ソニーより発売、開発はアメリカのサッカーパンチ、PS4専用ゲーム『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)を四時間ほどプレイしての感想です。
現実の日本、鎌倉時代の対馬を縮尺を変えたとは言え、島内を自由に探索できるオープンワールドアドベンチャー。思わずグーグル・マップの対馬と見比べてしまいました。
PS4末期、溜まったノウハウを絞り尽くしたかのような、極限の美麗グラフィック。広大なフィールドを邪魔しないように、存在感を削ったミニマルなUIと見どころが沢山あります。
まだ最序盤ですが、なるべくネタバレなしで所感を記しておきたいと思います。
このゲームは、歴史ゲームではなく、時代劇ゲームである
我々が思い描く侍や武士道というのは、平和になって戦うことでのし上がることができなくなった江戸時代に成形されたらしいです。僕はにわかですが、マニアの人からすると、時代考証は結構いい加減なところがあると感じました。
製作者の想いとしては、カッコいいサムライになりきれるゲームを作りたかったんだと思います。そのため、実際の鎌倉時代のサムライとは多少雰囲気が異なっていることは否めません。
海外では、日本を舞台にしたゲームを海外の人間がつくるとは、文化を軽視しているなんて論調があるみたいですが、全然共感できません。
むしろ、多少の誤解があったとしても、これほど日本について研究・敬愛された作品が海外開発で登場するというのは、とても光栄だし嬉しいことですね。
モンゴル帝国という強大な敵に対して、侍としてほぼ唯一の生き残りの主人公。侍として無辜の民を守らなければならず、そのためには侍としての矜持すらも捨て、守るべき民から軽蔑されるような卑怯な手段も厭わない……という決意が描かれます。
侍と冥人(闇討ちや罠など卑怯な手段を使う)の間でゆれうごく主人公の境井仁は、めちゃくちゃ強いけど、心理的に弱いところもある、結構共感できるキャラクターでした。
対馬の自然
雄大な自然環境の対馬。どこを切り取っても絵になります。
風にたなびくススキ、靄にけぶる山々、一面黄金色のイチョウ並木、青々とした竹林の奥の木漏れ日……
若干、季節感がよくわかりませんけど……(笑)。
移動はかなり軽快で、プレイフィールとしてはホライゾン・ゼロドーンに近い印象です。
木や竹などブラインドが多くて、高所でなければ見通しは悪いです。木や竹などのオブジェクトは物理判定なくて貫通します。データを軽くする工夫なんでしょうし、プレイ感覚として歩きやすいです。
対馬の建造物
建造物については、ちょっと違和感を感じました。日本人がデザインしたらこうはならんだろ……と。
妙に画面映えを意識しているように感じました。テーマパークのツシマーランドっていう感じ。キレイですが、間のとり方がちょっと過密で、わざとらしく下品に感じました。このあたりは海外の方の感覚なのかもしれません。逆にこのゲームならではの特徴としてとらえれば面白いです。
畳敷きの部屋ってもっと後世なんだよなー、当時はあっても人が座るところに独立して敷くんだよ……とうぜぇウンチクいれつつ。日本家屋の暗さなど、雰囲気はバッチリですね。
建造物のロケーションが、このゲームは歴史ゲームじゃなくて、時代劇ゲームと感じた1番の理由です。
実際のゲームプレイについて
メインストーリーをすすめると、先行くキャラクターの後を追い、敵から隠れて目的地に進むミッションがあります。先導するキャラを追うとカメラが自然と追尾していき、この時の敵に囲まれている状況、一歩一歩進むコントローラを操作する緊迫感たるや! このシーンの迫力は、どんな大作映画でも感じられない、ゲームならではの体験でした。
正面からあたる剣戟バトルは、敵の武器タイプによって対応を変化する必要があります。
刀持ちは防御で待ちスタイル、盾持ちは強撃による崩し、槍持ちは躱してカウンターと、じゃんけんのように相手の獲物によって強い戦法・弱い戦法が変わり、ゴリ押しでは対応不可能、とても面白いです。
更に地形やオブジェクトを利用した戦い方、後にスキルのグレードアップや追加、剣の型などの追加により、バトルはどんどん奥深くなっていきます。
海外レビューで簡単すぎるとあったのですが、幸いにゲーム下手な僕には結構歯ごたえを感じ、ピチピチの若いシリアルキラー女子を求めてサイドクエストを進めていたら、かなりゲームオーバーを繰り返しました。復帰は結構はやいので、ストレスになりません。TIPSが読めないくらい早い時があるので、逆にそれがストレスかも(笑)。
発売前より注目していた風や狐などの動物を使った目的地ナビシステムについて。
風については漫画的で、フォトリアルなビジュアルにちょっと馴染んでいない印象です。木々やチリ、葉などの挙動でわかると思いました。狐については、かなりカワイイ。イチョウの森の中で黄色い鳥を追うのは骨を折りました。こういうゲーム世界内の物体でナビをするシステムは、今後もっと発展して標準化していって欲しいと感じました。
その他の要素
オープンワールドならではの探索要素に、日本的な要素をフィーチャーしています。
秘湯をめぐり最大体力をアップしたり、神社を巡って加護を得たり。
1番独特でシュールなのは和歌を詠むサブイベント。
雰囲気は出ていますが、この切羽詰まった状況で悠長な。
なんでアイテムが手に入るんだろう(笑)。
まとめ
すごく日本や侍が好きで、研究熱心なんだろうな、と思う一方で、ありがち、ステレオタイプな侍要素を感じる印象も否めません。どこでもお辞儀できる、笛がふける、和歌が読める、日本人は風呂が好き……。
一昔前のカンチガイ侍・ニンジャほどではないですが、日本人がプレイするとどこか違和感の感じるゲームです。それを面白みと感じてプレイすると楽しいです。どうしてこういうゲームを日本のメーカーが作らないんだ、という感想をTwitterで見ましたが、日本のメーカーが作らないのではなく、作れないんだと思いますよ。僕にはそれくらいユニークに感じました。
歴史に思い入れがない方か、歴史とは別物のエンターテイメントとして捉えられる人は、違和感なくどっぷり楽しめると思います。
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- 発売日: 2020/07/17
- メディア: Video Game