興奮納まりません! 素晴らしい映画でした。
キングコングと言えば、映画・特撮ファンならず、オモチャコレクターにとっても馴染み深いキャラクターです。リメイクが発表され、もちろん僕も興奮しました。でも、「見たいか」と言うと、ちょっと二の足踏んでいたんです。
1933年の最初のキングコングから、続編やリメイク作品がありましたが、僕は見ていません。やっぱり、最初のキングコングがヒットして、人間を襲う凶暴なゴリラのイメージが波及してしまって、「善意の人間」が本来は大人しいはずのゴリラを「退治」する悲劇を産んでしまった……という事を知っていて、どうも見る気がしませんでした。
今回のキングコングもスルーするつもりでしたが、映画に誘われたので行ってまいりました。
吹替版でしたが、特にキャストの演技に不満ありませんでした。やけに低くていい声してるなぁ、と思ったら歌手のGACKTさんでした。
以下、今回もネタバレありの感想となります。
舞台となるのは、冷戦の中、ベトナム戦争が締結して間もないころ。戦争ビジネスで儲けようとしていたのに、戦局の泥沼化と国内の反戦ムードから、アメリカにとって苦い戦いでした。
新しい資源を求めて(裏に違う事情がありそう)未開の島「髑髏島」の調査に乗り出そうとする機関「モナーク」、その護衛を担当するのは、やっと戦争が終わって家族の元に帰れると喜んでいたベトナム帰りの米兵達。そして、行方不明者探索を得意とし、ガイド役を勤める傭兵(元イギリス軍特殊部隊)と記者の女性。この二人がヒーローとヒロインなんですが、いまいちバックボーンがわからなかったです。特に記者の女性はどうして参加できたんだろ? 目的もよくわからなかったです。最初のキングコングの美女アンのオマージュ?
米兵の中には指揮官であるサミュエル・L・ジャクソン演ずる大佐がいます。彼が良いキャラクターでしたね。戦果も上げれず、守るべき国民から非難をうけ、闇雲に部下を失った大佐は、このまま祖国に帰ることに納得がいってません。新たな任務を受け、早く帰りたくて不満たらたらの部下たちとは違って、安堵を覚えます。
しかし、上陸した先で地質調査という名目で投下した爆弾によって、怒ったコングの襲撃を受け、部下の多くを失うことに。彼は、コングに復讐を誓います。
気持ちはわかるけど、頼んでもないのに、勝手に髑髏島にやってきた癖にね……ここまでは、アメリカ人って何も学ばないんだな〜って悪い予感が的中したぜ、と思ってました。
ところが! ここからがこの映画の真骨頂でした。
大佐グループとガイドの傭兵さんグループ、あと少人数の軍人さんとバラバラになってしまう一行でしたが、傭兵さんグループは原住民と彼等に助けられた第二次世界大戦時(ですよね、多分)不時着した昔のアメリカ軍人と遭遇します(この人も良いキャラクターでした。原始的な生きる力がつよくて、ユーモアがあって、最後は感動します)。
彼から知らされる事実は、実はコングは島の守り神で、地底から攻めてくる怪物が地上から溢れて来ないように守っている、という事を知らされます。この怪物は、恐竜のような姿で、脚が2本しかない奇妙なクリーチャーです。トップ画像のポスターに書いてありますね。コングの種族は、この怪獣に殺されてしまって、彼が最後の一体であり、彼が死ねば、怪物はたちまち地上に溢れ、人間の文明も崩壊してしまうのです。
その後のストーリー予想は、大佐のグループは、そんな事を知らずにコング退治に一直線、それをなんとか阻止しようとするガイドさんグループがヤキモキするという感じなのかな〜……これはシンドイ話になりそうだ! と思ってました。
ところが! あっさり2つのグループは合流します。そしてコングは味方だ、と言う事実を知っても、大佐はどうしても意見を変えません。この頑なさ……僕は解る気がします。彼は悪いヤツじゃない。とても純粋で、責任感の強い男なんです。ベトナム戦争って本当に酷い戦争だったんです。その報われない鬱憤をぶつけたかったんだと思います。
あとエンドロールの後のシーンも良かったですね。
「うわっ、こう繋がるんだ!」と。
コングが最後の一体で繁殖不能となると、コングが寿命なんかで倒れた時、地球はどうなるんだろ? って普通だったら思うでしょ。ガイドさんと記者さんは「島のことは黙っておこうぜ」ってそんな事考えてなかったみたいだけど……馬鹿だなー。
脚本も素晴らしかった。
いいセリフがいっぱいありましたね。
「もしかしたら、敵なんていないのかもしれない」
だったかな?
痺れました。
良かったです。
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