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ソフビ雑記14:ソフビの抜きやすい・抜きにくいという話

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ソフビそのものについて、僕の浅い知識と独断と偏見でアレコレ勝手に語る、ソフビ雑記のコーナーです。

今回のテーマは、ソフビの成形において、抜きやすい・抜きにくいってどうゆう事なの? ってことを記していきたいと思います。もちろん、僕はソフビを作ったことがないので、想像でしか語れませんけど、コレクションした作品について、どうしてこういう分割なのか、どこがチャレンジングなのかを知るヒントになると思います。

 

 今回は、スラッシュ成形と呼ばれる成形方法について語ります。


EDO NATION (エドネーション)ソフビ職人の技

この方法は、金型に材料を流し込み、熱した油で固めて、引き抜くという方法です。

この成形方法では、どんな形でも作れるということはなく、無理なく抜けるよう制限があります。作業性が良くする、不良が出にくいようにする、金型の寿命が長くなるようにするという配慮が必要です。その一方で、あまりにも杓子定規なものになったら、それはそれで面白みが欠けてしまいます。その辺りのバランス、どこまでオーケーなのか見極めて作っていくのが面白いところなのではないかと思います。

 

抜きやすい形

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原則として、湯口のほうが大きく、突端が小さい造形が抜きやすい形状なのだと思います。

 

抜けない形

ここに示すのは、物理的に成形が不可能な形状です。

 

矢じり型、返しがついている形状

極端に反り返っているものは、成形できません。

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赤色で示したところで空気が溜まってしまって、上手く成形できないんだと思います。

また、引き抜く時に引っかかって成形物がちぎれてしまう可能性もあります。

 

2パーツ構成で腰で分割する場合、バンザイになっているのはこれが理由です。

首の部分で分割した場合は、逆にバンザイできません。

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穴の開いたパーツ

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当たり前のことなんですけど、引き抜けません。

 

blog.livedoor.jpSTUDIO24さんが解説されているD3Dさんのザクの脚部配線の部分など、目からウロコの仕様ですね!

 

気泡の問題

成形不良の原因のひとつが気泡が残って穴が開いてしまう問題です。

尖った形状

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あまりに先端が鋭く尖った形状は、先端部で空気が噛んでしまって、成形不良をおこします。

ソフビが丸く柔らかい印象を持つのは、子供用の玩具であることだけでなく、素材自体の特性も要因の一つだった訳ですね。

蝋型の成形においても、シリコン型の突端部分まで蝋が行き渡りにくいため、あまり尖った形状の金型を作るのは困難らしいです。シリコン型から外した後で蝋型に蝋を盛ったら良いと思うかもしれませんが、溶かした蝋をシャープに盛るのは至難の技らしいです。

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大きなくびれ

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返しのある形状に通じるものがあるのですが、くびれの大きな形状も空気を残す要因です。特に鋭角に曲がり変化の大きいくびれは、空気を貯めやすい。

また抵抗になりますので、金型から抜く際に成形物が伸びやすい。抵抗が大きいということは、その分金型に負担がかかるので金型寿命も短いと思われます。

対策としては、なめらかに変化するか、カンチャクの泡抜きのような空気の通り道をそれとわからないように造形する方法です。

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例を出すなら、怪獣なら尾ひれや鶏冠、ロボットならケーブルなどでくびれ部分から空気が流れるような造作をすると、気泡が溜まらないように出来ます。手持ちの作品で、注目してみると面白い発見があるかもしれません。 

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変形の問題

ソフビは冷えて固まると数%収縮し、引き抜きの力加減で微妙に変形してしまいます。

 

L字型の変形

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引き抜くときの抵抗によってL字の角度が少し開いてしまいます。

 

こういう形のパーツは、腕のパーツに多いです。

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特にロボットの場合は鋭角に曲がる造形が多いので、大変だと思います。そういう場合は金型に工夫が施されている場合が多いように思います。

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バリの部分を大きくとって、引き抜く方向を工夫する。

 

つま先の部分などは、原型時点で変化を見越して前傾に作っておく。

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ソリッドな面

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ソフビは平らな面を作るのが苦手で、そのままシャープな原型で金型にすると収縮して凹んでしまいます。

そのため、収縮を見越して原型は若干ふっくらさせる必要があります。

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薄い成形

ソフビは中空構造ではなく、薄く中身の詰まった作りにするのが苦手のようです。

まっすぐの剣が作りたいのに、右や左に反ってしまうのは材質の特性で仕方がありません。どうしても薄い構造にしたい場合は、ヒレなど有機的なモチーフへの使用に留めるか、剣などの場合は長さを短くする、薄い部分は刃のみで刀身に彫刻などを施して厚みを少しでも確保するなどすると反りが軽減できると思います。

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記事まとめ

ソフビの抜きやすい・抜きにくいという話でした。

十把一絡げにソフビと言っても、そこにはデザイナーさんや職人さんの創意工夫が盛り込まれているのだと思います。単純に好きなキャラクターだ、好きな作家さんだから購入する以上に、どんなチャレンジが今回の作品にはあるのか? そういった視点で楽しむのも一興かと思います。

 

 

 

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