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映画エリジウムの感想

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第9地区のニール・ブロムカンプ監督・脚本による2013年のアメリカ合衆国のSF映画。僕は第9地区が凄く好きで、設定資料集も購入してしまいました。人種隔離政策をモチーフにした第9地区ですが、エリジウムは貧困問題・格差社会を取り扱っています。

タイトルのエリジウムとは、ギリシア・ローマ神話における、神々に愛された者や英雄が死後に住むという楽園エリュシオンのことで、劇中では荒廃した地球を見捨てた富裕層が宇宙空間に作ったスペースコロニーを差します。

 

孤児で貧困階層出身の主人公マックスは、恋心を抱く幼馴染フレイと共にエリジウム行きのきっぷを買うため、窃盗などを繰り返しますが、逮捕服役することとなり、フレイは街を去っていってしまいます。悪だったマックスは、更生して真面目に働こうと思いますが、この時代は凄まじい格差社会なので、底辺の人間はまともな権利も医療もチャンスもありません。マックスは仕事で致死量の有害光線を浴びてしまい、保証もなく解雇され、残り5日の命を宣告されてしまいます。マックスは最後の望みをかけ、治療ポッドを不正利用するため、エリジウムへの密入国を敢行しますが……。

以下ネタバレあり

今回の映画は、難民問題や貧困格差を描いているんだと思いますが、第9地区にくらべるとややヒネリがなく、普通の映画になってしまった印象です。俳優や舞台にはお金がかかっていると思うんですけど、キャラクター造形はちょっとステレオタイプな感じがして、強烈に印象に残るという感じはありませんでした。

映像そのものは見応えありますが、設定の考証がちょっと甘くて、リアリティを重視する人には不満が残るかもしれませんね。

 

僕が感じたツッコミどころは、自立型ロボットが運用されているなら、それを労働力にすれば、貧困格差なんておきないはずってことです。人間に危険な作業やらせて、リスクが増大するくらいなら、ロボットにロボットを作らせれば良いんです。経営下手か。貧しい人を無理に働かせて、金持ちの嫌がらせにしか思えません……このあたりの理由付けができれば、特徴的な作品になった気がします。

 

貧困格差についても、最近読んだファクトフルネスで、貧困格差は広がっていなくて、ほどほどにお金をもっている中間層がどんどん広がっているというのが最新のデータということを知りました。ちょっと昔の映画なので、しょうがないのかもしれませんが、金持ちをやっかんでいる少しチープな題材だと感じました。

防衛庁長官はおそらく過去に不法侵入者に子供を殺されたか攫われたかされたんだと思います。はっきり描かないのは想像力働かせやすくて良かったんてますけど、クーデター云々で、俗な権力闘争のイメージの方が強くなってしまいました。さらに想像力働かせるなら、地球側の違法船斡旋業者のボスが、防衛庁長官の生き別れた息子だとしたらどうでしょう。一度は攫われたけど、地球の悲惨さを見て、社会を変えようとした。エリジウムに潜入できる数々の技術を身に着けていることの根拠にもなります。

 

爪の甘さは至るところにありますね。被爆するぞ! と脅しながら、次のシーンではフレイに治療させたり。エリジウムのセキュリティ対策がガバガバすぎるのとか。

 

作品の評価点は、なによりビジュアルですね。これは一見の価値ありです。後頭部にGOPRO風の機器、外骨格を人体に直接ネジ止め。こんな見た目は初めてです。ディストピアものが大好きな人には刺さりますね。

 

妙なメロドラマを加えず、真面目に生きてきたのに、不条理な状況に追い込まれ、絶体絶命の状況で、なんでもない弱者が覚醒して、大暴れして社会をぶっ壊す、というヒューマノイド・ゴジラみたいなストーリーで良かった気がします。うーん……なんだかジョーカーみたいだな。

 

エリジウム (吹替版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
エリジウム (字幕版)

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  • 発売日: 2014/01/22
  • メディア: Prime Video
 

 

 

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