※画像は公式サイトより引用
iPhoneSEの第二世代ですが、あまりにも唐突、味気ない発表でした。しかし、現行フラグシップ機と同じA13 Bionicを搭載、かつ価格はほぼ半値という、センセーショナルな製品です。
個人的にアップル離れが加速してしまっている僕ですが、iPhoneSE第2世代の発表は、アップルにとって大きな転換となる製品となりそうで、今後が楽しみになりました。
アップルは安価なiPhoneという顧客のニーズに対して、これまでうまく答えることがお世辞にもできていませんでした。
まずiPhone 5cを覚えているでしょうか。パステルカラーの可愛らしいボディは良かったものの、フラグシップ機との価格は100ドルほどしか差がなく、iPhone史上もっとも存在感のない端末に終わってしまいました。
次に、iPhone5と同じ筐体デザインを採用した先代iPhoneSEです。こちらは当時の販売価格は、5万2800円からでした。やや心もとない16GBのストレージで、画面の大型化が進んでいた当時に時代遅れな4インチディスプレイ(だからこそ良かったとも言えます)を採用していて、他社製のミドル・ローエンドスマホとは違った立ち位置に感じました。
アップルがこれまで、ミドル・ローエンドスマホを発売して来なかったのは、おそらくブランド価値を維持する意図があったのだと思います。
SE2において、このような価格設定にした背景には、現状のハイエンド仕様のiPhoneが売れ行きに陰りが見えたこと=購買層全体に行き届いたことがあると思います。そこで安価なiPhoneを発売することで、新しい購買層を開拓しようという狙いがあるのだと思います。
アップルが恐れていることは、安価なiPhoneを発売することで、今までハイエンド端末を購入して来た層も、買い替えをしてしまうことです。それが、ここまでローエンド端末を出して来なかった理由だと思うのです。
それを今年発売したということは、たとえ既存ユーザーが廉価iPhoneに流れても問題がないという打算があるからだと思います。
最近、ファクトフルネスという本を読んでいるのですが、世界人口の割合を大陸ごとに分けると、アメリカ大陸が1、ヨーロッパ大陸が1、アフリカ大陸が1、アジア大陸が4という割合になるそうです。そして、今後世界経済が発展していくと、アメリカとヨーロッパの割合は変わらないまま、アジアが微増、アフリカの人口が爆発的に増えるという見通しだそうです。つまり、工業製品の購買層が増えるということです。アップルは未来へむけて、今まで存在感の無かった市場へアプローチする布石を打ったんだと思います。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
アップルのすごいところは、SoCに現行フラグシップ機と同じA13 Bionicを搭載したことです。価格はローエンドでも、ハイエンドと同じ処理速度を持たせました。ここに企業としての美学、アップルがブランド屋ではなくテック企業であるということの矜持を見いだせました。
僕は何より、今年発売するフラグシップのiPhoneが楽しみです。iPhoneSE2の発売によって、iPhoneは高額だけど、選択肢がなくて使っているという層は、SEシリーズに流れます。ライトユーザーも信者も同じiPhoneを使っているという状況は終わると思います。iPhone12シリーズは、久々に最高に自惚れることのできる製品になるのではないか、なんて期待しています。
SEは長く販売される製品ですし、価格も相まって、市場最も売れたiPhoneとなる可能性が大です。