ソフビそのものについて、僕の独断と偏見でアレコレ勝手に語る、ソフビ雑記のコーナーです。誤りがあれば、指摘してください。 久々になりましたが、ネタに困ると登場機会が増えます。
今回のテーマは、特別な成形材について語りたいと思います。塗装表現ではなく、材料であるゾルそのものについてです。
ソフビでは、クリアや蓄光が特別な感じがします。それらが過去のソフビにおいて限定色になっていたことと、実際に成形にコストがかかっていることも関係していると思います。
クリアのソフビ
クリアのソフビのどこにお金がかかっているのか……それは歩留まりの悪さだと思います。
クリアソフビの歩留まりを悪くする原因は、気泡と中垂れです。
ソフビは、金型に材料を入れ、油の熱で金型に触れている面を焼き硬めて、まだ液体の部分を捨てて成形します。その時、まだ生焼けの……親子丼の半熟状態の材料が残ります。
それが、こうやって中垂れとなります。不透明な材料だったら、中垂れなんて関係ありませんが、クリアソフビは気泡も中垂れもはっきりと見えてしまうので、場所によっては美観を著しく損なってしまうことになり、商品として扱えなくなってしまうんですね。
特に難しいのはシンプルな球体です。ゴッコ堂さんのアストロウンコツなんて、すごいです。こんな大きな球体なのに、均一な厚みで成形されています。
通常、表面がシンプルだったら裏面に細かな造作を作って、そこに中垂れしないように、材料が流れ込んでストップするように造形するらしいです。
個人的にクリアソフビでナンバーワンだと思ったのは、レストアさんのネオジャパンです。
中垂れは完璧にありませんし、カンチャク付近にはどうしても気泡ができがちなんですが、それが全くない。奇跡的な個体だったという訳でもなさそう。一体どうやって成形しているんでしょうか? とんでもなく検品が厳しい……とか? エラーは塗装版に回すとかしていたとしても、すごいこだわりです。
こういう眼でソフビを鑑賞するのも面白いと思います。
ゾルに何かを入れたソフビ
材料のゾルになにかを入れるという成形方法。
ポピュラーなのはラメでしょうか。
この材料ひとつとっても奥が深いです。
色、サイズ、量で様々です。成形材の色との組み合わせでさらに多彩になります。
ウアモウさんのラメは、他よりも特に封入されている量が多いそうです。
逆に、ガーガメルさんのように極小のラメを小さじ一杯という感じも奥ゆかしくて好きです。
ラメの他にも、パール粉を入れたもの、金属粉を入れたもの、繊維をいれたものなどがあります。成形材に入れる材料は軽量でなくてはいけません。均等に撹拌されないと成形不良になってしまうからです。
蓄光のソフビ
成形材の中に、蓄光素材を混ぜたソフビです。蓄光材料が高価で、緑蓄光より青蓄光がより高価らしいです。緑蓄光の場合、輝度が高い(より多く蓄光材料が入っている)ほど、黄色っぽくなります。
光を吸収して、暗闇で光ります。まずこのギミックが面白いので、自分はかなり好きです。乳白色もそうですが、細かい造形がわかりにくくなるため、作品によって向き不向きがあると思います。
二色以上のソフビ(マーブル成形など)
二色以上の成形材を使うマーブル成形は、いろいろな成形方法があります。最初から混ざりきらないように撹拌して成形する方法。金型に各色を直接流し入れながら成形する方法。前者は、最後の方は混ざりきってしまって使えないため、材料の無駄が多く、後者は一つ一つ職人がかかりっきりになってしまうため生産性が悪いので、コスト高となってしまいます。
マーブル成形の魅力は、なんといってもひとつひとつの柄が偶然の産物であるということです。
世界にひとつだけの柄っていう特別感。ちゃんと柄を覚えていれば、シリアルナンバーよりも転売屋の特定ができると思います。マーブル成形が転売屋に嫌われる柄としたら、そのぶん真っ当なコレクターも買いやすくなると思うのですが。
ちなみに、マーブルというのは大理石という意味です。
複合されたソフビ、二重成形のソフビ
前の写真にも登場しましたが、ここに登場したソフビは更に特殊。
蓄光材が使われている上に、マーブル成形だったり、二重成形だったり。
二重成形というのは、一層目をクリアで焼いて、さらに二層目を焼くという成形方法。独特の奥行き感が出ます。Appleの白いiPodやiMacみたいな感じ。
インスティンクトイさんのラメのソフビは、全て二重成形らしいです。
ラメが表面に出てきて、触り心地がザラザラしてしまうのが美しくないから……だそうです。素晴らしいこだわりでしょう!
こちらもラメとマーブル成形の合わせ技。
クリア系同士のマーブルというのも珍しい組み合わせだと思います。
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