前回の記事が意外とビューが伸びたのでびっくりしてます。
ソフビそのものについて、僕の独断と偏見でアレコレ勝手に語る、ソフビ雑記のコーナーです。
今回の雑記のテーマは、「版権モノ」「パチモノ」「オリジナル」「偽物」について考えていきたいと思います。今回も僕なりの考えに基づいていますので、その点ご了承ください。
版権モノ
玩具としては一番わかりやすいかもしれません。漫画やアニメなどキャラクターを元に、著作版権を正式に取得して作成してあるソフビです。
基本的に、僕は版権モノをあまり購入していません。理由はいろいろあるんですが、ひとつは、そこまでカバーするとお金がいくらあっても足らないこと。ふたつめは、僕は子供のころからヒーローソフビや怪獣ソフビを集めていた人間ではないので詳しくない(興味がない)こと。3つめに、作家さんのオリジナリティが発揮されにくいものであること。
特に誤解されそうな理由の3つめは、きちんと説明したいと思います。
版権モノというのは、版権元のデザインなのでオリジナリティという点では、版権元に帰属します。監修されますし、自由にやって良いものではありません。また出来が良い不出来以前に、版権作品の人気によって需要が生まれてしまう点も指摘しておきたいです。造形そのもののクオリティや新しさよりも、「人気ある作品のキャラクターである」ことが、評価につながってしまうのです。
異論はあります。例えばぶたのはなさんの作品です。
アレンジやディフォルメがきいていて、オリジナルの怪獣にはない魅力があります。こういった作家さんの個性によってオリジナリティを発揮している作品もあります。
版権モノは、作家性やアート性の高い作品が生まれにくいジャンルだと個人的には思っていますが、例外的なパターンは、すでに名の通ったアーティストが関わることです。僕が所持しているのでは、KAWSなどはその典型ですね。
すでに作風・スタイルが確率した作家とのコラボによる相乗効果、といいますか。
けっして、ネームバリューだけという訳ではないと思います。
パチモノ
この「パチモノ」をどう解釈するかが、ソフビの魅力の理解の鍵になると思います。
ソフビの世界では、「パチモノ」は「偽物」ではありません。より明確にいえば、かつては偽物だったのかもしれません。粗悪な模倣品だった「パチモノ」に、面白みを感じて評価する人が現れたのです。その人は、ただ人とは違う嗜好の人だったのかもしれませんし、社会風刺を感じたのか、アウトサイダー・アートの要素を見出したのかもしれません。
オリジナルへのオマージュとは大見得切っては言えない、どこか後ろめたさを感じる「パチモノ」という価値観が、インディーズソフビのアンダーグラウンドな魅力の一端であると僕は思っています。
ちょっとしたさじ加減ですが、ただ単に人気あるキャラクターをパチったから人気が出るだろう……という卑しい気持ちがでてくると「パチモノ」では無くなってしまいます。このあたりは好みの問題かもしれませんが、作家さんとコレクター自身のセンスが問われる部分だと思います。
オリジナル
「オリジナル」と「パチモノ」の境目は、どこなんでしょうか?
これが「版権モノ」と「パチモノ」だったら簡単です。
例えば、リアルヘッドさんのカオスマンシリーズにおいては、ちょうど写真の右半分は「オリジナル」に属していて、左半分は「パチモノ」に属していると思っています(うーん、でも太陽の父さんはオリジナル寄りか??)。こればっかりは個人の肌感覚によりけりかもしれません。カオスマンは、仮面ライダーをモチーフにしていると思いますが、版権元にパクリだ! と言われてもなんともなんともないようなオリジナリティを僕は感じます。ソフビにおいては、オリジナルが偉くて、パチモノが劣っているということはありません。その価値は、コレクターの手に委ねられておいます。
海外作家さんの作品は、「オリジナル」寄りな気がします。もしかしたら「パチモノ」を理解している人が少ないのかもしれません。西洋にはない美的感覚である、ソフビというフォーマットにデザインを落とし込んだ面白さを楽しんでいます。僕は海外作家さんのソフビが結構好きです。恥ずかしい話、西洋コンプレックスがあるんだと思います。偉大な文化を持っている海外の人々が、小さな島国の文化に畏敬や憧憬の念を感じてくれていることが嬉しいのです。
偽物
「パチモノ」という概念がある以上、ソフビの偽物の取扱はやっかいです。
僕の定義としては、本物を型取り、トレースして寸分違わず同じものを作り、コントロールせずに大量に売りさばく……というものが偽物です。ソフビ作家さん同士で、モチーフを盗んだというやり取りが時折ありますが、個人的考えでは、これを偽物とはしていません。でも後々の人気などを見ると、モチーフの盗用(とみられるもの)はあまり良い選択ではないと思っています。
実際のところ、本物が欲しい層と偽物で満足する層は噛み合うことはなく、そこまで問題視することがあるのか? と思っていました。
しかし、まだソフビは発展途上のジャンルなんです。偽物が溢れてしまうことで、まだ価値の定まっていない(ブームで高騰しているだけかもしれない)作品の価値がなくなってしまうこともあり得るかもしれません。