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ソフビ雑記37:当時無版権ソフビと現代海賊版ソフビ

ソフビそのものについて、僕の浅い知識と独断と偏見でアレコレ勝手に語る、ソフビ雑記のコーナーです。

今回は、無版権ソフビと海賊版ソフビをテーマに語ってみたいと思います。

パチ怪獣、パチモノというジャンルがある以上、版権キャラクターをコピーしたソフビがどうして駄目なのでしょうか。オマージュとコピーの違いとは? 白とも黒とも判別できないあやふやなゾーンが、アンダーグラウンドな面白さを感じる部分です。

 

僕が思うに、無版権ソフビには、贋作と型取り品があります。

贋作は、版権キャラクターを新しく原型から起こしたものです。この贋作は、当時は純粋なお金儲けであり、完全な犯罪であり、非難されるべき所業でした。しかし、現代では、むしろ素となったキャラクターにも似ても非なるものと分かっていて、劣化していて、いい加減具合を面白がっています。かつてあった、おおらかな時代を懐かしむものです。

 

ソフビ作家さんの中にも、版権料を支払わず、グレーゾーンを狙ったクリエイティブ性のない製品として、パチソフビ系を誤解されている方がおらますが、この在りし日の不出来な贋作を楽しむスタイルが、現代に繋がるパチソフビの系譜となります。

もちろん、作家さんそれぞれにスタイルがありますから、自分自身のオリジナリティで勝負していくことは、とても立派なことです。しかし、パチソフビ収集家が、「〇〇マンに似ているから欲しい」という単純な考えで買っているということではないのです。全員が全員そうではないかもしれませんが、作家さんのモチーフ選択の妙、大胆なアレンジ、オマージュ元へのリスペクト、風刺や皮肉。そこには汲み取るべきクリエイティブ性があります。そんなもんねぇよ、人気のモチーフだからって作ってるモノは、わかる人にはわかると思いますよ(……と思いたい)。

このモチーフの盗用や被りについては、次回のテーマとしたいと思います。

 

型取り品については、元となるソフビを型取りして、さらに金型を作って量産するという方法で、これこそがクリエイティブ性もひったくれもない、この世から駆逐すべき海賊版と呼ぶべき存在です。

中には、当時モノの金型が消失してしまったので、ライセンスを習得した状態で再販するというものもあります。

 

現代は、版権キャラクターモノ以外にも、少量生産かつ人気の高いインディーズ作品なども、海外からときどき海賊版が販売されたというニュースを聞きます。

 

ソフビから再度型取りしているので、本物よりも縮んだ状態になるのが普通でしたが、最近は技術革新で、3DCAD原型などのCADデータが流出してしまったとか、本物を3Dスキャンして、ソフビの収縮率を考慮して、3Dプリンタで原型を出力するなど、見分けの出来ない完全クローン品として流通することもあるでしょう。

 

アパレルハイブランド品などで、スーパーコピーを駆逐するために、現在の市場がやっていることは、海賊版コピー元を訴えてしまうことが一つですが、国内ならまだしも海外と訴訟を起こすことなど、なかなかソフビ作家個人では出来ないことです。

個人でできることは2つあります。

ひとつは価値をより高めて、その作家の作品の本物を所持していることをステイタスにしてしまうことです。パチソフビや当時無版権ソフビと異なり、コピー品を欲しがるコレクターはいません。個人的に僕がコレクションできる存在ではなくなったので、もっと早いうちに唾つけとくべきだった、とすごく後悔しています。

 

もう一つは、コピー品が本物よりも安くて入手性が高いというのなら、本物もそれくらい安くて入手性が高くするという方法です。ラインナップ全てをそうするのではなく、一部作品を入手しやすくするという方法は、自分のような経済力では嬉しい方法ですね。メディコム・トイのガチャ「V.A.G」はその最たるものと思っています。

 

昔は需要があるなら受注にすべき、とか、もっと生産すればよいとか、コレクター都合で考えていましたが、10年くらいコレクションを続けて、その方法はかなりリスキーで、多くの場合、作品寿命や作家寿命を縮める結果になるように感じています。どんなに綺麗事をいっても、少数生産だからこその人気だと思うからです。だからこそ、そういう方法をとれる作家さんは強いですし尊敬します。

 

ところで、電子タバコ(VAPE)の世界でも、完全クローン品がオリジナル品の著作権を侵害している時期がありました(現在の状況、僕は完全に飽きてしまったので、ちょっとわからないです)。電子タバコ(VAPE)も、ハイエンドなアイテムは、ソフビと同じで、個人で少数作って抽選販売方式だったんです。

人気のアイテムが、発売すぐ、むしろ本物発売よりも早く出てきてしまうということがあり、むしろクローン作ってるところの方が技術力高いのでは? という逆転状況がおこりました。次第に非合法かつ薄利多売なクローン製造事業よりも、オリジナル製品を開発・販売するようになります。現在ではOEMやコラボなどもするようになり、業界トップ企業の仲間入り。

 

もしかすると、ソフビの世界でも同じように、昔は海賊版やってました、というところあったりして……(笑)。前述に、海賊版製造にはクリエイティブ性もひったくれもないと記しましたが、将来どうなるかわからないですね。

 

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