グノーシアSwitch版のネタバレ感想です。
ループモノに駄作はないと言われますけど、グノーシアもとても良くできた話に思いました。周回プレイにダレるって人もいるかもしれませんけど、イベントサーチを駆使して、是非とも真エンディングまで到達してください。感動間違いなし。
ネタバレなしの感想はこちら。
以下、ネタバレ注意!!!
人狼(グノーシア)探しを通じて、少しずつ明らかになっていくキャラクター背景。
グノーシアとはなんなのか?
どうして主人公とセツはループに巻き込まれてしまったのか?
ループを重ねるごとに謎や伏線が明らかになっていきます。
世界設定としては、多元宇宙が存在する世界で、宇宙に進出した人類は、グノーシアと呼ばれる人に取り憑いて人間を消去していく謎の敵対生物と出会うことになります。
ゲーム・グノーシアにおいて、ループは時間跳躍ではなく、別宇宙への跳躍です。タイムトラベルモノにおいては、タイムパラドックスはつきものですが、ゲーム・グノーシアでは、多次元宇宙設定によって回避することに成功しています。
物語の文字通りキーアイテムある鍵が、どのようにしてもたらされたのか。主人公のものとセツのものの来歴は、お互い矛盾し合っているように見えて、主人公とセツが次元跳躍する順番が違います。鍵が情報を満たせば別の宇宙へ跳躍するという設定により、一つの宇宙に同じ鍵が複数個あるということはあり得るのです。
グノーシアとは、グノーシス主義から取られているのが推測できます。グノーシス主義とは、この世界が全知全能の神によって想像されたとしたら、どうしてこんなにこの世界にはこんなに不条理で、悪が蔓延し、不完全なのだろう? この世界は実は善神を詐称する偽の神によって支配された悪の世界なのではないか? ……とする反宇宙的二元論を根幹とする教義です。
このことからも、グノーシアとは少なくとも自分たちを悪だとは思っていないことがプレイ前から推測できます。
終盤までプレイすればわかるのですが、グノーシアとはデータ生命化した人間のことで、人間に取り憑きグノーシア化させていくことは、データ化したほうが人類の幸せなんだ、と強引な仲間作りをしている、という非常に単純な構図となります。
ゲーム・グノーシアで面白いのは、この宇宙船内部でしか起こらない特異点バグの存在です。バグは主人公とセツがループすることによって起こった矛盾により誕生した存在で、バグを消さなければ人間側が勝利してもグノーシア側が勝利しても宇宙が崩壊してしまいます。
バグは同じ世界に主人公が二人いることで発生します。この二人というのは、ゲーム・グノーシア全体を包み込むテーマのような気がします。本当の人間と人間に化けたグノーシア。ククルシカも二人いますし、ステラと宇宙船のAIもそう。SQとお母さんもそう。
ノーマルエンディングで、セツは鍵の情報が満たされた鍵と、自身の情報が満たされていない(リープする)鍵、そして二人目の主人公と別次元へと旅立ちます。
こうして少なくとも宇宙船ではグノーシアもバグも発生しない、しかしセツという存在が主人公以外には認識できない世界になってしまいました。
このエンディングを迎えると、タイトルは中央にぽっかりと隙間のあいた全員集合カットになります。このタイトル画面は左右にスクロールできますが、そこにはセツの姿はありません(泣)。
真エンディングがきっとある! と、僕はエンディングデータをロードし、リープを再開しました。が……真エンディングを見つけられずにギブアップしました。
そしてズルをしました。
真エンディング突入方法は、エンディングデータを保持した状態で、はじめからを遊ぶこと。
すると、最初に選べなかった会話の選択肢が選べます。
それは、一度ループを体験しなければ知り得ない情報です。鮮やかな伏線回収。
別セーブデータを別次元宇宙と解釈するメタ要素も良い。このゲームはオンライン要素のないシングルプレイゲームですけど、他人のループもまた繋がる多次元宇宙と解釈できます。
このあとの展開も脱帽です。
ゲーム・グノーシアのメインビジュアルにどうしてSQが使われているのか、この真エンディングを迎えるまで、違和感を感じていました。二人いるククルシカの意味。……つまり、あの感情豊かなククルシカって、SQのお母さんなのでは……という解釈もできますね。セツはお母さんが生成されるのはグノーシアになったときだけと言ってましたが、レムナンとククルシカが留守番の場合、グノーシアを倒しきってもククルシカが暴走して船員を殺害していきます。この時のククルシカは、おそらくSQのママだったんだと思われます。レムナンはSQママの元性奴隷ですから。
残された謎はあります。
夕里子っていったいなんなんですかね。人を外科手術によって電脳化(グノーシア)させる巫女集団から脱走したという来歴なんですけど、彼ら? 彼女ら? の目的ってなんなんだろう。グノーシアは、人間をグノーシアにできるんだし、もう巫女集団必要ないし。主人公がループする存在、存在してはならない存在と見抜く眼力も不可思議です。ノーマルエンディングで表示されるその後も不明だし。
もうひとつ、野暮といえば野暮ですけど、鍵を失った主人公が、意識だけを飛ばしてセツのいる次元に飛べたのはどうしてだろう?
宇宙シュミレーション説というトンデモ仮説があります。これは、現実世界がコンピュータ上の仮想世界というものです。グノーシアの世界が、実は既に電脳世界だったとしたら? 主人公は意識していないだけで、実は電子的な存在だったとしたら? 鍵ループによって、主人公はなにか特異な能力を得ていたとしたら? バグによって崩壊してしまう世界なので、そういう考えもあるかも……なーんて妄想しちゃいました。
真エンディングを迎えると、タイトル画面はこうなります。
このゲーム、テキストアドベンチャーゲームとしてはゲームプレイ主体で、結構テキスト部分・ストーリー部分は蛋白なんですけど、この画面を見たら、いい話だったな……ってじ~んとしちゃいました。
グノーシア - Switch (【永久封入特典】リバーシブルジャケット & 【初回特典】オリジナルイヤホン、ヘアピン2個セット(セツ仕様)、特製ジャケット7枚セット 同梱)
- 発売日: 2020/12/17
- メディア: Video Game