正月を自堕落にダラダラ過ごす私です。
期待して劇場版を見に行ったら、落胆しきりだった「交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション1」。丁度キャンペーンでチケット無料だったので、溜飲さがったものの、代金を支払っていたら発狂モノの駄作でした。
アマゾンプライムで今作を見て、前作の制作の意図がなんとなく理解できましたが、やはり前作が駄作であることに変わりありません。
手のひらを返すようですが、今作はめちゃくちゃおもしろかったです。前作を見なくても、TVシリーズのエウレカを見ていたら、理解できると思いますので、とてもおすすめです。
以下ネタバレ。
ところで、製作者サイドは当初より意図してこのような作りをしたのでしょうか? そうだとしたら悪魔的だな、と思うのです。
僕は、前作の不評を受けて、シナリオを変更したんじゃなかろうか、と思うの半分といった気持ちです。
確信犯と思う根拠は、前作のラストの次回予告が、今作に使われていないこと。今作の内容を鑑みても、平行世界の出来事という考えが正しそうです。そして、今作には次回予告がない。
また、今回の演出は、エヴァンゲリヲン新劇場版:破の予告シーンがQに使われなかったことと似たものと思いました。あれがどういう意図なのか、まだわかりませんけど、やっぱりエウレカってエヴァの影響を受けてる作品なんだと思います。
計画変更を余儀なくされたのでは、という根拠はタイトル。今作のタイトルは、「ANEMONE/交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション」であり、「交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション2」ではありません。主人公がアネモネであることからも、このタイトルは納得だけど、仕切り直しをタイトルに込めたようにも感じました。
ところで、エウレカ=綾波レイ、アネモネ=惣流アスカラングレーとした場合、今回のアネモネが「石井・風花・アネモネ」になったのも、なんか影響を感じてしまいました。
話の冒頭、ニルヴァーシュが、敵として描かれます。シリーズを見てきた人間としては、のっけから、これだ! と思ってしまう展開でした。
前作で手抜きと感じたアスペクト比の問題は、新規カットを現実、昔のカットシーンを仮想現実(平行世界)とすることで、次元の対比を明確にする演出に変えました。この演出はナイスアイディアですが、ちょっと詰めが甘いのが、本来テレビアスペクト比にしなくてはならない新規カットシーン(後半のエウレカとの脱出劇)もあり、ここも明確に分ければ、最初からそういう演出でした、って納得できたのになぁ、と思いました。要するに、この演出は批判を避けるためのその場しのぎだったようです。
劇中で、アネモネの父が「人を許せない人間は、他人からゆるされなくなる」といいますが、これって鑑賞者のことを言ってるのかなぁ……なんて思いました。逆に、製作者は、どんな批判を受けたって、我々はそれを受け入れるし許すよ、っていいたいんだろうなって。そう考えると、前作の評価でギリギリのメンタルだったのかもしれません。
今作を見て、交響詩篇エウレカセブンがメタ要素をうまく取り入れている作品であり、特にロボットアニメのこれまでのコンテクストを理解しておくと、より楽しめる作品であることがわかりす。
敵として登場するニルヴァーシュの姿は、マクロスのヴァルキリーのようですし(同じメカデザイナーってのもあるかもしれませんけど)、エヴァを含めて他作品に登場するキャラクターを彷彿とさせるような声優配役、今回の過去シリーズを包括するような作りはターンエーガンダムを彷彿とします。逆に言えば、エウレカセブンたるオリジナリティって、好いとこ取りの何でも有りってことにあるんだと思いますよ。
テレビシリーズの焼き回しではない、と明確に打ち出した今作は、やっと超進化というタイトルに恥じない作品になったと感じました。
完結編の『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション3』 2021年劇場公開ということで、もう一度だけ劇場に足を運びたい気分です。