※三体II暗黒森林のネタバレは無いですが、前作三体のネタバレは含みます
三体は中華人民共和国のSF作家劉慈欣の長編SF小説で、三体II暗黒森林はその名の通り三部作の二部となっています。
前作三体が日本語翻訳されるやいなや、かなり評判になりましたし、自分も長く早く第二部出てくれ……! と三体ロスに精神が蝕まれました。
一年後、『脱水』状態のカラカラの僕にもたらされた日本語翻訳三体II暗黒森林は上下巻に分けられていました。オリジナルの中国語版は一部に比べると1.5倍、三部は2倍の分量になっていると聞いていたので、これは特に驚きませんでした。
さてさて、再び見えた稀代のSF超大作……待ちに待ちわびた第二部のページをめくるのが、少し怖かったです。というのも、面白さに関しては、前評判で前作を超えるスケールと言われていたので、心配しなかったのですが、これを読み終えるとまた一年間三体ロスに耐えねばなりません。
だから、大切にゆっくり読みすすめることにしました。
発売から約一ヶ月かかって上巻を読了しました。
一応ネタバレなしのつもりで書きます。
正直、前作の内容の細部はかなり記憶に薄れていました。三体あるあるなんですけど、登場人物の名前が中国名なので読めないし覚えられないんですよ。あれー? こいつ前作で居たっけ? こいつ誰だっけ? というのが何回もありました。
幸い、今作はページ数は増えましたが、シナリオ展開そのものは上巻についてはゆったりとしたスピードなので、じんわりと前作の設定を思い出してきました。
智子が人類の技術発展を阻害しているとか、素粒子レベル以上の物理現象には作用できないけど、情報は筒抜けとか。三体人の特性だとか。
今作で特に感じるのは、実際の中国人の国際感覚について。作家さんの書いた中国人なので、ちょっと違うかもしれませんが、僕が思うエキセントリックな中国人のイメージと違って、案外普通の人達なんだな、って感じました。また、この小説には中国人以外の人種も登場しますけど、その描かれ方には違和感を感じませんでした。特にタイラーのエピソードに登場するテロリストの独白なんて身震いしました。
どう言えばいいのかな。ああいう独裁政権的な政府の言いなりになる表の顔と自由闊達な裏の顔があるのかもしれない……なんて思いました。そういう中国ならではだからこそ、智子によって情報が筒抜け状態の星間戦争の中、どういう対抗手段をとるのか、こういう展開が思いついたのではないでしょうか。すごく面白い。
前作は、三体問題、VR三体、智子など意表をついた要素や展開があり、いまのところ前作のほうが面白かったけど、多分下巻で展開がスピードアップしていくんじゃないかな。面白くなりそうな伏線が仕込まれているように感じました。
あいかわらず古今東西のSF作品の引用が沢山あり、まさか銀河英雄伝説まで言及されるとは思っていませんでした。
下巻も読みすすめていきます。
下巻感想