オーダーより約3ヶ月(予定では4ヶ月でしたが、すこし早まったみたいです)、ついに憬れのテントが届きましたが……蔓延防止法にて、来月まで本使用はお預け。
ローカスギアは、2009年創業の国産メーカーで、ウルトラライトなシェルター、アウトドアギアを販売するブランドです(もうガレージメーカーと称するほどの規模ではないと思うのですが……山と道とかも)。
製品概要
今回購入したクフDCF-Bは、最大二人用のモノポール(オプションで2本使える)・フロアレスのシェルターで、本体が335グラム(公称値)となっており、1キロを切れば軽量テントと言われる世界で、ありえない軽さを実現しております。山岳用テントですが、チャリキャン、バックパックキャンプに使っても良いと個人的には思っています。
ウルトラライトハイキングを始めた当初より、クフ、それもキューベンファイバーのモデルは、憬れのシェルターでした。
あれから約10年、ローカスギアさんのプロダクトも拡充されていき、クフもバージョンアップして、DCF-Bとなりました。
DCF(Dyneema® Composite Fabric=ダイニーマ®·コンポジット·ファブリック、通称キューベンファイバー)は、防弾チョッキや軽量化が勝敗を左右するヨットレースの帆につかわれる世界で最も軽量な防水素材の一つです。紫外線にも強く、同質量の鉄の15倍の強度を誇ります。
反面、ゴミ袋のようなチープなスケ感は、知らない人が見たらみすぼらしく見えるかもしれませんし、プライバシーの問題もあります(そこが良いと思えるHENTAI御用達)、透湿性がないため、ほぼ必ず結露します。
また、引き裂きには滅法強いのですが、突き刺しや擦れには弱く、価格も高価な素材なので、使い方には注意が必要です。
Bはボンディング(接着)を意味しており、一部を除いて、糸を使って縫われることなく、粘着テープで接着されています。
キューベンファイバーを縫うと、薄い素材なので二重三重に折って芯地をつくる必要があり、それだけ重量アップとなります。縫い目が切り取り線のようになって強度が落ちます。また、そこから水漏れするため、シリコンシーリングが必要となります。
結果的にボンディング仕様のテントは、強度アップ、軽量化、防水性アップが見込めると思いますが、ローカスギアが公式として謳っているのは、シーリングなしで完全防水という点だけです。
調べていくと、ボンディングによる軽量化は、キューベンファイバーがロットによって重量が変わることから微妙な減っぽいです。また、極端な温度(砂漠や極寒地)にさらされた場合や、経年劣化による接着の状態の変化も気になるところで、一部のユーザーにおいては、縫製されたテントの方が信頼性が高いとする評価もあるみたいです。
性能に関して言うと、真実はそんな感じなんですが、僕としては、クフのもう一つの素晴らしい点、極限まで研ぎ澄まされたピラミッド型の美しい形が、ボンディングという技術により、より洗練されたと感じることです。
ローカスギアのテントは、その姿を肴に酒が飲める。
なーんて言う人もいるそうです。こまけーことは良いんだよ、めっちゃカッコいいテント買ったぜ‼ ってことです。
ちょっと前置きが長くなってしまいましたね。
お待ちかねのアンボックス
ダンボール。
内容物。本体、引き綱、補修用のパッチ。
スタッフサック入りの本体。
軽い。想像よりもコンパクト。
リペア用のパッチシートが付いてきます。嬉しいね。
仮に補修できないほどの故障の場合は、有償修理対応するとのことです。国内メーカーなので、安心ですね!
マニュアルとステッカー。
これだけで数千円しそうなスタッフサックは、従来の縫製仕上げ。
スタッフサック込みで実測345グラム。本体だけで持ち歩くことはないので、本体重量測ってませんが(測り忘れた)、おおよそ公称値かな。
ちなみにモンスター缶が、387グラム。350ミリリットルのコーラ缶と並べたかったんですが、売ってねぇ。
試し張り
まず、地面とシェルターをこすらないように、グランドシートを広げ、そこにシェルターを広げましょう。
結構大きいな!
まず四隅をペグダウン。
パーツ類は最初からついています(ペグ除く)。
勝手がわからず、グランドシートからズレまくる。修正しようとしてシェルターをこすりたくないので、そのまま。中間4箇所をペグダウン。
最低、この八箇所を止めれば、テントが立ちます。
トレッキングポールを130センチの長さにします。
テントの中から、天面の補強されたカップに差し込みます。ポールの先は、ゴムキャップをつけないと、シェルターが痛みますので注意。
クフ立ちぬ
じゃーん! クフが立ちました。「ぬ」は古文では完了・強調の意味。
ちょっとちゃんとペグが刺さらない場所だったので、スッポ抜けが多発し、テンションが完璧に掛かってませんが、それでも美しい張り姿。
ローカスギアのシェルターは、生地の端面をカテナリー曲線という重力によって自然とたわむカーブを取り入れており、その御蔭で美しく、強度が高く設計されています。
奥行きは短いです。この面にジッパーをつけたハピというモデルもあります。
二人用の場合は、そちらのほうがちょっと広いし、柱が邪魔にならず、使い勝手が良いみたい。僕の場合は……ソロだし、わかってるだろ(逆ギレ)!!
では、止水ジッパーを開けて内部へ。
ジッパーカラーは、赤を選択することができます。
下のところは、プラパーツで連結されています。結構、しっかりとした作りですね。個人的にはもっと簡素な感じでも良いかも。
時間がたって、だいぶテントの形が崩れてきました。これは僕の張り方がよくなかったです。
中は十分な広さ。
接地面積は、長さ 270cm x 幅 160cmです。引き綱ぶん、もうすこし面積いるかな。
だいたい3メートル×2メートルぐらい確保できれば張ることができそうです。
中間を張り綱で引くことができます。強風時なんかに活躍しそう。ごついゴムひもがついてるので、外す・交換したらさらに数グラム軽くできそう。
素材の透け感。卸したてなので、表面がつるつるしていて、透け感強めですが、使ってるとシワシワになってくるので、もう少し見えにくくなると思います。この状態でも中に人がいるな、くらいしかわかりませんけど。
換気口のところにメーカーロゴ。
中にチューブが入ってあり、形状を保ってくれています。
ネットが張ってありますが、フロアレスなので、意味あるのか……? 侵入してきた虫が出て行きにくいような。
オプションで、純正のバグネットがありますが、貧者なので、中華製の社外品を適当に見繕って使うつもりです。真夏以外は、ネット使いませんし。
ボンディングの感じ。
ヨットセイルメーカーの技術者から直接指導を受けた後、独自のテクニックを追加することにより生み出されたボンディング技術を使用して制作しているそうです。
美しい仕様です。
キューベンファイバーの経年変化
同じ色のキューベンファイバーを使用頻度別に並べてみました。
右から、七年以上使っているパックライナー、真ん中が数ヶ月使用したバックパック、左が卸したてのクフとなります。
キューベンファイバーは、使っていると、シワがよってきて、折れ目が強くでてきます。
こうやって育てる良さがあるんです。元のピカピカした状態が良いって人には向かない素材です。むしろ、つるつるしていると「使い込んでないんだ、始めたばかりかな?」 と恥ずかしい! と思うくらいの方が良い感じです。
透け感も全然違うでしょう?
ガシガシ使い込んで、愛着ある道具にしていきたいです。
それにはマンボーが開けないと……!
所有シェルター