今季よりスタートした新進気鋭のブランド、エミュレーションのオペレーションブルゾンを購入してみました。
ウリはなんと言っても、内部に空気を注入できるエアユニットが内蔵されており、これを付属のポンプ、またはマウスピースを取り付けて、ふくらませることによって、防寒ウェアとして使用できます。
羽毛や化学繊維の中綿が温かいのは、中に空気が含まれているからで、中身はかさ増しさせているだけです。ダウンの暖かさの指標であるフィルパワー(FP)は、軽さに対してのかさ高を表す値です。中身が全部空気だったら、つまりはFP∞(頭悪い計算)!!!!!
このシステムのメリットは、たくさん予想できます。
- 空気を出し入れすることができるため、気温調節が可能=秋、冬、春とスリーシーズン使えてコスパ良いかも?
- ダウンは圧縮してコンパクトにできますが、その時羽毛が折れて、多少はしぼんで元ある膨らみには戻りませんが、空気だけなので、ヘタることはなさそう?
- 完全に空気を抜くことで、コンパクトに収納できるかも?
- ダウンより軽いかも?
- ダウンよりも洗濯しやすそう?
- ダウンよりも価格が抑えられそう?
- 動物愛護団体の抗議がでなそう(僕は食肉加工後にでた羽毛を使っていると思うので、目くじらたてません)。
ざっとこんな感じのメリットが浮かび、これはダウンメーカーやばいんじゃないの?! どんなものか確かめてみたい! と購入を決意しました。
ちなみに、価格は約四万円。
6つ目のメリットは消えました。
結構人気みたいで、Sサイズがラスト一個でした。自分はいつもMサイズなんですが、写真をみるかぎり、かなりオーバーサイズっぽいし、ラグラン袖だったので、イケるしょ!
こちらが購入したオペレーションブルゾンです。
襟のないデザインですが、ちょっとMA-1とかのフライトジャケットっぽい雰囲気を僕は感じたんですけど……。
こういう形のアウター持ってないので、デザインは結構気に入ってます。自分に似合うのかは別問題ですけど。ちょっと組み合わせミスると工事現場のおっさんになりそうな感じかもしれません。
一個気になったのは、黒を注文したんですけど、僕にはネイビーに見えます。ドカジャンにちょっと見えるのも色のせいかも。
表地は、リップストップナイロンです。
グリッドは微かに見えるくらいです。
結構落ち着いた感じで、好きな質感。でもネイビーだよね。
タグです。
エアユニットにはAタイプとBタイプがあるようです。
サイズに関しては、問題なかったです(169センチ、62キロ)。
背中にループがあります。
外に自己主張の激しいブランドロゴなどなく、いい感じです。
縫製に関しては……僕の個体がハズレだったのかもしれませんけど、ミシン目が汚い箇所が数箇所ありました。まあ……並って感じかな。価格からしたら、このレベルが検品通っちゃうのか、って思うけど。
肩がたっぷりとしていて、ゆるい感じのシルエットをしています。
左ポケットの下にループがあります。
サングラスとか、鍵とか、懐中電灯とかぶら下げる感じ?
ポケットがたくさんついています。ハンドウォーマー付きって書いてたんですが、僕には普通のポケットにしか見えませんでした。
背中のファスナー付きのポケットは、もっと大きくして欲しかったなー!
スペースは余っているんですし。
肘は立体的になっています。
スナップボタンで袖が絞れます。
裏地がエアユニットになっています。
空気が入っていない状態では、普通にサラサラの布地。
エアユニットは、表地とは半セパレートになっていて、万が一穴が空いた時も補修できるよう配慮されているようです。……やっぱりこの色、ネイビーでしょ。
左胸にエアユニットの空気口があります。
ここも、もうちょっとデザインかっこよくしてほしかったです。宇宙服についてるみたいな感じで! ちょっとチープすぎません?
弁を開ける、閉じるも、あんまり簡単な感じではありません。
押し込んで回すんですが、結構難しい。
ポンプとマウスピースが付属していますので、そちらで空気を注入します。
シュコシュコ……
シュコシュコ……
シュコシュコ……
シュコシュコ……
シュコシュコ……
シュコシュコ……
シュコシュコ……
……多分、このポンプでは一晩やっても膨らみません。
マウスピースで膨らませたほうが早いです。
衛生的に、という場合は、大きいハンドポンプや、一般的に販売されている電動式のエアポンプてで、φ13mmのノスズルが付属されているものにも適合するとのこと。
着心地を考えると、5割から7割くらいの充填量が最適らしいです。
着てみると、なるほど温かいです。
身体に服が馴染む感じではなく、ふわっとしてるので、着た感じは暖かさは感じないのですが、寒い中にいると、外気温が感じられない。きちんと断熱されています。
空気の注入量で暖かさが変わるというのは面白いギミックです。かつて貧しかった日本では、夏服・冬服を変える習慣がなく、暖かくなると着物や布団から真綿(シルクのことです・当時コットンは無かったので)を抜いていました。四月一日をワタヌキと言うのはそこからです……そんなウンチクが浮かんだんです。
ここから難点を述べます。
まず、エアユニットは体の部分(ベスト)だけにしか搭載されていません。
袖の部分はどうなってるの、というと。
普通に中綿入りです(このモデルにおいては)。
今季のラインナップには、マウンテンパーカーやコートなどもありますし、エアユニットAタイプは袖までついてるのかもしれません。そこはお店でちゃんと確認ですね。
なので、秋・冬・春と使い分けるのは、ちょっとむずかしいかもしれません。まあ、日本の秋と春なんて、いまじゃほとんど無いんで、別にいいか。
僕にとって問題なのは、コンセプトに言ってるほど、コンパクトではないし、重量もあるという点です。これなら、羽毛ダウンのほうがコンパクトにできるし、軽いです。
注目していたエアユニットの機能性については、もうちょっと、という感じでしょうか。
アウトドアより、アパレル寄りのブランドだったのかもしれません。
空気を入れて防寒するという考えは、結構発展性あるな、と感じていて、キャンプでマットレスは普通にありますけど、シェラフやハンモックのアンダーキルト、テント(構造体にもなりそう)などに利用できれば、劇的な軽量化・コンパクト化ができそうです。
超久々に新品の服を買って楽しかったです。もうちょっと外で着る日があればいいんですけど(この情勢ではねぇ……)。
参照-emulation