前作以上にパワーアップした演出、サービス精神満点の怒涛の展開……、個人的評価としては。
前作スパイダーバースで、新世代の映像表現に度肝を抜かれたマイルス・モラレス・スパイダーマンのエピソード2、スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースを見てきました。
前後編もので、来年3月にビヨンド・ザ・スパイダーバースが公開されます。
とてもとてもすごい作品だと思いました。前作の大成功が順風となって、制作スタッフに勢いをもたらしていると感じます。冒頭からノリノリなんです。迷いがない。ワンカット、ワンカットの絵作り、演出の凝りようが凄まじく、圧巻されっぱなしでした。
その一方で、肩の力が抜くことができず、とても疲れた作品でした。バトルシーンで息を飲み、コメディっぽいシーンでも、おそらくスパイダーマンマニアだったらニヤリとするであろう小ネタが散りばめられ(にわかの僕は、なんだろう? と気になってしまう)、メロシーンも配色が印象的な演出が採用されていて、気を抜くシーンが皆無で、こってりしていて胃もたれします。
ストーリーも前後編になっていて二転三転してすっきりせず、まるでアート作品ぶった高尚さが鼻を突き、エンタメ作品としては気疲れしてしまう印象でした。
制作スタッフの行き過ぎた使命感みたいなものを感じてしまうというか、僕という一人の鑑賞者は、その気負いに置いてけぼりになってしまいました。
前作以上の熱量を感じますが、フルコースを食べている途中でお腹いっぱいって感じで、前作の方がバランス良かったと感じております。
やりたいこと全部詰めたせいで前後編になってしまったけど、なんとか一本でまとめて完結した余韻を感じたかったです。
物語はとても良かったです。ヒーローとしての悲嘆というか、避けれぬ運命に立ち向かう展開。パラレルワールドのスパイダーマンのデザインが、描画スタイルを変えて一本の作品に会している様は、マルチバース世界を完璧に描いています。
超個人的にグウェンのルックスが、前作よりもポリコレ度を増してしまったことが残念。アニメなんだからキュートな感じのデザインが良かったな。スパイダーマスクのギョロギョロ大きくアニメーションするお目々は可愛かったです。
あとマイルスのファッションが、まわりが半袖なのに、なぜにダウン着てるのか、周囲が変に思わないのが違和感ありました。
前作のスパイダーバースで、日本のアニメーションやばいのでは、と感じましたが、この方向で突き進むのなら、まったくの別物という感じで、どちらも楽しむことができそうです。
相変わらず吹替版は、日本独自の主題歌が採用されており、エンドロールのあとの感情の昂りをスン……と消えさせてくれる体験は、ちょっとおもしろいです。狙ってやってんのかな(多分、選曲センスがないんだな)。
来週は宮崎駿最新作の君たちはどう生きるかが公開され、対比させるのも面白そうに感じております。