ソフビそのものについて、僕の浅い知識と独断と偏見でアレコレ勝手に語る、ソフビ雑記のコーナーです。
今回のテーマは、前回のB面的な感じで、ソフビの作りについて論じたいと思います。
ソフビは、パーツ同士をカンチャクという嵌合方式でくっつけています。
仕組みとしては、パーツAに穴を開ける。パーツBにパーツAの穴よりもわずかに小さな窪みを外周ぐるっと付けて、パーツAの穴にはめ込むというものです。これによって、可動させることができ、中身の空洞を隠し、なおかつソフビの柔らかさの特性によって、大変強度の高い嵌合が可能となっています。
長年疑問だったのが、パーツA(カンチャク・メス)とパーツB(カンチャク・オス)の組み合わせに法則はあるのか、ということでした。
ソフビを蒐集していて、一定の法則としてなんとなく見つけたのは、胴体から生えている手足は、カンチャクがオスであり、胴体に空いた穴にはめ込むことが多いということです。
前回記事にしたとおり、胴体にカンチャク部分の空間が必要なため、脚に可動を設けたいときは、両足の間に空間が必要になり、それがソフビ特有のレトロなスタイルになっているという話でした。
自分がSTUDIO24さんの動画を拝聴したとき、身の程知らずにも思ったことは、腰の部分から抜いているんだから、ダボを出せばガニ股にせずにできるのでは? と思ったことでした。
一つの動画から2つもネタを提供してくれてありがたき……。
図にするとこうです。
こうすれば、胴体をわざわざ穴をあける加工をせずに済みます。
俺って天才! って一瞬思いました……。
よくよく考えてみると、こうしない理由は、強度の問題なんだと思います。
ソフビを可動させるとき、胴体を持って、手足を動かします。このとき、力を加えるのは、手足です。
カンチャクの太くなっている部分のかかりが、2つのパターンで、角度が違います。この部分のかかりの強度によって、外れやすいし、変形しやすいのではないでしょうか。
つまり基本法則としては、持つ方がカンチャク・メス、動かす方がカンチャク・オスにしたほうが、強度が出るということっぽいです。
レストアさんのネオジャパンを改めて観察すると、すべてのパーツがこの法則で組み合わさっています。作りとして理に叶っているという訳ですね!
一つ例外があるとすれば、頭部パーツと、組み換えパーツです。
例にだしたのは、ルルベルトイさんの作品。
このように、肩の位置が不自然に低い作品ってありますよね。僕はこの独特のシルエットが大好きなんですけど……ま、それは置いておいて。
このスタイルも、そういうカタチにしたいから、という外見上のわがままではなくて、内部構造からきています。
そう! こういうことですね。カンチャク同士がぶつからないようにしているのです。
頭部が取れにくくしたい場合で、肩の位置を高くしたい場合は、体の幅を広くするか、もしくは頭部をカンチャク・メスにする必要があります。
体が細い場合は……。
必然的にこうなります。
もう一つは付け替えパーツ。リアルヘッドさんの腕パーツなどは、ひかかりが浅いカンチャクになっていて、温めなしでも比較的取り外して組み換えしやすい工夫がされています。
カンチャクのオス・メスは、ワックス置き換え時に職人さんのさじ加減で適当にオスメス振り分けられているのではなく、整然とした理論があるようです。正しい嵌合の組合わせによって、作品のクオリティ、遊びの幅が決定しているようですね!
ソフビ雑記バックナンバー検索