それは携帯ゲーム機というにはあまりにも大きすぎた
大きく 分厚く 重く
そしてそれは、やっぱりSwitchころし、PS5ころしなどとは、別種のハードであった。
(個人的に分厚いとは思ってません……オマージュ元に敬意を表して)
Valveから発売されたゲーミングUMPC「スチーム・デック」の最安モデル(低速ストレージかつ最も容量の少ない64GBモデル)を約6万円で購入して、二週間ほど使用しました。
ファーストインプレッション記事にて、満足感を覚えつつも、なんだか煮え切らない所感を記したのが、自分でも、なんでこんな感想を抱いてしまったんだろう? と疑問でした。
そもそもの話、自分はsteamDeckは「大体こういう物だろう」 という予想がありました。一方で、メディアや個人動画では、「SwitchやPS5の立場が危うい、黒船到来!」 等といった、挑発的な文句が踊っていました。
それらが、本当にそう思っていたのか、それともPVを稼ぐためのものだったのかはわかりませんし、自分が勝手に影響されてしまったので、悪く言うつもりはないのですが、その言葉が、自分のsteamDeckは「大体こういう物だろう」 という予想を超えて、もしかしたら本当にそれくらい凄いハードなのかもしれない、または、そういった希望の片鱗をみさせてくれるような夢のハードなのかもしれない、と無駄に期待してしまったのです。
その結果、自分の予想の範疇で、ある意味肩透かしを食らってしまい、先日のファーストインプレッション記事となったと自己分析しました。
steamDeckが、一体どういった製品なのか。
貴方は、6万円を持っています。
このお金で、PS5を買うか、それともsteamDeckを買うか。
もし、SteamDeckがSwitchキラー、PS5キラーと呼ばれるものであるなら、ゲーミングPCもゲームハードも何一つ持ってなくても、SteamDeckを買え! となりますが、そうではないんです。
僕は、PS5は未所持でしたが、PCのSteamライブラリにセールで買った未プレイタイトルが3桁ありました(積みすぎ……)。
こういう場合は、SteamDeckを購入して正解です。
SteamDeckはWindowsのゲームがそのまま動きますが、OSがLinuxベースかつ、特殊なAPU(世代の異なるCPUとGPUが統合されたチップ)を使用しているせいで、全てのタイトルで互換性が保たれているわけではありません(オンライン競技ゲームの場合、アンチチートプログラムで起動しない前提)。
仮に、ゼロからSteamライブラリを増やしていく場合、遊ぼうと思っていたあのゲームがあれもこれもできない、という風になってしまいます(WindowsOSをインストールして運用するという手もありますが、これのデメリットは後述します)。
ある程度Steamライブラリが充実していれば、セールで買って眠っていたタイトルを遊ぶチャンスが巡って来た、とうことになります。
その眠っていたゲーム、なんで最初から持ってるゲーミングPCで遊ばず、SteamDeckなら遊ぶのか?
それはSteamDeckが携帯ゲーム機のフォームファクタだからです。
デスクトップPCって、やっぱり起動するのに、勢いが必要なんですよ。
出勤する前や、帰宅してから、すぐに起動! という風にはなりません。
ご飯を食べつつ、お茶を飲みつつ、そういう隙間時間にやってることは、スマホを触ることです。
少しだけ、と思っていてもSNSチェックやYou Tubeを、ついつい長時間やってしまう……ということは、僕だけではないはずです。
SteamDeckは、自由な場所でプレイできますし、スリープから復帰すれば、すぐに遊ぶことができます。時間が来たら、すぐにスリープして出かけることができます。
ダイニングテーブルの下に、SteamDeckを置いておけば、出勤前や帰宅して直ぐにゲームができます。たとえ30分でも、ゲームによっては1ステージ遊べて、まったく触れないのとは雲泥の差です。
もちろん、SwitchやSwitch Liteでも同じことがやれると思いますが、Steamライブラリに入っている何万本(……のうちのSteamDeckで起動保証された)のタイトルまるごとから遊べるというのは大きいです。
付け加えて、コントローラが、携帯ゲーム機とは思えないフルサイズであるというのも大きいです。特殊レイアウトなので、最初はかなり戸惑いましたが、据え置きゲーム機のコントローラそのまんまが携帯ゲーム機にくっついていますので、プレイフィールがとても良いです。
SteamDeckはスルーして、次待っても良かったかも? は僕には当てはまりません。
確かにゲーミングUMPCは、未だ発展途上であり、続々と優れた製品が今後出てくるでしょう。しかし、自分はゲーミングUMPCの黎明期と言える今現在の製品を試したかったのです。
約二週間経って、結論としては「SteamDeck(64GB)は、現時点で買えるゲーミングUMPCの正解」 という確信が持てました。
どうしてSteamDeck(64GB)なのか。265GBや516GBは駄目なのか。アヤネオやGDPなどのウィンドウズ搭載のゲーミングUMPCを試してないのに、そう結論を出せるのか。
まず、SteamDeck他の大容量モデルと比べて、圧倒的にコストパフォーマンスが良いです。低速ストレージを使用し、マイクロSDカード運用が必須となりますが、内蔵しているチップなど、基本性能は他モデルと変わりません。
6万も8万も10万円も、大差ないという人は、一番値段の高いモデルを買えば良いと思いますが、僕みたいにカツカツの貧乏人は、64GB一択です。
現在、SteamDeckは64GBモデルのみ予約オーダー制になっているのですが、自分はこれは製造が追いついていないのではなく、出荷を制限しているのでは? と邪推しています。
根拠としては、自分のSteamDeckの背面シェルには、購入時より、謎の擦過痕? がありました。
よくよく観察すると、この後は、キャリングケースの本体を起こすための帯の痕のようなのです。
僕のSteamDeck(64GB)は、オーダーから出荷まで約一ヶ月必要でした。一ヶ月まるまるケース内に仕舞われていたとしても、こんな痕が残るでしょうか???? どれだけ長期間倉庫に眠っていたんだろう?
出荷を制限するのは、64GBモデルの粗利が少ないからでしょう。
おそらくValveにとっても、SteamDeckの売れ行きは予想外で、こんなニッチなハードを買うのは、ゲームに魂を持っていかれたようなオタク、ギークと考えていたはずです。そういう人達は、スペックシートから高速ストレージモデルを選ぶと踏んでいた。それを基準とした価格設定がされたのではないでしょうか。
予想に反して、64GBモデルが、マイクロSDカード運用でもそれほど性能が変わらないという検証結果もあって、人気だからというのもあるかもしれません。しかし、僕のようなケチな貧乏人にとって、一番お得なモデルをチョイスしたという感覚が持てるのは大きいです。
追記:2023/3/17現在、SteamDeckの誕生日を記念して、10%オフやってるみたいです。日本でもセール。SteamDeckで儲けないというのは邪推しすぎだったかもしれませんねー。
現在、SteamDeckよりも強力なWindowsゲーミングUMPCが数多くあります。
それらと比べて、SteamDeckが正解なのか?
ひとつは、絶対的な価格差。パフォーマンスが高くても、10万円は超えてきて、それでいて性能差は、比較対象が64GBモデルの場合、そこまで大きくないです。
もう一つ、これはSteamDeckを買うまで知らなかったのですが、WindowsゲーミングUMPCは、スリープ中も電気を食うそうです。ゲーミングUMPC最大の鬼門は、バッテリーライフですから、僕にとってこれは大きい。
SteamDeckは、LinuxベースのSteamOSを採用しており、スリープ中も電池の減りが少ないです。
SteamDeckのWindows運用も、この理由で、自分はメリットを感じません。Windowsでなら、全部のゲームがプレイできる、と思うよりも、すでに所持している膨大なSteamライブラリの中から、SteamDeckで遊べるタイトルをチョイスするという方が良いと思っています。
また、SteamDeckをSteamOSで運用すると、パフォーマンスが向上します(ゲームによりけりですが)。これはWindows環境では裏でゲーム以外のプログラムが動くためという理由があります。
もうひとつ、AMD版のDLSS(低解像のグラフィックをアップスケーリングする技術)、FSRが標準で使用可能であり、ゲームによって効果が薄いものもあるようですが、パフォーマンス向上と省電力に貢献します。
SteamOS運用の場合、Steamボタンが使用可能で、Steamストア直結されているのも凄い。
Switch本体のオンラインストアのように、ラグいものではなく、普通のウェブブラウザ感覚で、買い物ができます。
そんな訳で、超お気に入りのガジェットとなったSteamDeckです。
予想どおり、超超超超ニッチな層に向けたハードであり、ゲームハード戦争のような舞台に立つような製品ではありません。たまに敵意スゲー向けてくるゲーマーを見かけますが……。
使用用途にハマる人には、とてもおすすめです。
ご参考になれば幸いです。
良い買い物をした、とは思ってますが、安い買い物ではなかったので、今後もSteamDeck関連の記事を書いていこうとおもいます。
リモートプレイ、保護プロテクター、デスクトップモード(USB-Cドングル)など。