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ソフビ雑記31:うまい原型ってなんだろう

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ソフビそのものについて、僕の浅い知識と独断と偏見でアレコレ勝手に語る、ソフビ雑記のコーナーです。

僕は、立体造形について、まったくの素人なんですが、この原型は上手い、なんかイマイチだ……と作品をひと目見ただけで判断できてしまえます。いくら人気作家で、目玉が飛び出そうなプレミア品だったとしても、自分はどうも好きになれない造形だ、って作品があるんです。この時のうまい原型って、どういう評価基準なんだろうな、って思いました。

この問題には、正解がなく、金型から抜けて、作品として世にでてしまえば、全部正解なのか。でも、現実として、僕は数あるソフビの中から、これはうまい、これはイマイチ……と判断してしまっている。人気・不人気に幅があることから、コレクターのみなさんも、区別されているようです。まさか、みんなが良いっていうから、なんとなく買ってるってこともないでしょう。

ここで議論しているのは、あくまで原型についてであり、僕が購入している中には、モチーフが好きだったり、ギミックが興味深かったりというものもあります。

ソフビメーカー・作家さんによりけりなのですが、ソフビは平面デザインと立体原型の担当者が別の場合があります。他人に原型を頼む理由としては、自分が作るよりも早く上手く作れるからとか、成形のノウハウを知っていて問題が出ない(ということは、やり直しなどなく、結果的に納期がはやくなり、金型に負担がかからずランニングコストが良い)、原型師として人気があり顧客が見込める、などが思いつきました。

 

技術的な造形のうまさとしては、金型からちゃんと抜けるように作るとか、原型から成形時の縮みやヒケ(抜く時の圧で平面部分が凹むこと)を予測して作れるとか、シンメトリーをきちんととることができ、そこからあえて崩す(デフォルメ)することができる、ちゃんと自立するようにできる、非常に精密なディテールを造形することができる……なんかが頭に浮かびます。しかし、そういう理論だったうまさが全てではないような気がするのです。

 

世の中の立体物は、たった2つの方式で作られているそうです。

すなわち、盛ってつくる(塑像)か、削ってつくるか(彫像)。

僕が思うに、ソフビは圧倒的に盛って作られている印象です。あの柔らかい雰囲気は、盛られて太らせて作られていると思うんです。自分が上手な原型だなと思う要素の一つに、針で刺したら、破裂しそうなパンパンに膨れているシルエットが作れているか。

 

一方で、削りによって造形されているソフビも、たくさんあります。原型を木で制作されている作家さんもおられますし、ロボットなどで平らでシャープな面を作るのに削ってつややかにする作業もあるはず。

 

何事も例外があるもので、僕を悩ませているのは、ワックスを直接削って作る方式です。彫刻刀を使う場合はもちろん削る造形なんですが、電熱線を使った場合はちょっと事情がことなり、溶けて不安定な、削ったとも盛ったとも判断つかない、微妙な感じになっている印象なんです。これは人の手による作為あるうまさなのか、それとも超自然的な偶然の妙なのか。

 

もしかすると、こういう技術的には上手いとも下手とも判断できない微妙さが、ソフビの良さだったり、誰が作ってもいいんだ、っていう懐の深さなのかもしれませんね。

 

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