2024年のキャロルさんの初売りで手に入れた土湯系の伝統こけし、野地三起子工人のこけしです。木地の表面の独特の荒れ具合が目を惹いて、お出迎えさせていただきました。その荒々しい作風から男性工人かな? と勝手に思っていたのですが、帰って記名を調べてみると、女性工人で驚きました。
大きさは約17センチと、尺寸に換算すると5寸5分、あと一センチ長いと6寸なので、なにか意図のあるサイズなのかな。
こけしウィキによりますと、野地三起子工人は木地業野地忠男の長女に生まれ、その型を忠実に継承するところから出発し、当初から完成度の高い作品を発表したとあります。また、もともとロマンドール(粘土で作る人形)の製作を行っていたこともあって、造形の感覚は優れたものを持っているとあり、型の基本は湊屋の由吉であり、それをベースに近代的な瑞々しい感性で各種のバリエーションを生み出しているので人気も高い、と記されております。
独特の荒いテクスチャーが面白いです。木地を削る際の刃の当て方でこういう感じになるのではないでしょうか。
顔と胴の部分で微妙に表面の粗さをコントロールされています。
土湯系こけしにみられるクジラ目の特徴がみられます。(これがクジラ目であってるよね??)
胴の彩色は、木地の毛羽立ちによって滲んでいき、作家のコントロールを離れていきます(ジャクソン・ポロックのように無作為すらコントロールしているのかもしれませんが!)。
解像度の低い景色のような、茫洋とした心地にさせる不思議な彩色です。
僕がお店に入ったとき、このタイプがこれを含めてもうひとつあったのですが、もう一方は彩色の面積が広いもので、そっちも良かったな~。
現地販売イベントで、新しい作家さんを知ることができて良かったです。
次回に続く。