マーベルシネマティックユニバース作品、フェーズ5の皮切りとなるアントマンの第三作目を見てきました。
MCUは、フェーズ3のアベンジャーズエンドゲームで最高潮となり、こんなに豪華ですごい映画が見れるなんて!! と思ってましたが、その後はポリコレ旋風が起こって、ストーリーにはちょっとも関係しない「ええかっこしい」なシーンが多かったり、話をシリアスにし過ぎて小難しすぎたりして、それまでの強烈なパワーがなくなってしまったように感じていました。
そんな訳で、半ば惰性のように向かった劇場ですが、良い意味で予想を裏切られ、めちゃくちゃ良かったです。
以下、ネタバレあり。
量子の世界に見知らぬ文明が築かれていて、ヒロインの母が失踪していた空白に何があったか語られるストーリーとなってます。予告編を見て、なんだか長編ドラえもんみたいな話だなぁと感じて（ほんやくコンニャク的なのも出てきましたねｗ）、ワクワクした反面、アントマンの面白さって、日常的な風景（子供部屋とかキッチンとか）が、ミクロの世界で一変して、アクロバティックなバトル展開をするというところに面白みがあると感じていて、それをCGで描かれた別世界にするんじゃ、良さが半減じゃないか？ と疑問に思っていたんです。
確かに、別世界へ向かって、これまでのアントマンのような絵的な面白さは減じてしまいましたが、それにも増して舞台となった別宇宙が魅力的なこと。舞台的には、これまでの量子世界の延長にあるようなアートワークなのですが、そこに多種多様な種族が住んでいて、面白おかしい乗り物に乗り、食べ物を食べ、住んでいることが面白いのです。最近のスターウォーズよりも、ずっとスターウォーズしていました。
今回のお話が、娘と家族のお話であることが良かったです。
アントマンである主人公は、すでに成功した時の人です。その娘も彼に憧れ、ヒーローでありたいと思う。しかし、年若い彼女は、その勢いがあっても無謀であり、能力がない。「良い大人」である大人達は、それをたしなめます。
こういう構図って、よく見ますよね。大人が、子供に対して、干渉的すぎる。自分の成功体験に満足しきっていて、その先へなかなか進もうとできない。自分を超えようとしている若い人にエールを送ることができず、自分が成功したレールの中からはみ出すことがないよう制限しようとする。それは優しさでもあるのですが、ある意味束縛でもあります。
アントマンの娘を見て、若くして自然保護環境活動家になったグレタちゃんを連想します。彼女がやったことが本当に正しいことなのか、疑問がない訳ではないですが、あの勢いは時代を動かす力が確かにあると思います。
一方で、SNSで賑わした回転寿司店での迷惑行為。これも一つの未熟さ故の行動で、この2つの行動は実は似たりよったりなんじゃないか、と思いました。
この映画で語られるのは、子供が身に余るような大望を抱いたとき、大人はその背を押して、失敗した時は、その責任を負わなければならない、ということだと思いました。
強大すぎるスーパーヴィラン、カーンにコテンパンにされても立ち向かうアントマン&ワスプ。娘が抱いた、この世界の人を守りたい、という果たせない願いを、変わりに体現するために戦うのです。
一度はヴィランに身をやつしたマードックを改心させたのも娘です。
そして、ただの人間の身でありながら、蟻たちを従えて悠然と歩を進めるマイケル・ダグラス（役名はしらないｗ）の王対王の構図に痺れました。彼もまた、ホープの父なのです。
今作は、ディズニーの直情的なポリコレ批判対策が不自然さがなかったのも好印象でした。
カーンや筋骨ムキムキな格好良いアマゾネス戦士が、その要素に当たるかもしれませんが、不自然ではなかった。
ただ、最後のマルチバース上のカーン達は戴けなかったですね。
今まで、マルチバースのアベンジャーズって、今の世界とは別人だったりするパターンが多かったじゃないですか。なのに全員同じ俳優ですよ。始皇帝やファラオの格好をした黒人男性が、なんだかシュールで笑えました。
本当のダイバーシティを謳うのだったら、AIかなんかで生成して、同じ俳優のように見える黄色人種、白人、女の人バージョンとして登場させるべきです。
これまでの白人至上主義の反動で、黒人至上主義にしてるだけのように感じました。
あとドラマの宣伝するのは露骨だから、映画だけで完結してほしい。
