人類は滅亡する！
ヤングマガジンで連載中のポストアポカリプス漫画「虎鶫（とらつぐみ）」を読みました。
核戦争によって滅亡した日本を舞台に、大戦の契機となった秘密兵器「TORATSUGUMI」の機密情報を得るため集められた死刑囚たち。一年後のタイムリミットまでに、機密情報を収得して生き延び、刑罪を雪ぐことができるのか？！
荒廃した東京では、敵性ミュータントが跋扈していて、死刑囚たちがサバイバルすることになります。ピンチのときに現れたのは、つぐみという鳥足の少女と、巨大なトラでした……。
そんな感じで始まるこの物語なんですが、既視感のある環境設定であることは否めません。
死刑囚という、国家にとって都合の良い人が秘密に集められ、なにか条件をクリアすると減刑されるという話は、それこそ手垢がつくほど繰り返されてきました。
最近だと、テラフォーマーズ、地獄楽、ガンツなどのデスゲーム系もその累計？ JAPANという漫画なんてそのままズバリな感じでしたね……あれはインモラルな漫画だった……。
虎鶫が出色な部分は、その画力が大きく占めていると思います。
死刑囚や軍人たちの顔は、モブキャラに至るまで、しっかりと描かれていて、とても良いです。フランスで先行配信されたようですが、どことなくバンドデシネ的な、彫刻的な人物の描き方もいい感じ。
さらに、ポストアポカリプスの荒廃した都市の背景。一コマ一コマ精緻に描かれた風景に圧倒されます。
最後にヒロインのつぐみの魅力も語らねばなりません。アクの強いビジュアルの男性陣の中に、可憐に咲いた一輪の花。彼女だけは、昭和の少女漫画のような儚い繊細なタッチで描画されていて、異質な存在です。
下半身が鳥の逆接レッグなので、ケモナー的には結構レベル高め。安易に猫耳少女とかではないところにカルマを感じます。
鶫という鳥は、夏になると鳴かないことから名付けられたといいます。彼女の名前には、秘密兵器における謎が秘匿されているんでしょうね。
劇中で最強に強くカワイイ彼女ですが、個人的にセクシャルな魅力はあまり感じず、老紳士が孫を可愛がる的な目線で愛でたい感じです。
二巻でようやく物語が走り出したところ。ここからどんどんスケールアップして欲しいですね。人類は滅亡する。
試し読み-虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT-
