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ドクター・ストレンジ・マルチバース・オブ・マッドネスの感想-予習必須・ガチ勢向け

昨日、第一作のドクター・ストレンジを鑑賞して、公開まもない第二作のドクター・ストレンジ・マルチバース・オブ・マッドネスを映画館で鑑賞してきました。

結論から述べると、前作とはまったく異なる作風で、正直面食らいました。自分の予習不足すぎて、作品を完璧に堪能できたとは言えません。前作は、超シンプルなストーリー展開と驚嘆の映像で、キャッチーな娯楽作品でしたが、今作は話そのものが複雑かつ、これまでのMCU作品をキチンと見ておかないと理解が難しいと感じました。

おそらく、マーベルガチ勢の人にとっては満足のいく作品になっていたと思います。逆に、ここからMCUに入る人とか、単体作品として楽しみたいというには一番向かない作品です。

久々の県外ってことで、行列に列んでお気に入りの家系ラーメン食べてきたら、時間ギリギリでした。でも予告編の放送がマジで30分くらいあって、いつになったら本編始まるの? と半ばうんざりしてしまいました。他の観客さんも、本編開始してすぐトイレでしょうか、立ってしまう人がたくさん……。

最近買い替えたシャオミの格安スマホの暗所性能が酷すぎることが判明。

 

さて、映画の感想ですが、ある程度マーベルシネマティックユニバース作品は見てきました。今作の直前エピソードでもあるスパイダーマン・ノーウェイ・ホーム、前作も見たので、予習は完璧……と目論んでいたら、マーベルに超詳しい友人が僕のブログを見てくれていまして、ディズニー+のワンダヴィジョンというドラマシリーズを見ておくべきですよ! とご忠告を受けましたが、時間もないし、サブスクだしってことで、You Tubeの予習動画(これもファスト映画? 線引き難しいよね……、でも正直、こうゆう考察・予習動画ないと把握できんよ)で、サクッと予習してきました。

 

さて、ここからかなりのネタバレを含みますのでご注意を。

 

 

 

今作、ワンダが登場することは、スパイダーマンの最後に出てくることからも、理解していたんですが、ここまで重要なキャラクターになってくるとは思いませんでした。

というのも、ドクター・ストレンジ一作目のラストから、今作のヴィランは純粋すぎるが故に闇落ちしてしまったモルドであると思っていたからです。

闇落ちしてしまった、というテーマは共通するものの、今作のヴィランはワンダです。これが今作で一番ショッキングで、一番賛否が分かれるところではないでしょうか。

やはり観客というのは、単純明快なものが好きです。ヒーローは正義で、正義は絶対であってほしい。しかし、現実の世界はもっと複雑で、人間とは善悪両方の面を持つもの。近年のマーベル映画でも、その部分をテーマとしてしっかり捉えてきました。アイアンマンはヒーローであると同時に、数多くの火種、ヴィランを生み出して来ましたし、ヒーローのあり方を問うシビルウォー然り、世界平和のため禁じられた魔術を用いたエンシェント・ワン、犠牲を強いるような解決策を講じたドクター・ストレンジもそうです。

ですが、あのアベンジャーズであった、ワンダがここまで苛烈にヴィランへと変貌するのは大きなショック、居心地の悪さを感じました。

その強い動機を理解するのには、ワンダヴィジョンを見るべきだったのでしょうね。そういう意味で、MCU作品を全部見てきた人にとって、この映画は格別なものとなっていたでしょう。

 

予習不足なのは重々承知ですが、やはり単体作品、ドクター・ストレンジの続編としては、手落ち感は否めません。

ドクター・ストレンジとモルドの確執は、これまでに色々やり合っていた、ということになっていて、単に人間として反りが合わないという関係になっていました。ここは本当に残念です。かと言って、しっかり描こうとすれば、ただでさえ複雑怪奇な平行世界の話がより難解になってしまっていたことでしょう。前作のモルドの要素・テーマは、ワンダへと吸収された、この判断は正しいと思います。

そうなってくると、今回のサブタイトルはマルチバース・オブ・マッドネスではなく、スカーレット・ウィッチのほうがしっくり来るよなぁ、と感じました。

 

ドクター・ストレンジの映画というより、ワンダの映画なんですよね。キャプテン・アメリカ・シビル・ウォーなのに、アイアンマンが主演でした的な。

DC映画でいうなら、ジョーカー的な、アンチヒーロー、ヴィラン映画なんですよ、今作は。

 

ヒーローは絶対ではなく、いつでもヴィランに転がりうる、というのはこの作品全体にフィーチャーされていて、三つ目のドクター・ストレンジや、チャベスを裏切ったおさげのドクター・ストレンジ、禁断の魔導書の力に頼ったストレンジなどにも現れていますね。

 

今作以降、マルチバースを舞台とした作品がますます増えそうな予感です。そのうえで、重要になってきそうなのは、今作登場したマルチバースを移動できる能力を持つ少女アメリカ・チャベスです。並行宇宙に存在しないただ一人の存在で、星のアイコンが印象的でした。全てを討ち滅ぼすという究極の魔法書の中にも星が描かれていたので、関係ありそう。

あと衣装とか名前とか見るに、次のキャプテン・アメリカになりそう。

 

この映画の明確な不満点は、映像演出においてです。

前作、ニューヨークの街が折りたたまれ、上下が逆転した、あのびっくりするような世界以上に衝撃的なカットがなかったような気がします。もう一度、あれをやってほしかった。あれは、スパイダーマンでいえば雲の糸を使ったスウィングシーンのようなもので、映画を象徴するような演出だと思うのです。

マルチユニバースを移動する際の演出は、かっこよかったですが、あの中でバトルとかあれば、おもしろかったように思いました。アニメ風になった瞬間、ダメージがド派手になったりとか。

三つ目ストレンジとのバトルで、音楽を使った魔術は、面白いアイディアでしたが、自分にはちょっと唐突に感じました。あれ? よくよく考えると、ストレンジって音楽マニアでしたっけ? その関係かな。

そうそう、このシーンでクリスティーンが壺の使い方を知っていたのに笑いました。良い伏線回収でしたね。

あと、クリスティーン……いや、なんでもねーっす……(ティム・バートンのコープスブライドかと思ったわ)。

 

あと、LGBTQ+要素が問題になり、公開できなかった国があるそうなんですが、その要素ってアメリカの両親なんですね。うーん、匂わせ程度にしておけばよかったのに。あと、別世界のヒーローが、男性から女性になるパターンは結構あるのに、女性ヒーローが男性ヒーローになるパターンはないですよね。黒人ヒーローが白人ヒーローになるとか。多様性を賛美しているくせに、どこか限定的なんですよ。ヒーローだって人間、人間はあやふやな存在ってテーマなのに、自分の主義主張を押し付けすぎじゃないですか。それって多様性なの?

 

 

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