新年あけましておめでとうございます!
今年の最初の記事は、ディズニーより配給された、スターウォーズの最新三部作の第一弾、スターウォーズEP.7フォースの覚醒の感想です。
一言、僕は凄く良かったです!
例によってネタバレありますので、見ていない人は絶対読んじゃ駄目ですよ!
逆に、なんかイマイチだったな〜、と思った人は是非読んで欲しいと思います。
あっ、ちなみに僕はスターウォーズそのものは、別にそこまで好きではない人間です。
過去の1〜6も一応見てますが、記憶はあやふや、もう一度見たいとも思ってません。
玩具コレクターである以上、避けては通れない基本知識として、話についていけるように観に行った次第ですが、記事中では、この道のプロのような語り口になってしまっています。その点はご容赦ください。
では、以下ネタバレありますので、自己責任でお願いします!!
◯スターウォーズは神話をモチーフにしている
新作だからってスターウォーズに目新しさを求めてはいけません。辺境の地からスタートすることや、敵が身内や関係者だらけなのも英雄譚の類型なんです。またこの展開かよ、って思ったかもしれませんが、昔話のように、「なんか落ち着くなぁ〜」って感じで見るのが良いと思います。
◯わかりやすさ
スターウォーズは、二元論の世界です。善と悪。ジェダイとシス。共和国と帝国。ファーストオーダーとレジスタンス。師匠と弟子。人間とドロイド。大事なのは、この2つが別々ではなく、一つのコインの表と裏ということです。何かキャラやキーワードが登場したら、その片割れを探すと面白いと思います。
深夜アニメ枠でありながら、一つの戦場で4つ位の勢力が、固有名詞とファンサービスのオンパレードなのに「子供の為に作った」なんて言う某ガンダムとは違うのです(でも、僕は結構好きでした)。
エピソード1〜3とエピソード4〜6は、一つのコインの裏と表です。
そう考えると、7〜9はどういう話になるか予測できる気がします。
英雄の行先を告げる賢者と、賑やかし役の道化として登場していた、R2D2とC3POが二人で一つのコインとすると、今回登場したBB8は、その両方の面を持つと考えられます。
ジェダイの予言において、英雄は「フォースにバランスをもたらす者」としています。どちらかの面に傾かせる者ではない。
今回登場するカイロ・レンは、中二病っぽくて、まだまだ青二才って感じですが、主人公のレイの、コインの裏として共に成長していくことになると思います。
◯最強と最弱
カイロ・レンもそうなんですが、ジェダイ・マスターとなったルーク・スカイウォーカーも、弟子が暗黒面に落ちたからって、引きこもっちゃうなんて、メンタル弱すぎだろってツッコミもあると思いますが、僕には凄く納得ができました。
心理学においては、人間には社会的に向けた面(ペルソナ)と真逆の面(シャドウ)を隠し持っていると言います。正義感に溢れた人には、暴力的で卑怯な面を。穏やかな人が、裏で激情を抱えていたり。ルークの場合、最強のジェダイ、英雄としての面を持っていますが、その逆、世界中の誰よりも弱いという面も持っているという事なんだと思います。
嫌になって、引きこもったうえで、自分の手がかりを残すっていう矛盾も、なんとなく納得できませんか?
◯不満点
あえて不満点を言うなら、フィンが凄く勿体無い気がします。
彼は、帝国の非道っぷりに、改心するドラマチックなキャラクターなんです。まさしく、コインの表と裏を象徴しています。
彼はストーム・トルーパーですが、クローンではなく、何処からか拉致ってきた少年を洗脳して育成したという設定です。
でも、僕はクローンの設定の方が良かったと思います。そうすると、遺伝子的には同じであるはずの彼等の中で、彼だけが「目覚めた」ことが、より劇的な感じがします。
兄弟よりも自分に親しいストームトルーパーたちと敵対することが、より悲劇的になります。キャプテン・ファズマも女じゃなくて、フィンと同じ顔をしていたら? 二人の対決がどんなふうになるか、ワクワクしませんか?
さらに、ラストシーンで、殺されてしまう選択も可能になります。レイは、それ以降、同じ顔を持つストーム・トルーパーとまともに戦えるでしょうか? ジェダイの騎士が、雑魚のストーム・トルーパーと戦えないという状況。
そうなると、ロマンス期待できない、という意見も出てくるかもしれませんが、またストーム・トルーパーの中から「目覚め」てくれてばいい。まあ、綾波レイなんかのパクリなんですけど。
◯最後にウンチク
著作がルーカスフィルムからディズニーに移りました。これが個人的に面白いです。
かつて、ルーカスフィルムは、あのピクサーを抱えていたことをご存知でしょうか。
ピクサーはもともと、ルーカスフィルムの中の特殊効果製作部門でした。部門の長のエド・キャットマルには、いつかコンピュータ・グラフィックスだけで長編映画を作りたい、という野望がありました。
ところが、上役のジョージ・ルーカスにとって、CGは所詮、実写映画を補完する添え物にすぎません。このままでは、一生脇役のままです。
同時期に起ったのが、ジョージ・ルーカスの離婚からくる莫大な慰謝料問題です。それなりに資産価値のあったピクサーが切り売りされることになります。
買った相手は、あのスティーブ・ジョブズです。Appleの社長として有名ですが、一時期ピクサーの社長も兼任していたことは、日本では、あんまり有名ではありません。
当時、ジョブズは「このまま砂糖水売るより、世界を変えようぜ」の言葉でAppleに招いたペプシ・コーラの社長に、自分が作った会社から追い出されていました。莫大な価値を持つApple株を一株だけ残して売ってしまい、お金だけは持っていました。彼はまだ30代。まだ自分は「何か」を成し遂げる事のできる、偉大な人間だと信じていました。
映画のエンドロールにもクレジットされてますよ。自分の資質をわかっていて、お金は出しても、映画には口を出さなかったそうです。あの暴君が!
その後はご存知の通り、ピクサーはディズニーに吸収、子会社化され、ジョブズはディズニーの取締役になり、エド・キャットマルは社長となります。
今、ここで書いた内容は、以下の本が詳しいです。
- 作者: デイヴィッド A.プライス,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/03/20
- メディア: 単行本
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そのディズニーが今度は、本体のルーカスフィルムを吸収と、映画に劣らずドラマティックじゃないですか!