※序盤のネタバレと、極度の妄想を含みます。
フロム脳というのは、あまりテキストやカットシーンなどで、詳細を説明しないフロムソフトウェアのゲームで、場面状況やアイテムのフレーバーテキストから、妄想を繰り広げて、拡大解釈を楽しむ作法です。
今回も、かなり妄想成分高めです。
例によって、コメント欄は公開していますので、自由に書き込みして頂いて大丈夫ですが、正しい・間違ってる等が書かれて、まだ途中なのに僕自身がネタバレ喰らいたくないので、書き込みあっても僕の方からリアクションはしませんのでご了承ください。
クリアしたので、コメント返しできます。やさしい感じの指摘でお願いします(メンタルよわよわなので)。
接ぎ木のゴドリック概要
プレイヤーである褪せ人が、序盤に訪れるリムグレイブ地方の王。
女王マリカの最初の夫であるゴットフレイの直系の子孫で、現当主がゴドリックです。
マルギットの次にプレイヤーの心をバキバキに折ってくる難敵ですが、エルデンリングの欠片たる大ルーンを持つデミゴットの中では、血が薄く最弱と言われています(ククク……ヤツは四天王の中では最弱……)。
接ぎ木-人体改造
ゴドリックの異様な姿は、接ぎ木と呼ばれる他の生物のパーツを自分の身体に繋いでいることです。取り付ける意味がないくらい腕がくっついていますが、エルデンリングの世界で「指」は人体のパーツ以上の呪術的な意味を持っています。指を見る老婆、二本指、三本指、発見力を高めたり、ルーン習得を高めるアイテムの材料となる鳥の指……。
接ぎ木とは、元は園芸用語で、2個以上の植物体を、人為的に作った切断面で接着して、1つの個体とすることです。普通の言葉をファンタジー世界に持ってくるワードセンスに痺れました。黄金樹とのつながりも感じられ、一層世界設定に深みを感じますね。
園芸で接ぎ木する理由の一つに、品種改良、病気対策などがあります。一部の品種においては、接ぎ木しないと生存できない品種もあります。
先に書いたとおり、ゴドリックは神の血が薄く、デミゴットとしては最弱なので、接ぎ木することで自身を改良して強化していたと考えられます。ゴドリックは接ぎ木という人体改造によって、大ルーンによる狂いになんとか拮抗していたのかもしれませんね。
接ぎ木のもう一つの目的
接ぎ木の目的の一つに、新品種の増殖があります。
ゴドリックは自身の限界を悟っており(老人の姿がそれを暗喩しています)、子孫に王統を託そうと考えているのではないでしょうか。
思い返すと、プレイヤーが対決する最初のボスは「接ぎ木の貴公子」です。
これは強制死にイベントですが(一応勝利できるようです)、こいつの正体はゴドリックの息子です。
ストームヴィル城にも別個体がいるのですが、死んだあとカメラをグリグリやってるとボロ布の下にまだ幼い子供の顔があります。
見えた時、ゾッとしました。
おそらく、ゴドリックは何人もの子供を作って、自分を超えるような後継者を作ろうとしています。
しかし、城の中に王妃的な人はいません。
それはそうでしょうね。ゴドリックの姿を見て、ムラムラと来るような性癖の人はあまりいないでしょうし、生まれた我が子を化け物の姿にする人に愛情を抱くわけがありません。無理やりなのか、発狂してしまったのか、想像を絶するようなおぞましい行為によって、王子たちは誕生したんでしょう。
ゴドリック自身も、そんな王妃? に情がわくこともなく、尊き血を残すという王としての自身の宿命として血統を残そうとしたんでしょうね。
ドラゴンの意味
ゴドリックのバトルで印象的なのは、第二形態でドラゴンの頭を「接ぎ木」してしまうことです。
自分が最初疑問に思ったのは、このドラゴンはなんでここに串刺しにされているのか、ってことです。
僕が最初に抱いた印象は、「百舌鳥の早贄」でした。
百舌鳥は、冬になると捉えた獲物を木に串刺しにして保存する習性があります。
長らく理由が不明でしたが、近年になって、早贄は、オスがメスへの求愛行動をする時、良い鳴き声が出すための栄養食であるということが判明しました。
このことから、ゴドリックはやはり自分がエルデの王になるのではなく、大ルーンを次代に託したいという想いがあるのではないか、と思いました。
もうひとつ付け加えるなら、最初からドラゴンの頭を接ぎ木してなかったのか、もこの説を補強できます。自身を強化して、王になるならドラゴンを接ぎ木することは決定事項で、百舌鳥の早贄のように保管しておく必要はないです。
プレイヤーに体力を削られ、このままでは倒される、と思って接ぎ木します。
さらに、接ぎ木という行為は、近類種間で行われます。ドラゴンと接ぎ木するのはリスキーだったでしょう。竜餐というドラゴンの心臓を食べてドラゴンの力を得る行為がありますが、これも最後は竜の血に狂い殺戮を求めるようになってしまうそうです。
大ルーンに加えて、竜でも狂って人間性を失いたくなかったのではないでしょうか。
ゴドリックは王を辞めたかった
実はゴドリックは退位したかった。
その後のゴドリックはどう生きたかったのでしょう。
ゴドリックを倒すと、背後の扉が開いて、まるで脱出経路のように、次のエリアであるリエーニエへと続く道があります。
これは余談ですが、王座があるこの部屋は、円卓のように攻撃が不可能となっています。
特にイベントはない(自分のプレイ中は)んですが、おそらくこれは大ルーンに狂ったといっても、この部屋だけはまだ黄金樹の黄金律が残っているということなんでしょう。
話を戻すと、この道の先に、シャブリのブドウが落ちていて、傍らに霊体がいて盲目の巫女にブドウを渡せなかった、と嘆いています。
盲目の巫女はすぐ先の祝福にいて、盲目を治すためにシャブリのブドウ(魔法のアントシアニン効果?)が必要だそう。
なんてご都合主義!!! ……いや、これめっちゃ不自然だろ!
状況的に考えて、ブドウを用意した霊体を殺したのはゴドリックです。不可解なのが、玉座の裏に隠された隠し通路に、一般人が入り込んでることです。
矛盾するようですが、ブドウを用意したのも、またゴドリックなのではないでしょうか。
僕が妄想するのは、以下の物語です。
神の血が薄いにも関わらず、王位を継ぎ、エルデの王を目指す宿命を背負わされたゴドリック。しかし、自身の力の限界を感じ、後継者に託すことにしたが、血が更に薄まり自分以下にしかならない。強い後継者を作るため、ひっかえとっかえ配偶者を変えるわけですが、行為に情はなく、自分でも憂鬱な気持ちになるような状態だった。
そんな時、出会ったのが盲目の巫女でした。彼女は目が見えないため、醜悪な自分の姿にもひるまず自然と付き合うことができた唯一の女性でした。
王という重荷を捨て、そんな彼女と一緒になりたい、そんな風に思うのでした。
彼女の目的は自分を癒やすブドウです。王である自分ならそれを手配できると彼女を説得して、その間は、彼女と一緒にいられます。
そんなゴドリックにとって、初めての至福のひとときも長く続きませんでした。
ブドウが見つかってしまったからです。
目が見えるようになったとき、果たしてゴドリックの姿を見て、巫女は悲鳴をあげないだろうか? 恐ろしくなったゴドリックは、ブドウを持ってきた人を殺害します。
そして通路までの扉を閉ざし、串刺しにしたドラゴンの前で、こいつを接ぎ木するか、それとも全てを投げ出して自分をさらけ出すか、思案しているのです。
そんな時、目の前に現れたのが……あなたです。
ゴドリックが褪せ人を嫌う理由
プレイヤーが最初に目覚める場所、あそこは外界から狭間の地を繋ぐ入り口にあたるのでしょう。プレイヤーは霧の彼方から来たと言われます。海の彼方ではないです。おそらく、狭間の地というのは、天国みたいな別次元の世界な感じなんだと思います。
「接ぎ木の貴公子」は、そんな外界と狭間の地を繋ぐところで、褪せ人を狩っているのです。
王子を一人、あんな辺鄙なところで守らせている執念じみた行為をさせる理由とは?
先にも書いたとおり、ゴドリックの祖先は女王マリカの王配たるゴットフレイです。ゴドリックは狭間の地でもっとも権威ある血統といえます。
しかし、なにか事件があって、ゴットフレイはマリカと離縁することになります。そして、祝福をうしない、狭間の地をあとにします。
これは超重要です。つまりゴットフレイは最初の褪せ人の一人ということです。
ゴットフレイの血統は、おそらく褪せ人の中に受け継がれてきたことでしょう。
ゴドリックとプレイヤーは同じ祖先を持つかもしれない……ということです。
これがゴドリックが褪せ人を嫌悪する理由です。
ゴットフレイがマリカと離縁しなければ、ゴドリックや王子たちは自分を化け物の姿にしてまで大ルーンを受け継ぐ必要もありませんでした。
接ぎ木の貴公子が、あんなところに一人いる理由は、自分をこんな姿にした原因は、お前達だ! という怒りです。
ゴドリックを倒したあと、死体を足蹴にする貴人がいます。
こいつは、ストームヴィル城の裏道を手引する裏切り者です。
理由は常日頃ゴドリックから虐めを受けていたそうです。
プレイヤーを手引し、見事ゴドリックが死に、自分は自由だ、と言います。
自由。
ゴドリックが熱望しても手にできなかった望みでした。
自由を手にできる、この貴人や褪せ人は、ゴドリックにとって憎しみの対象でした。
さて、この貴人ですが、やりたいことがあると言いながら、いつまでたってもゴドリックを足蹴にすることをやめません。
それは、死に際にあっても自分の血統を誇示し続け、自分の運命から逃れられなかった男を連想してしまいます。
本日の考察は以上!
全然ゲーム進んでない(難しすぎぃ!)ので、考察記事はしばらくお休みです。
では、狭間の地へ戻ります。