていると知らずに、強盗を恨み殺害依頼して、さらに……というあらすじです。
この話のように、プレイヤーはナイトシティのいろんな人にデジタルゴーストとして乗り移ることができる。
依代の死は、クエスト失敗となり、ゲームオーバーではありません。
ロマンス要素も、好きなやつをくっつけたり、破局させたり自由自在。それで話も変化する。異なるギャング同士が仲良くなったりとかさ。
サブクエストで、人を助け出せとかあったけど、所属している組織によって、救い出す側、監禁する側のどちらもプレイできる。定形パターン化していたサブクエストのバリエーションは、かなり増えそうですよ。
市民を殺めてNCPDに追われても、2ブロックも離れたら無罪になるの変じゃないですか。このシステムなら依代が死ぬまで、ずっと追われることになります。最後はマックスタックに殺され、そいつに憑依して……とか、取り付いた人間がトラウマチームと契約していて、現場で臨終、トラウマチームの医師に取り付くとか楽しそう。
ナイトシティには、いろんなコーポやギャングがいるので、いろんな組織に所属して、その勢力を伸ばしたり、内部崩壊させたりして、いろいろできる訳です。気が狂った行動してもサイバーサイコシスだ排除しろ、で依代が死んだら、他に乗り移る……で、なんとかなります。
こんなこととを言えるのも、本作を楽しんだからです。もしかすると次回作はそんな感じになるかもなー……なんてね、気が早すぎるかな。
スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) (創元SF文庫)
- 作者:ケン・リュウ,桜坂 洋,アンディ・ウィアー,アーネスト・クライン,ヒュー・ハウイー,コリイ・ドクトロウ,チャールズ・ユウ,ダニエル・H・ウィルソン,チャーリー・ジェーン・アンダース,ホリー・ブラック,ショーニン・マグワイア,デヴィッド・バー・カートリー,ミッキー・ニールソン
- 発売日: 2018/03/12
- メディア: 文庫