底辺企業の話です。
数年ぶりにやっと採用できた新卒新人くんが、なかなかの逸材でした。
もちろん、指導する我々の能力にも問題があるのでしょうが、通常三ヶ月、長くて半年程度で一人で任せられるレベルまで習熟するのですが、彼は1年半たってもハイハイしだしたか、つかまり立ち程度という感じです。
一年は面倒しっかり見るという話だったのに、その発言をした上司がいなくなり、どうなることやら……という状況でした。
相変わらず、一部の人間だけが指導というよりも自分のストレス解消のために(としか思えない)怒り散らし、他は呆れて諦観しているような状態でした。
つい先日、変わった上司が新人くんを呼び出して面談をしました。
今後の数日の様子を見て、彼の処遇を判断するとのことでした。
前にも書いたとおり、自分としては彼の仕事っぷりはまったく評価しませんが、常に日勤固定となることで、夜勤パターンが増えて身体的にも楽だし、夜勤手当も篤いし、ベテランスタッフオンリーになることで、生産も伸びると、助かってる面もあるのです。
彼が別部署に移動したとして、また1から教えた人ができる人とは限りません。一ヶ月みっちり指導した人が、辞めてしまったパターンが、この十年で何人いたことでしょうか。
別に彼を人間として忌み嫌ってるわけではないので、フォローも兼ねて話をしました。
彼は、涙ぐんでいました。
そうか、仕事にやる気がないわけはないんだな、と感情の読めない彼の気持ちを知りました。
ならば、同じ職場の人間として、彼にアドバイスしなければ。
もちろん、上記理由があって、彼に同じ部署に居続けてほしいという打算もあります。
今から劇的に、彼の仕事能力をアップするのは難しい、というのは誰の目から見ても明らかです。
上司が見たいのは、いまいち感情の起伏の見えない彼のやる気ではないでしょうか。
もっとも彼に不足しているのは、人とのコミュニケーション能力です。
もっと人を頼る、話かけるということです。
なにか仕事で分からない、判断できないことがあるなら、30分も悩んでないで、すぐに人に聞きにこい、ってことです。
三つ子の魂百までって話で、自分の生き方や性格を変えるのは難しいとは思います。
自分も前職で散々言われて、それでも変えることができませんでした。
そうは言っても、彼の進退が決まるのですから、ちょっとでもその片鱗を感じたいです。
次の日の会話。
新人くん「う!」 休憩行きますよ、と指でジェスチャー。
指示のメモ書きの内容がわからないと言ってくるのに必要な時間……半日。
以上。
これは、む、無理かもしんねぇ……と思い、次なる知恵を授けました。
新人くんは、朝礼前のラジオ体操は、機械の影でぼーっと立ってるだけだし、朝礼も列の後ろのほうで俯いている。前が空いていて、上司がもっと前につめろ、と指示してももじもじして出ようとしない。そんなヤツを見て、誰が「こいつできるな……やる気あるな……」 と思うだろうか!!
ラジオ体操をガチでやれ。上司の見えるところでビシッとやれ。朝礼は最前列で、喋ってる人の目をしっかり見ろ。
お前の普段の態度からだと、劇的変化。仕事内容は変わらなくても、印象の変化を焼き付けさせろ。
案の定、新人君は嫌そうです。
恥ずかしいのか……。
僕には、今のお前の現状のほうが恥ずかしいけどな……。
実践するかは彼次第ですが、これでもうしばらく、ってなっても長くはなさそうな予感……。