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映画・君たちはどう生きるか(とそのマーケティング)の感想(ネタバレ)

君たちはどう生きるか、そんなセリフを言う人間が僕は嫌いだ。

たぶん、このセリフを言った人間は、どう生きたかを選択してしまった人間なんだと思う。

 

風立ちぬで確か引退宣言していたと思っていた、宮崎駿の最新作、君たちはどう生きるかを見てきました。公開二日目の昨日、見にいったのですが、コメダ珈琲で食べたかき氷があまりにもボリュームがすごすぎて、開幕20分で膀胱が破裂しそうで、離脱してしまいました。席に戻るよりも、頭からちゃんと集中して見たかったので、次の日にもう一度見に行きました。

 

丼ちゃわんぐらいでかい。

店内の冷房もギンギンで、ガタガタ震えながら食べた……。

 

 

自分は、宮崎駿はなにをやっても面白い映画を作ってしまう天才なんだと思っていた。ところが、今までは二人三脚でプロデューサーの鈴木敏夫が結構一般ウケするようにバランスをとっていたみたいだ。

今作はとにかく今までのジブリのイメージからはかけ離れているいて、異質に感じた。

成功のメソッドのようなものからかけ離れている。そして、賛否が分かれるように、わざと作られているように感じた。

 

宮崎駿作品においては、冒頭に話の目標・目的が想像できる作りになっているとおもう。

ナウシカなら滅びゆく世界の再生だろうし、ラピュタならラピュタを目指す、魔女の宅急便なら自立だろうし、紅の豚なら呪いを解くかな? もののけ姫も同じ。千と千尋の神隠しは、父と母をもとに戻すだろう。その障害は明確なもので、故にシナリオ運びも妥当で明瞭である。

君たちはどう生きるかの目的は、おそらく家族の再生みたいな感じかな? 冒頭の母の死と継母の登場、主人公の反応からそれはわかる。しかし、その目的を達成するための障害や手段というのが曖昧で、物語が大団円へと着地していくためのタスクをキチンとこなしていっているのか非常にわかりずらい。宙ぶらりんになってしまう。かなり難しい映画だと感じた。

 

キャラクターの描かれ方が、生々しくてエグい。主人公の母親が死に、一年後には父親は死んだ母親そっくりの女性と再婚しようとする。どうやらお腹には、もう腹違いとなる弟か妹がいるという。母親の死後一年だから、オセッセしたのは……うーん?? 途中でわかるのだが、彼女は母親の実の妹らしい……うーん?? 主人公と昔会ったことがあった、とか、父親への思慕の感じとか、昔からいろいろあったんじゃなかろうか(昔から父親のことが好きで、姉と取り合ったとか、愛人関係だったのでは?)など、これ……子供に見せていい映画なんだろうか? とめちゃくちゃ不穏なのである。

 

父親は超イケイケな感じで、プライドが高くて、押しも強い。雄力が高い。火の手の上がった妻の場所へ向かう感じ、息子の失踪に心配する感じ、普通に悪い人間ではないように思う。でも、自分の工場事業のため、資金目当てで名家っぽい元妻と再婚相手との結婚を選んだように感じる(よりにもよって前妻の妹を相手にとは……)。もちろん、美人ってのもあるんだろうけど。欲望に正直そうな男なのである。

継母となるナツコは、7人のばあやに囲まれた構図が、白雪姫と7人の小人っぽく感じた。どこかの偉い人が色々解釈考えてくれるとうれしいな。

 

主人公は、母親に似た丹精な顔つきと父親に似た意思の強そうな少年だが、ちゃんとずる賢い部分がある。最後の瞬間まで、なんか嫌なやつだな、という印象が拭えない。これはとても重要な伏線だ。

登場人物が人間臭いのだ。いい面、悪い面、両方ある。一種の理想郷的な描かれ方をしてきた、これまでの宮崎駿作品とは一線を画していると感じた。

 

僕の解釈としては、大叔父は宮崎駿自身である。それは劇中で主人公に、「誰かに継いでほしい」 というセリフから思った。大叔父はおそらく不老不死状態(神のような)だが、それでも世界を完成させることができない。ゆえに誰かに継いで欲しいのだ。

宮崎駿は自分の限界を突破するために、想像してきた美しい世界、完璧なシナリオ運び、かっこいい・可愛いキャラクター造形を捨てて、わざと崩壊させている。これまでの黄金律を乱しに乱し、巨匠がついに狂ったのか?! みたいな状態になっている。

そうしなければならなかったのだ。自身の力の全てを振り絞ったのだ。

僕の解釈は、この映画は次世代へのバトン、だ。

これを見て、酷い映画だと思うなら、素晴らしい映画を作ってみせよ、というのがメッセージではないだろうか? 

 

この映画は、事前マーケティング一切なしで公開された。

どういう意図があったのか、プロデューサーの鈴木敏夫は、世の中には広告で溢れかえっているから云々という話を聞いたけど、それだけではないような気がする。

 

この映画は、おそらく今までの宮崎駿作品が担保する、誰が見ても一定の満足ができるようなストーリーにはなっていないと思う。不愉快で、無学で無知な僕には意味不明な要素が多いように感じる。

これをさも面白そうなシーンを繋げて予告編にするのは、それこそアオサギの詐欺になってしまうように思う。

事前広告一切なし、自分の判断でこの映画を見ると決断したのだから、その責任は自分にある。

自分は、今回のマーケティングは、誠意あると感じた。