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Playdate Season1ゲーム紹介: Crankin's Time Travel Adventure by uvula

パニック・プレイデートは黄色いキュートな本体に、高精細のバックライトなし(!)モノクロスクリーン、格納式のクランク付きという尖った仕様の最新の携帯ゲーム機です。

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このゲーム機は、ゲーム配信方法もユニークで、毎週決まった日に2本、計24本のゲームが届く仕組みです(その他にもゲームは自由にインストールできますし、自分で開発もできます)。

現在配信中のシーズン1のゲームの紹介記事です。

第何週目になんのゲームがとどくのか、ネタバレになってしまいますので、記事にはナンバリング等はしません(日付でバレるけど)。

今回は、プレイデート用ゲームタイトルとして最初期よりプレイデモが公開されていたクランキンのタイムトラベル・アドベンチャーの紹介です。


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塊魂を作った高橋慶太氏が所属する開発チームによる作品となります。

自分は塊魂をちゃんと遊んだことがなく、本タイトルで高橋氏に注目して、ワッタンというゲームを購入、プレイました。

残念ながら、このゲームは、そのノリが全く性に合わず、むしろ自分が社会不適合者の烙印を押されたかのような疎外感を受けたものでした。

ゲームプレイそのものも面白いとは思いませんでした。

 

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そんな訳で、このゲームも実は前評判ほど、期待しておりませんでした。

神戸のイベントでも触る機会があったので、どんな内容か知っていたのですが、思い返すと、まずタイムトラベルとあるけど、全然時間旅行してなくないか??? と思いました。

 

ゲームのストーリーは以下のとおりです。

クランキンはガールフレンドのクランケットからデートの誘いを受けるのですが、いつも遅刻してしまいます。

 

慌てて起きてもいつもデートの時間を過ぎていて、クランクを回して約束の場所へと急いで向かいます。

 

途中、蝶や鳥、豚などが向かってくるので、花を嗅ぐアクションや、鉄棒に捕まるアクションでやり過ごして、できるだけ早く彼女の元へ向かうのです。

 

クランク操作で、各アクションのタイミングを障害物が通過するタイミングに合わせる……この操作が逆再生、スローっぽい演出になるのですが、デートの約束の時間からの超過が巻き戻ることはありません……時間は不可逆であり、タイムトラベルなどしていません。

つまり、クランクで操作しているのは時間ではなく、クランキンそのもの……マリオを十字キーで左と右に押して操作していることとほとんど同意です(空中で停止したりはできますので、完全に同意ではないですが)

これはウッカリなのか……いや、ユーモアだよね。クランキンだけの時間を操作しているとすると、時間操作なのかな。

 

いくら頑張って、彼女のところに向かっても、遅刻した事実は覆らず、どんなに苦労して早く約束の場所に着いても、ナシのつぶてで彼女からそっぽ向かれてしまって、ピーチ姫のキッスはない訳です。

これってクリアのモチベーションをどこに持てばよいの?????

やはり、高橋さんのセンスって自分にはマッチしないのかも……。

 

このゲームのアニメーションやビジュアルは、一級品であることは認めます。

クランク操作のプレイフィールは独特で、障害物通過タイミングをとるのも、なかなか難しくてワチャワチャして面白いです。

クランク操作だけに注力した、プレイデートのデモタイトルとしては、最高なのかも……。

……と、不満に思いながらプレイしていました。

 

デートの約束を繰り返すうち、印象が変化してきました。

そもそも、クランキンはいつもデートの約束の時間ぴったりに起きます。不自然なくらいです。そして、彼女の約束が迫っているのにも関わらず、花が咲いていれば匂いを嗅ぎ、コーヒーがあれば席に着席して喫茶するのです。最初は、なんて呑気な奴だ、おもしれ~、などと思っていたんですが、クランキンはロボットなので、そんな風にプログ厶した奴がいるのです。もちろん、これはゲームなのですから、そのとおり。メタな皮肉が込められているように感じました。

つまり、クランキン自体は、なんとか時間通りに起きて彼女のもとに向かいたいのです。蝶々なんて華麗に躱して、コーヒーなんて無視したいのです。しかし、プログラ厶によって、自由を奪われ、このループから抜け出せないのです。

本当は、心の中で「コロシテ……コロシテ……」 と血の涙を流しているのかもしれません。……などと、実は結構闇が深いのでは? ブラックジョーク的な要素があるのでは? と思いました。

 

ギミックはどんどん複雑に、種類が豊富になっていき、ハチャメチャになります。

最初の印象とは打って変わって、今はこのゲームがメチャクチャ気に入っています。

少なくとも自分の中では「塊魂の高橋慶太」 ではなく、「クランキンの高橋慶太」 です。

 

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