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グノーシアSwitch版 - シングルプレイのSF人狼ゲーム・ネタバレなし

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お題「#おうち時間

レビュー評価は高かったものの、開発が長引き生産終了してしまったプレイステーションVITAで発売というタイミングの悪さ故に、現行機に移植されないかなー(またはPCで)と思っていた、シングルプレイの人狼ゲーム「グノーシア」をクリアしました。めちゃくちゃ良かったです。真エンド済み。

今回はネタバレ無しの感想です。

汝は人狼なりや(人狼ゲーム)は、グループ内に一夜に一人、人を殺してしまう人間に化けた人狼が紛れ込む。人間たちは、人狼と疑わしき人間を多数決で決め、人狼すべてを殺して人間が死ななくなればクリアという本来は多人数プレイのパーティーゲームです。

CPUによるシングルプレイの人狼ゲームと言うと、クリア済み・記事にした「レイジングループ」を連想しますが、モチーフは同じ人狼ゲームでも、別アプローチの作品ですね。レイジングループは、人狼ゲームの人の読み合い、心理戦を解説してくれますが、グノーシアはより実践的で、人狼ゲームの面白さがよくわからないという人には、とっつきにくいかもしれません。どちらも個性的で面白いですよ。

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僕もどちらかと言うと、人狼ゲームって苦手なんです。誤解を招く言い方をすれば、人狼ゲームって「いじめっ子」ゲームだと思うんですよ。特に1ターン目、特に根拠もなく、なんとなく挙動不審、一番立場が弱そう、目立つ、後々残しておくと面倒だから、などと難癖を付けて仲間はずれにするのは、リアルが相手がいると思うと、ゲームなんだからと思ってもなかなか割り切れません。

もちろん、人狼ゲームが好きな人がいじめっ子だなんて思いませんよ。FPSが好きな人は人殺しがしたい、なんて思うのと同じ。良くてきたゲームっていうのは、人間の本能に訴えます。グループの中に仮想敵を想定し、団結を強固にするということは、人間がこれまで何度も繰り返してきたことです。そして、何度も暴走させてきました。民族浄化とか、魔女狩りとかね。

 

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グノーシアの良かった点は、迷信がまだ信じられているような閉鎖された村での出来事ではなく、未来の閉鎖された宇宙船での出来事にすることで、疎外すべき人狼=人に取り憑き消そうとするグノーシアを、コールドスリープさせるという設定になっていることです。グノーシアと疑わしき人間を殺すのではなく、冷凍睡眠で隔離するという設定です。グノーシアじゃないけど、グノーシア側の策略で勘違いしている人間を一旦コールドスリープさせて多数決で有利にさせるという場合も、精神衛生上気分が楽です。

 

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主人公は、閉じたループの中にあり、グノーシアに殺されても、グノーシアを発見して生還しても、また最初の日から繰り返すことになります。このゲームの真のクリア目的は、グノーシア発見することではなく、ループから抜け出すことです。

 

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グノーシアでは、最大15名のキャラクターが登場し、グノーシア当てゲームをします。毎回誰がグノーシアで、その他特殊な役割を持つのか、それはランダムとなります。15人はあくまで最大人数で、最初はレクチャーのために参加人数が少ないですし、各種パラメータは任意に弄ることができます。

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最初は勝利することがかなり難しいです。

誰かが怪しいと発言すると、自分の信用がなかったり、逆に行動が目立ったり。このゲームはCPU対戦による人狼ゲームなので、キャラクターたちには能力値が振られていて、それによって投票時の結果が変化します。プレイヤーも経験値を獲得し、能力を伸ばし、特殊コマンドを習得することで、決議での流れを支配することができます。

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ある能力が高ければ、嘘を見破ることができますし、自分の嘘を隠すこと、他人の信用を得ることができ有利になります。

 

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能力値を上げれば良いという訳ではなく、もちろん人狼ゲームならではの腹のさぐりあいも重要です。キャラクターたちの言動の矛盾をさがし、協力関係を探って自分の立ち位置を推論します。

 

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ループを重ねるごとに、キャラクターそれぞれのパターンが掴めてきます。最初にやられる場合、こいつはだいたい人間、嘘が下手くそ、最後まで残るとグノーシア……など。キャラクターの理解というリアルな能力と、能力値の向上というゲームの能力が合わさって、グノーシア探しそのものの勝率はどんどん上がっていきます。

 

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キャラクターの理解が深まるにつれて、イベントが発生して、キャラクターの背景がわかってきます。そして、このループの謎へと迫っていきます。この相乗効果はよく出来ています。何度も何度も同じことを繰り返すのですが、イベントが発生する条件はサーチすることができるので、そこまでダレることは僕はありませんでした。

 

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難点を言うと、定型文によるやりとりなので、微妙に矛盾するような言動が時々見られます。人間・グノーシアと確定しているのに、疑いあったりとか。リアルな人間だったら、そうは言わないよな、って時があります。ループを何度も繰り返すことで、粗が見えてきます。その点は作り込みの甘さなのか、致し方ない部分なのか(キャラクターごとのパーソナリティを強調するためにしかたなく)判断に困る部分です。

 

f:id:smoglog:20200505193447j:plainビジュアルのスタイルは、結構好き好き分かれそうな感じ。服装のデザイン画風。自分は尖っていて好きですね。少人数チーム制作によるコンパクトな作りのゲームなので、フルアニメーションのリッチなパージョンなども見てみたい気がします。

 

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評判に違わぬ面白いゲームでした。

汎性(男性でも女性でもない)、宇宙船という封鎖空間、紛れ込む異分子と、萩尾望都さんの11人いる! を連想しますね。ビジュアルもどことなく。好きだったら良いかもしれません。

 

ネタバレ感想:

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