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映画グランツーリスモをIMAXで観た感想

大阪旅行中、時間が空いたので、アイマックスシアターでグランツーリスモを観ました。ゲームで車の運転が上手い奴は、実際の車の運転も上手いのか⁉ そんな究極の問いを、リアルでやったらどうなったのか、という実話を元にしています。

初IMAXでしたが、めちゃくちゃ良かったです。最初は耳が痛かったんですが、すぐになれました。今回はレースシーンが多いので、エンジン音、排気音がめちゃくちゃ気持ちいい。

特に、プロデビューして一戦目の、お前マジでプロで通用するんかい?! というレースは、めちゃくちゃ手に汗握りました。ずっとドキドキしっぱなしでした。

興行収入良くないのか、客席が空いてましたが、もっと評価されるべき映画と思いました。うーん、サンドランドもそうですけど、映画のクオリティと観客動員数が噛み合ってないような? チケット代が高くなり、すぐにサブスクされちゃうから、映画離れが加速してしまったのかな。

以下細かいケチをつけた感想。

 

プレイステーション原作のゲームは、アンチャーテッドを観たことがある(感想にしてない)んですが、違う監督・映画プロダクション制だと思うんですが、共通としてなんか映画の作り(映像はキレイだが)が古いように感じました。ノリが古臭いというか、どっかイケてないんだな。

具体的に言うと、観客を惹き付けるためのフックに、モヤッとする部分やイラッとする部分を脈略なく入れてくるんです。ダイ・ハードに出てくる無能すぎるFBI捜査官みたいな感じを、今の映画でああいうの出てくると一気に古臭く感じませんか。

もしかすると、映画製作者側が、メインの観客層はゲーマーだからということで、勝手にゲーマーが好む映画にしようって作ってるのかも、なんて思いました。

 

たとえば、自分が一番好きだったプロデビュー最初のレース、主人公はすげー快調に上位に食い込むんですが、金ピカランボルギーニのボンボンレーサーの故意の追突で、スピンして下位に落とされます。このワンミスで、レポーターは「実力不足」 と評価しますし、当の危険な運転をしたレーサーは、「レースを危険にする」 と非難します。

それってオカシイよな?!! 絵とシナリオがシンクロしてないんですよ。グランツーリスモってエンタメというよりも地味とも言える本格的なレーシングシムらしいんですけど、映画はちょっとドラマ優先していてヌルいように感じました。

漫画カペタ知識なんですけど、今のレースって基本接触禁止らしいですよね。当てた側がめちゃくちゃペナルティ喰らうはず。

 

ゲーマーをプロレーサーにすると発案した日産の責任者も、良いやつなんか嫌なやつなのかはっきりせず、モヤモヤします。シーン毎に調子に合わせてコロコロと変わってく。めちゃくちゃ胡散臭い。演技もオーバーリアクションで空回りし続ける。なんかオーランド・ブルームに似た演技下手くそな役者いるな、と思ったら、本人でびっくりしました。

アカデミーで主人公とライバルが僅差で、主人公が勝利した場面、負けたけど外映えするライバルを採用するか、買ったけど内気そうで地味な主人公を採用するのか、コーチと意見が対立します。コーチは主人公を推す。どうしてその結論に至ったのか、きちんと描いてほしかったな。オーランド・ブルームの「たった数百分に1の差だろ」 の一言に、レーサーはその差に命を賭けてるんだ!!! とコーチはブチ切れてほしかった。

 

金ピカランボルギーニのボンボンレーサーは、もうちょっとちゃんとしたライバルとして描いたほうが良かったように思いました。観客を苛つかせて、倒してスカッとさせるだけの役割で、もったいなく感じた。主人公が事故を起こして、コーチがバー? で悩んでるとき、唐突に後ろから出てきて悪態をつきます。なんでお前が準備されているんだよ、って本当にアホらしかった。

 

めちゃくちゃ欲張りな映画です。

親と子の関係、兄弟関係、夢と現実との戦い、組織での戦い、ライバルとの戦い、恋、挫折、再起。いろいろな要素1本にまとめようとしていて、意外とドラマの部分がヘビーです。レースシーンも盛りだくさんなため、結構ボリューム感がありました。

個人的には、この中では恋愛要素はなくしてしまったほうが、ずっと見やすくなったように思います。弟が親の車を使って主人公を誘い出す部分で少しシナリオ改変が必要ですが、弟がヤバい連中に拉致られそうになるとかすれば、警察、ギャングの三つ巴のカーチェイスになって、もっと盛り上がりそう。

 

編集もちょっと疑問に思うところがあります。無駄なカットが多いように思う。例えば、コーチが登場するまで、金ピカランボルギーニを映す無意味なカットがあった。唐突に車の下から出てくるカットから始まったほうが、コーチってかメカニックやんけ?! って意表がつけるし、展開にスピード感が出たように思いました。

多分、要素を少し削って、編集切り詰めれば、30分短くできて、レースの興奮はそのままにすっきり見れる映画になったように思いました。今回の監督、調べたら第9地区の監督で、有名監督ではあるんですけど……、ゲーマー向けの映画って舐めてたのかなぁ。

まあ、エリジウムは結構微妙だったもんな。

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親子の描写はよかった。愛ゆえに過保護になりすぎる親というのは、結構現代人に刺さるテーマではないでしょうか。

 

レース描写について。

後半はともかく、前半はちょっと言いたいことがある。

まず、警察から逃げる描写。ゲームのUIが現れる表現はおもしろいけど、なんであれで逃れたのか、説得力がない。

アカデミーのレース描写。スピード感が感じられない。同じマシン性能なのに、カーブじゃないところで、抜かしていて意味がわからん。

最後のレース、土砂降りの視界のないところ、無我の境地なのかうっとりしながら恐ろしいスピードで運転しているシーンが良かった。

 

最高に笑えたシーン。

東京でウォークマンを買って、友人に贈ろうって言うシーンがある。その相手はコーチだった。主人公は事故をおこし、開封が遅れてしまう。

開封シーン……これは感動的シーンなんだけど、中身はウォークマン……そしてこの映画はプレイステーションのゲームの映画……プレイステーションはソニーのゲーム機。

開封と同時に、頭の中で、「イッツ・ア・ソニー」 と鳴り響き、腹をよじりながら笑いの衝動をやり過ごした……。

 

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