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DYSCHRONIA: Chronos Alternate(ディスクロニア クロノスオルタネイト)EP.1-クリア感想。野心的…すぎたかもしれない

MetaQuest2でVRノンストップ捜査アクション / シネマチック捜査アドベンチャーゲーム「ディスクロニア クロノスオルタネイト」をプレイ、クリアしました。

クリア感想なので、ネタバレ含みます。

本作は、クラウドファンディングで出資して配信を心待ちにしていました。

クラファンそのものは、3回目というのもあると思いますが、非常に手慣れていて、進捗状況報告や作品をもり立てようとする熱意感じられるキャンペーンが展開されていて、とても良い体験でした。

今後、全三部作展開で、VR版が完結後、Nintendo Switchでも展開されます。

 

クロノスシリーズ三作目(過去作とのつながりはゆるく、単体で遊んでもOK)となる本作は、前2作から格段にスケールアップしています。前2作がストーリー進行がプレイヤーの意思に関係なく、リニアに展開する舞台劇のようなつくりでしたが、本作は実際の空間をプレイヤーの意思で歩き、触ることができます。

一作目の東京クロノスは、開発費がなかったことが透けて見える安っぽさ(次回作以降の期待)、第二作めのちょっと期待していた方向と違うかも(まだまだ開発費が足らないのかも……)、今作はきっと期待していた大作になると胸を踊らせていました。

 

smoglog.hatenablog.com

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前作で、最初の印象と最後の印象が異なっていたため、今回も慎重に最終結論はクリア後にしよう、と思っていました。

結論から言うと、「最高に面白い! と感じる瞬間は一瞬。UIの最適化不足とMetaQuest2の本体性能が足を引っ張っている」 と感じました。

最初のエピソードですし、けっして出来が悪い作品ではないですが、開発者が言うような「VRゲームにおいて記念碑的な作品」 とは個人的には思えませんでした。

「VRゲームにおいて記念碑的な作品」……それは、僕にとって「ハーフライフ・アリックス」を完璧に超えるということだからです。

VRゲームに興味のある人なら、買いの作品であることはまちがいなく、おすすめできる作品ですし、今後もシリーズが続いてほしいと思っています。

 

ストアアプリのレビューにも書いたレビューなのですが(もちろん、現時点で皆様におすすめできる出来ですから、星5評価させていただきました)、ep2,3に向けて、ここを直して貰えればずっと良くなる点を4つ挙げさせていただきます。

 

1.UIのボタンのタッチをもう少ししっかりしたフィールドバックがほしいです。仮想現実空間の物体に触れている感覚が鈍い。スイッチなど、押した感覚がない。最初のエレベーターで、スイッチがパコパコなってまごついて、博士の死体を調べるスフィアを回す操作でも躓いて、手触り悪いゲームだなーとおもいました。

 

2.ゲーム攻略に関係ないオブジェクトもグリップできるようにして、没入感を高めてほしい。(例:紅茶のカップを持って、意味がなくても飲むふりとかして浸りたい……飲むジェスチャーで会話が進むとか、こぼすことで動揺させたりとか……そんなギミックあればいいよねぇ……)

 

3.ワープ移動のとき、NPCキャラにも、扉の前にワープするときのように自動にフィックスしてほしい。現状、話しかけるときに、微調整が必要で、手間がかかる。もしくは、近づいたら、会話がポップアップするだけでも良いです。

11/4追記:アップデートにより、NPCにフィックスするように仕様変更がされていました! 要望出したからかわかりませけど、操作がスムーズになりました。

 

4.ロード時間の改善を切に願いたい。イベントシーンも何もない移動に、何度も何度も短くないロードを挟んでしまい、とてもテンポが悪く感じてしまいます。とてももったいないです。

 

smoglog.hatenablog.com

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これ以降は、ディスクロニア クロノスオルタネイトが時期尚早である、企画段階から今やるタイミングではなかったのではないか? という身勝手な持論を展開しますので、不愉快に感じる方もおられると思いますので、ご注意ください。自己判断でブラウザバックしてください。

前作から格段のスケールアップを果たしたのは間違いありません。

自由に街を散策することができ、アクションシーンや操作パートをジェスチャ操作することができ、物語にインタラクティブに介入することができます。

しかし、フィールドとフィールドの繋ぎで短くないロード時間が発生します。目的地へ向かうのに、数回のロードを挟み、短い会話シーンを経て、次の目的地へ。さらにロード、ロード。ノンストップ捜査アドベンチャーというジャンル名なのに、テンポが悪すぎです。

ヘッドセットを被るのには、SwitchやPCゲームを起動するよりも、どうしても強い動機と意志が必要です。いざ被って、物語になんの進展もなく、黒い画面とシークバーを眺めてる時間がすぎて、「今日はもうやめておこう」となる日が何度続いたことか。

街には、NPCやクラファンのバッカーによるセリフが聞けるのですが、一言二言であまり面白い話はありません。ただ、他にも人がいるってことを示すだけに存在しています。上記の要望に書いたとおり、手間をかけて話かけているのに、この内容では……。

 

さて、根本的な問題を言うと、舞台設定がおそらく身の丈(MetaQuest2のマシンスペック)に合ってないんだと感じました。

MetaQuest2のスペックで、一つの街を再現すると、マシンスペックのせいで粗が出てしまう。NPCが、白い影だったり、VRの一番の売りである実存感を殺すことになってしまっています。

これなら、オキュラスGOの時に開発した東京クロノスのように、たった数人の主要キャラクターのみの限定的な空間を舞台とするような方法が、現在のマシン環境にマッチしているように感じました。

 

今作では、相棒のリリィというキャラがいるのですが、彼女のように、常にプレイヤーに寄り添って、多くのキャラクターがその場にいるようなシナリオ展開だったら、VRでやる価値があるのではないでしょうか。

 

現実世界でも夢の中でも、シルエットだけの奇妙な市民たち。せっかくのVRのキャラクターの存在感が生かせていません。しっかりとしたキャラクターが描画できないのなら、しなくても良い設定にすれば良いのです。市民たちは全員カプセルで休眠状態とか……。夢の世界で白い影でも許せますが、なぜ現実世界でも白い影で表示されるのか、説明してくれ!!

メンタリングのつまらないミニゲームが始まった時、そうじゃないだろ!!! とたいへん失望しました。どうして、普通のゲームでできることをVRの中でやらなきゃならないんでしょう……。

 

主人公の色々と盛り込まれた才能……こんなにたくさん用意する必要あったのでしょうか? EP1の短い間では、どの能力も中途半端に感じました。キャラクターもシナリオが核心に迫るものでもありませんし、1つの物語をやり終えた、1つのギミックを遊び尽くしたと感じれれば、満足感もあったように思います。

 

自分はVRでは、キャラが自分のすぐ近く、息遣いすら感じる距離にいるって驚きだけで十分なんです。なんだかゲーム的な色々なギミックを用意されて、肝心なキャラとの交流が少なくて、三作の中で一番満足感がなかったです。

 

部屋の隠しギミックや、捜査パートは、本当に面白く作り込まれたものなんですが、それに至るまで、こなさなければいけない面白くないシーンが多いのです。やっとたどり着いた美味しいところは一瞬で、すぐに苦行が始まってしまいます。

 

その中で、パートナーのリリィには癒やされました。彼女の行動パターンがもっと多ければ、それだけでフラストレーションはもっと解消されたかもしれません。

 

序章というのを考えても、他のキャラとのエピソードが足らない、圧倒的に足りません……。ぜんぜん、キャラが掴めないし、愛着なんてわかなかったです。

ゲーム内容そのものに、けっしてボリューム不足とは言いませんが、大風呂敷を広げすぎて、味わう要素一つ一つがバラけて薄まってしまった印象です。

 

エピソード2は12月の配信予定で、それで今回も私の早とちりでした、すみません……となれば嬉しいのですが……。

本作が始まってしまった以上、主人公の能力のように後戻りはできません。

個人的な要望として、次の作品では、最初の東京クロノスのように、限られたキャラクター、限られた舞台で濃密なシナリオが展開されるやり方に回帰してほしいと思っています。オキュラスGOの時の作品なので、キャラがフルアニメーション、ジェスチャー対応のフルリメイクとかでも良いですよ?

 

エンドロールに自分の名前も発見! これは嬉しい。

なぜかその下に本名のほうも載ってました……同姓同名の人いるのかな?