タクティカルシュミレーションRPGの金字塔、ゲーム史に名を残すマスタピース的作品、タクティクスオウガの二度目のリメイク作品「タクティクスオウガ・リボーン」をSteam版でプレイしています。
クォータービューで高低差のあるターン制ウォーシュミレーションを、タクティカルバトルと言うのは、この作品があったからでしょうね。
現実のユーゴスラビア紛争をモチーフにした、架空の島を舞台にした民族紛争が描かれます。
約27年前の作品ながら、そのグラフィックとゲームシステム、シナリオの基本格子は、なんら古臭くありません。
オリジナル版の約12年後にリメイク作となるタクティクスオウガ 運命の輪が発売されて、本作はこのリメイク作を元に、再リメイクした作品となります。
自分は、基本的に一度プレイしたゲームはフルリメイク作じゃないかぎり再プレイはしない方針なのですが、Cルート以外は人に非ずくらいの偽善者だったので、一度も手を汚したことがなく、もう40歳なんだし、一回くらいはLルートに進んでみよう、と再プレイ。
オリジナル版も運命の輪の記憶も大部分を忘れていたので、なんかすごく新鮮に遊べました(笑)。
10時間くらいプレイしての中間の感想となります。
運命の輪が基本となっていますが、その時に不評だったクラス(ジョブ)ごとにレベルがアップして、ユニットごとの育成が不可能だったことが是正されました。
しかし、レベルがマップ上では上がらず、勝利後のリザルト画面にて平均的に分配されますので、結局のところ、ユニット毎に育成している感じはないです。
運命の輪でこのシステムを不満に思った人を黙らせるためにやってることで、開発者側の思想としては、運命の輪と変わっていない印象でした。
レベルキャップ制が導入され、開発者側から厳格な難易度調整が施されていることからも、「ゲームの遊び方」が制限されている印象を強く感じました。
戦争シュミレーションとして、勝つか負けるかの状況で、個々の育成メインで誰が相手の止めを刺すか順番をパスしたり、石投げ合戦したり、非現実的なプレイをやってるのがオリジナル版でしたので、ある意味これは正解です。しかし、オリジナル版に思い入れがある人からすると、なんか違うな、と違和感感じることも理解できます。
自分は、運命の輪も違和感なかったので、これはこれでありかな、という感触。敵リーダーを真っ先に倒せば、低レベルでも勝てる場合ありますし、戦略の幅ができたような気がします。
エレメントが復活。
運命の輪ってなかったんでしたっけ?
これも別になくても良かったような? 相性とか考えるの面倒……。
魔法もエレメントと合わせた方が強そうで、色々使えない感じ。
運命の輪って、隠し補正があって、予測と実際の攻撃の結果に差があって、アレが嫌だったんだよなー。それがなくなっただけでもよかったかな。
否定的意見の多い新システムバフカードについて。
フィールド上に、各種能力がパワーアップするカードがポップします。
特に攻撃力上昇カードが強力で、2枚ほど取ると無双できますね。
自分が取るよりも相手に取らせないことが大事になってきますので、攻略そっちのけでカードを取りに行くビーチフラッグ戦だ、という否定的意見が見られます。
さっき、レベルアップのシステムで、これこそ戦争シュミレーションとしては正しいとか言ってて、アレなんですけど。まあ、現実からしたら奇妙なシステムです。
この手のゲームで、弓や魔法といった間接攻撃がバランスブレイカーなのが多いですが、タクティクスオウガでもその点が前作で指摘されていました。
今作は、その点を加味して、大幅な弱体化があるのではと考えていましたが、バフカードシステムの登場で、そうでもない印象でした。なぜなら、近接攻撃の場合、攻撃のチャンスがあっても、バフカードを経由して、一度待機しなければならないシチュエーションでも、間接攻撃ならそのまま攻撃できます。
弓などの刺突攻撃に耐性の高い装備のキャラもいますが、魔法使いなどを狙えばよいので、役割がちゃんと決まっていると考えてもいいですが、やはり今作も弓強いです。
カノープスやホークマンなどで、弓を使うとかなり有用。
そのぶん、近接攻撃の兵種がかなり能力的に恵まれているように感じられ、何故かウォーリアーやアマゾネスでレベル上げして、魔法職に転職したキャラクターのほうがINTやMNDを含めた基礎能力が高いんですよね……。後半の伸びが違うのかな??
少なくとも最初から魔法職につけたキャラクターは使い捨てという感じになってしまいます。もしくは、レベルキャップまで近接攻撃兵種で上げて、クラスチェンジ? 今作もクラスチェンジはアイテムが必要なので、最強キャラを育成するのは、結構めんどうそう。
バフカードについては、開発者のほうも、この意見にはよせばいいのに、応戦体制でして……。思いついたアイディアを捨てられなかったんでしょうね。バフカード前提のバランス調整がされているのに、バランスカードを無くせば不利になるって説明は納得できません。ゲーム的なバランスを取るために、調整した要素が歪にさせている印象です。
そもそものバフカードのアイディア自体が良くなかったのでしょう。僕としては、今作はこういうゲームなんだ、という納得している感じです。バフカードの出方次第でジャイアント・キリングできますし。新しい要素を加えよう、という挑戦は良いと思いますが……。
大きな不満点は、ビジュアル面。
運命の輪で大きく刷新されました。マップは3Dポリゴンになり、新しいキャラ絵(僕は吉田明彦氏が神だと思ってるので、申し訳ないけど否定的です。特にカチュアがチンチクリンなのが!!!)、新しいクラスなどが導入されキャラ絵も増えました。
ところが、今作は高解像化のみに留まり、なんの新しさもないのです。
PSP版の運命の輪ですら、キャラクターのドット絵のにじみが気になっていたのに、フルHD画質に耐えられる訳がないのです。
キャラは細やかなアニメーションをするため、全部描き直すことが無理でも、ブラウン管テレビ風のフィルタ加工するなどできたのではないでしょうか。
クォータービューマップの弊害で、マップが見にくい!! なぜ上からだけではなく、FFTのようにくるくる回したり、傾きが変えれないのか。裏面を作るのがそんなに嫌なのか、手を抜きたいのか!!!
まとめとして、タクティクスオウガ・リボーンは、オリジナルこそ至高と考えている人が望んだ作品ではなさそうです。これはこういう新作なんだ、と思った方が精神衛生的に良いです。
公式「待った!」機能のチャリオットや、負傷者・戦死者を出さない完全プレイみたいな縛りプレイをやってる人には、自由度が制限されて、大きな不満が出そうなゲームデザインに感じられました。
逆に勝てればいいんだよ! と負傷者が倒れ3カウント中の内に、バフカードマシマシのキャラを突っ込ませて敵将を討ち取るみたいな力押しプレイでやれば、ストレスなく遊べました(負傷して戦闘不能でもペナルティなしで経験値が分配されるから)。
あと育成で悩むときりがないので、あまり能力値に頓着しないほうがよさそう。基本的にカジュアルに楽しむのがよさそうです。
Lルートに進んだ感想としては……バルマムッサの住人ってこんな無気力な連中だったけ? レオナール……お前そんなやつだったのか、とか昔はちっとも見えてなかった部分が見えて、ガキだったんだなぁとか思いました。現実でそういう選択肢があったら、やっぱり手は汚せなさそうなアマちゃんでしょうが。
ユニットはナイトが強い印象。VITが伸びるし、重い防具装備できるし、物理攻撃力も悪くない、回復魔法も使える。全員ナイトでいいんじゃ……いえ、なんでもないです。