smogbom

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葬送のフリーレンの感想

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パンデミックのせいで、めっきりコンビニに寄らなくなり、そのため漫画の立ち読みもしなくなり、最近の漫画がどんななのか疎くなってしまった僕です。

マンガ大賞作品くらいは追っていかねばなぁ、と思い、2021年度の大賞の栄冠に輝いた、週刊少年サンデー連載中の葬送のフリーレン(既刊4巻)を読んでみました。

この漫画の設定は、コッテコテの、王道といえばいいけど、特徴のないテンプレ通りの勇者と魔王、剣と魔法の中世ファンタジーです。特徴の無い世界設定でありながら、悠久の時を生きるエルフ目線というワンアイディアで、ここまで面白くなるとは、びっくりな作品です。

 

昨今のエルフという種族の取り扱いは、ただ単に、作品中でもっとも美しく、いつまで経っても劣化しない、という、作者の怠慢と(読者の)下劣な欲望を押し付けただけの存在になってしまいました。容姿の特徴は絵師におまかせ(絵師も判子絵だったりしてね!)、豊満な肉体をもち、精神は幼く、人間と違いは長い耳がアイコニックにあるだけになってしまいました。

 

その点、葬送のフリーレンの主人公のフリーレンは、ここにおいてもガッチガチの古き良きエルフの特徴をもっていて、おじさんも、よしよしと頷くばかりです。

 

物語は、勇者が魔王を倒したあとから始まります。エルフという長寿の種族と、人間という短命の種族の種族間ギャップを中心テーマとして、かつての仲間との無情なる別れに、やっとエルフのフリーレンは、後悔をして、人間という隣人のことを知ろうとします。

 

僕は、ペルソナの続編で、もっとダイバーシティを強化して、日本人と白人の美形以外の人種を増やしてほしいという要望の記事を書いたことがあります。

smoglog.hatenablog.com

これに対するコメントに、ポリコレ表現で荒れる状況で、そんなの誰も求めてないよ、ってご指摘を受けました。

僕が思うに、現代を舞台にした場合、説教くさかったり、独断的すぎたり、表現の仕方がまずかたりで、うまくいってませんが、暗にたくさんの人が、人類における根源的問題として、そうゆう要素を求めているんではないでしょうか。

 

思い返せば、ドラクエVなどで、本来は絶対悪であるはずのモンスターが、「仲間になりたそうにしている」なんかも、そういうメッセージと捉えることができます。どんなグループにだって、いいヤツと悪いヤツがいる。自分が好きなグループが善で、嫌いなグループが悪として、活動している人たちは、差別主義者です。ちなみに、葬送のフリーレンの魔族は、昔ながらの絶対悪であり、理解し合えない者同士という設定で、逆に新鮮ですね。

 

理解しえないままの別れに、エルフではない僕たちが共感しえるのは、別に長生きしなくたって、事故であったり、災害であったりで、一度別れて二度と出会えないことは普通におこりうるからです。人付き合いのあまり得意でない僕は、特にどこかでかけがえのない出会いや友情などを失ってしまっているのではないか、なんて思いました。

 

寿命の点でいうと、3年ほど前に亡くした愛犬のことを思い出します。自分なりに理解し、愛情を注いだつもりでしたが、もっとやり方があったんじゃないか、なんて思うと、やはり後悔の念はどこまでの残ります。

 

誰かとわかり合いたい。

根源的な欲求を訴える葬送のフリーレン、素晴らしい作品に思いました。

タイトル回収……かっこいいね!