今週のお題「最近、初めて〇〇しました」
ウィッチ・アンド・リリィズは、ウィザードリィを代表とするような一人称視点の古典的ダンジョンRPGの新作だ。
魔女の大穴と呼ばれる、女性だけが挑めるダンジョンに挑戦する中で、育まれる女の子同士の恋愛……百合にフォーカスした意欲作として注目して(ドゥフフフ……)、早期アクセス中(アーリーアクセスとは、開発中の正式リリース前のゲームを先行して販売すること。 ユーザーはいち早くゲームを体験でき、提供者側はその対価を開発費に回して開発を推進できる)のリリース初日に購入した。
登場人物は女性が大半を占めていて、イラストはとてもかわいい。
ケモノっ娘もいるし、褐色肌もたくさん登場する(重要!!)。
ダンジョン探索とキャラクター育成の基本格子は、オートマッピング方式の世界樹の迷宮と考えていいだろう。ビジュアル的に本作ならではの部分は感じにくいが、世界樹の迷宮を遊んだことのあるユーザーなら、すんなりと入りやすいだろう。
ダンジョンパートは、ダンジョンの視認性が悪いのが気になるし、後列3人にすると一人行動が飛ばされてサンドバック(実質四人パーティー)になるバグがあるが、基本的に遊べるレベルに仕上がっているように感じた。
しかし、UI(UX)の不完全さや、ウリであるはずの百合恋愛パートの味気なさ(思ってたのと違う感)を感じた。
本レビュー著者は、現状のクオリティと価格、他の遊んでいないDRPGと比べて、返金対応という選択を選んだが、本作はアーリーアクセスでのリリースであり、ユーザーフィードバックにより改善を図り1年後の正式リリースを予定している。
製品化されるまで、本作の可能性に期待して、応援したい熱意ある人にオススメと感じた。
少ないプレイ時間ではあったが、このゲームが良くなるために、以下の2点を改善点として挙げたい。
ユーザーフィードバックを募る以前の未完成のユーザーインタフェース
現状のUIは作りかけで、世に出して良い完成度に至っていない。
アーリーアクセスと言っても、そもそもの製品クオリティが低く感じるし、印象が悪く、もったいなく感じる。
アーリーアクセス版リリース同日の24日にアップデートのロードマップが公開されたが、UIについての改善は項目として上がっておらず、この部分についての開発社の重要度は低いように感じた。
このことから、将来の正式リリース時点のクオリティも不安を覚えた。
返金した理由がそれで、アップデートされるまで、ライブラリの中で寝かしておくのはリスキーに感じた。
どういう判断があったかわからないが、現状の状態でも十分と思っているのなら、開発力に不安を感じる。他のユーザーフィードバックにもあるので、ユーザーの声を真摯に受け止めて改善してもらいたい。
UIの酷さをキャラクリエイト部分で一つの例として上げようと思う。
キャラクリエイト項目は少なく、ボーナスポイント振り分けはなく、能力固定だ。
10種類から職業を選び、容姿(各職業2種×2色)、名前、イラスト、性格、CVの5項目を選択する。
さて……そして?
キャラはできたが、キャラ登録する項目がないが?
Aボタンを押す→ 項目を再選択
スタートボタン→ 反応なし
セレクトボタン→ 反応なし
Xボタン(Yボタンだったかも?)→サンプルボイスが聞ける(画面上には書いてない、画面下にでもインフォメーションすべきだ)
Lボタン→バックログ(画面上には書いて以下同)
………???
Bボタン→ キャンセル。職業選択に戻る。キャラクリやり直し。
まるで、オンライン会員登録欄を一度埋めたのに、エラーが出て、最初から埋め直すようなイライラの無限ループが発生する。
設定項目が少ないのは幸いだが……。
さて正解は???
CVの項目の下に見えないキャラ作成決定があり、スティック下で選択、これをAボタン……でした。
……嘘だろ???
この手の不備は枚挙にいとまがないレベルなので覚悟して、開発へフィードバックすると良いだろう。
キャッチーな百合要素の、最初の掴みが不十分-人の心が感じられないキャラクター
ダンジョンから帰還すると、次の冒険の準備として、パーティ五人が修行、採取、食事の3つのグループに別れる。グループ分けは最大二人までなので、一人はボッチになり、ペアになった二人が愛を育むことになる。
だが、出会って間もない二人、なんの感情もない相手に、一方はすぐに下心満載でデートに誘う。もちろん相手が了承を得ることはなく、デートは破断となる(奇跡的に成立しても気まずくなって関係悪化)。
出会っていきなり玉砕して、パーティーの関係が悪くなるログを見て、「キュンキュン来たー! 萌える、やる気出た~!」 なんて誰がなるんだろう。
怖いのはここからだ。次にダンジョンから帰ってきたら、さっき断った相手が、誘った相手を断る。次は、その逆。心が、すれ違いすぎだろ。なんだよ、コイツら……。
そこに恋愛が芽生える前の初々しいやりとりはなく、無味乾燥したゲームの仕様が垣間見える瞬間だ。
要するにゲームの売りである、せっかくの百合要素なのに、初動で「うお~!! このカプ推してぇ!!」 と言う感情が芽生えない。
もちろん、最初から積極的な性格のキャラクターもあるだろうが、現状のシステムは人間の機微を表現するのに、あまりにも不十分で簡素すぎる。
アップデートロードマップに、バランス調整とあるが、バランス調整でどうにかなる問題ではないように思う。
例えば、最初は好印象を重ねていく友情段階、そして恋愛段階へと、段階的に発展するなどすれば、友情段階での好感度の伸びによって、パーティー間カップリングを妄想できる。
カップリング成立したら、他メンバーの友情から恋愛に発展しないようにバランスをとり、危険な三角関係に発展しないようにマネージメントするというゲームプレイにも発展しそうだ。
追記:他のレビューみたら、一応友情状態と恋愛状態に別れているらしい。でも、それなら命を預け合うパーティー同士なんだし、関係性とかあるし、遊びくらい義理でも付き合うだろうし、やっぱり違和感ある仕様なんだな。
人は第一印象が大半ともいう(ちなみに、僕のこのゲームの第一印象は、言うまでもなく悪い)。現状システムでは、相手の好印象も何も無いフラット状態よりも、キャラの好みのような要素があれば、プレイヤーのカップリングの最初の取っ掛かりにできそうだ。
この要素におけるユーザーの期待値は高かっただろうし、それに答えることができれば、本作は大きな評価を受けることができるのは間違いない。
他のユーザーレビューによると、戦闘中の行動、傷ついたキャラを回復、死にそうなキャラを庇う、コンボ攻撃などによって、好感度が上昇するというシステムを期待していたようだ。
あと、イベントをこなして、友好度のパラメータ上昇や感情変化もしっかりビジュアル化した方が良いと思う。フィードバックをしっかり体感させて欲しい。
古典的DRPGというのは、余白を自分の想像力で補う部分があることを理解しているが、現状のシステムは、その妄想への導入を阻害している。
現状、百合でワクテカしたいなら、世界樹の迷宮で女性だけのパーティー作って勝手に妄想したほうが手っ取り早い。悲しすぎる。
早期アクセス版評価
女性だけが冒険者として挑めるという設定は目を惹くし、男性キャラを作らなくてもすむ分、制作コストも軽減されて良いアイディアに思う。
一方で、そんな舞台の男性達はどういう境遇にあるのか、きちんと設定が練られているのか、シナリオにも反映されるのかも気になる点だ。そういう社会風刺的要素ないのであれば、なんでギルマスが男性なんだ? この手の百合ゲーって、男性キャラ一人でもいると嫌がるもんじゃないのか?
間違いなく、コンセプトは光っているが、その強みを活かしきれていないのが現状に思える。
アーリーアクセス状態でのリリースということで、ユーザーフィードバックよる改善が期待できると思うので、大化けする可能性はおおいにあると思う。