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Amaitorte / Neko Can Dream-令和に爆誕した本物のゲームボーイ用ソフト

Web漫画・電子書籍漫画作家で、Web系の開発者の猫分儀スミレ氏の個人サークル「Amaitorte(アマイトルテ)」制作の8ビット“風”ではない本物のアドベンチャーゲーム「 Neko Can Dream (猫缶ドリーム)」 をGB互換機Analogue Pocketでプレイ、クリアしました。

Neko Can Dream

Neko Can Dream

  • Kyoko Higuchi
  • ゲーム
  • ¥320

 

カートリッジ版は、もちろん任天堂ライセンス品ではないですが、ゲームボーイ実機にて動作する製品となります。

年末にオーダーしましたが、かなりのバックオーダーを抱えていたもようで、到着まで一ヶ月以上必要としました。

ゲームは、iOS版、Androidアプリ版が存在し、カートリッジ版の20分の1程度の価格で遊ぶことができますが、やはり本物を本物で遊びたい! と思ってカートリッジ版を購入しました。この手の実機カートリッジ版は、海外の個人製作者(もちろん英語版)ではわりと見かけるんですが、日本の個人製作者では、結構珍しいのではないでしょうか。

記事後半にネタバレがありますので、警告をいれますが、ご注意ください。

一緒に購入した書籍と。

猫分儀スミレ氏は、LGBTをテーマにした作品を公開されているということで、この本もそうなのかな? 絵柄が可愛いですね。文も絵も御本人が手掛けられている模様。

公式サイト-Amaitorte

 

こういう言い方は、卑屈で卑怯に聞こえるかもしれませんが、今のご時世と書(描)きたいものが一致しているって、とても羨ましいことですね……。あれ? すぐに創作物に抗議してくる連中って、なんでこういう自分の主義にフィットした作品を広めようとしないんだろう? 文句言いたいだけなのかもなー……。

 

パッケージが作り込まれております。

 

透明プラトレイ、カートリッジケース、そして取り扱い説明書!

ゲーム文化の中で、もっともなくなってしまって悲しいのが、取り扱い説明書です。

ストーリー紹介、操作方法、キャラ紹介や、武器や呪文の説明など……心踊ったものでした。

 

ゲームそのものは、GBスタジオで作られています。

 

以下、Analogue Pocketのアップデートで追加されたスクリーンショット機能で撮影した画面内キャプチャを4倍に引き伸ばした画像です。引き伸ばしてあるため、かなりボケてしまいましたが、実物はパッキパキのキレイなドット絵となります。

 

裏路地で目覚めた記憶喪失の猫耳少女が、街の人々の夢を巡って『夢の猫缶』を作り出して、飢えを凌ぐために本物の猫缶と交換しようと奮戦するというストーリーです。

 

8ビット“風”ではないと言いましても、当時の本体容量と現在のそれでは無限と言っていいくらいの開きがあります。

フィールドはタイルではなく一枚絵ですし、カットシーンも頻繁に挿入され、非常にリッチなつくりです。

 

夢の猫缶を巡って、他人の夢を渡り歩くのですが、どの夢も個性的で展開は意表をついていて、飽きのこない工夫がされていました。

導入となる最初の夢こそ、「このまま〇〇を集めろ的なお使い展開だったらキツイなー」 とその後の展開に若干ゲンナリとしてしまいましたが、次の夢がまったく異なるテイストだったため、良い意味で予想を裏切られました。

予想を裏切られたと言えば、もっとテキスト主導のゲームなのかと思っていましたが、パズル要素、アクション要素もあって、ゲームとしてとても楽しかったです。

 

グラフィックも素晴らしかったです。

意味もないのにトイレの蓋がパコパコできるのは、良かったです!!

 

 

一つ欠点というか、要望として記しておきたいのは、個人的にBGMがミスマッチなことが多かったことです。

特に基本となる夜の市街地のテーマが、やけに陽気すぎて、作品の雰囲気を壊してしまていた印象でした。ステージを攻略して、余韻に浸っているときに、街に戻るとあのポップなBGMで、「そんなに感情を急に切り替えれねぇよ」 と感じました。

 

 

 

 

 

 

ここからネタバレ

ここからネタバレ

ここからネタバレ

ここからネタバレ

 

ボリュームとしては3時間から四時間程度でしょうか。パズルに悩むともう少し時間が必要かもしれません。

エンディングは分岐するのかな? 白猫に花を渡す/渡さないで変化とか? 

 

このゲームでは、比喩表現が多様されていると感じました。

猫耳を持つ人は夢を見ない=リアリストとすると、そんな主人公ですら、現実が受け入れれれず、夢みるしかなかったのでしょうね。

 

最初のステージの8匹のマグロ達は、学生でした。

やがて、社会人になるということを、セリに例えているように思いました。平等と言っても、使える人材・使えない人材と比べられ、持つもの・持たざるものに区分けされていってしまう。

夢の主である先生も、生徒を亡くしたこと以外にも、教師であることの不甲斐なさみたいのが溜まり溜まっていたのかもしれませんね。

 

焼き鳥屋の店主がトリってのは、なかなかパンチの効いた設定でした。

ちょっとこいつヤバいヤツなのでは……と思わせておいて、自然界では共食いなんて普通にあることですし、人間の勝手な価値観の押し付けのようにも感じられ。

ゲームに登場するカップル全員LGBTというのも、なんか多様性っていうより、LGBT至上主義感というか、押し付けくさいなぁ……って僕個人の感想もありました。一組くらい普通のカップルでも良かったのでは。いや、異性間カップルを普通とする感覚が良くないのか……。これは僕の失言でした。

 

政治家が、公共の場で自分の性的嗜好についてポロッと喋ってしまい、職を失う事件がありましたが、あれって政治家だから問題なんですよね???

異性愛者が、同性愛者カップルを攻撃する意図はなく、同性愛にどうしても生理的嫌悪を感じる、という感想も言えない世の中が、真っ当なんでしょうか……。年寄りが、若い子が好き! なんて言うとキモーイと思うのと一緒じゃないですか? 同性愛に嫌悪を抱く人間ほど、同性愛に目覚める可能性が高いって話もありますけど、自分を守る言葉でもあったように思います。

世論の強硬なポリコレ主義ゆえに、後ろ指さされがちな自分の性的嗜好・趣味を隠して黙って、対外的には優等生的キャラを演じて生きるって、それもまた息が詰まるし、逆に危険なような気もします。そんな見せかけだけのハリボテ的な多様性って、価値がないと思うんだ。

自分はできるだけニュートラルなつもりでも、先の失言が出てしまいましたし、こういう感想が出て来たのは、このゲームを通じた学びでした。

おいおい、かなり話が逸れたな……。

 

ステージ2は、突然ミステリが始まって、面白かったです!

これ、乗客全員犯人じゃないよな? って思いながら(笑)。

そういえば、ここの話は女の子と偽っていた男の子と男の子の恋愛みたいな描写がありましたが、同じ主人公の名前の電子コミックが公式サイトで公開されていました。

結構……ガッツリBLでした。

雨の街のテル - Amaitorte

 

 

3つ目のトルテ作りは楽しかったです。甘いトルテ……。

一番むずかしいトルテが、材料集めが大変って意味だと思ったら、作るのも難しいとは……。

ここの倉庫番パートで一番プレイ時間を浪費しました……。

 

いつの時代も現実の辛さから忘れるため、我々は夢をみます。

そのうえ、今は異世界転生モノが流行ってる時代なんで、この物語は刺さる部分があるような気がします。

 

 

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