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プロメアの感想-トリガー作品に苦手意識あったけど、これは好き!

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プライム会員のうちに色々見ておこうと思って、苦手意識のあったトリガー作品の劇場アニメ『プロメア』を見ました。

 

あらすじ

炎を操る新人類バーニッシュの出現に端を発する惑星規模の発火現象である世界大炎上により、人口の半分が焼失してから30年が過ぎた世界。自治共和国プロメポリスでは、炎上テロを繰り返す過激派バーニッシュの集団マッドバーニッシュに対抗すべく、対バーニッシュ用装備を扱う高機動救命消防隊バーニングレスキューが消火活動を行っていた。

バーニングレスキューの新米隊員ガロ・ティモスは、火災現場でマッドバーニッシュの首魁である少年リオ・フォーティアと出会う。「燃えて消す」を流儀とするガロと「燃やさなければ生きていけない」と語るリオは、互いの信念をかけて熾烈な戦いを繰り広げる。

燃える魂をぶつけ合う二人の戦い、果たしてその先にあるものとは――

引用-プロメア - Wikipedia

 

トリガーというと、グレンラガンの主要スタッフが独立して、キルキラル、リトルウィッチアカデミア、ダーリン・イン・ザ・フランキスなどを制作しているアニメーションスタジオと認識しています。

僕はもちろんオタクではあるんですけど、漫画などの原作アリのアニメについては、ちょっと斜に構えた態度をとっていて、優れた作品に寄生してクリエイティビティを履き違えた連中……なんて思っています。そんな思い込みの激しい僕にとって、オリジナル作品でヒットを飛ばすトリガーは、すごいスタジオと思っていますが、その作風が好みかと言うと……うーん、今ひとつ、好きになれませんでした。

超絶技巧の凝ったカット割りとスピード感満載のアニメーション、演出のクオリティは、我を忘れてしまうくらい素晴らしいのですが、あッと驚きさえあればよいとばかりのシナリオ展開の突拍子の無さに、毎度白けてしまって、途中で視聴をやめてしまうこともありました。

 

今回も、そのトリガー節とも言えるどんでん返しがありますが、テーマ選びが個人的に良くて、すごく面白かったです。あとロボットアニメと知らなくて、驚きました。声優さんに有名俳優使っていますけど、下手くそとか、合ってないとかなくてよかったです。スパロボ参戦とかするのかなぁ。

 

以下ネタバレ有り。

パイロキネシスと消防団員の戦い、その裏で起こっている陰謀、という体裁になっていますが、本当のテーマは、「意見対立による炎上」そのものと思われます。SNSなどで今、この瞬間も起こっている、人と人との意見の食い違いによるぶつかり合い。それを可視化させたのが、プロメアという物語であると僕は思いました。

 

作中では、パイロキネシス能力者はバーニッシュと呼ばれ、差別の対象となり、犯罪者予備軍のような扱いとなります。この構図も、現実世界での人種やマイノリティへの差別、難民問題などに紐つけることができます。ダイバーシティ(多様性)は結構描けていたように思いました。人命救助をそういう風に見たくはありませんが、男同士のキスシーンは、一部の人たちへのサービスじゃない。フリーズフォースのヴァルカン隊長が、コメディタッチではあったものの、小人症っぽく描かれていたのも、彼の人格成形させた過去に想いを馳せてしまいました。

 

劇中での「炎上」に対する答えは、結構面白くて、他者間で対立が起こるのは仕方のないことだから、不完全燃焼で禍根を残すより、完全燃焼燃やし尽くせ! っていうものでした。この答えは、なんだか新しいな、と思いました。SNSなんかで対立が加熱して、炎上しちゃうのは、悪いことばかりじゃないんだよ、と言うことかなぁ。あくまで僕の解釈ですけど。

 

映像面で特筆したいのは、背景についてです。アニメ映画の背景というと、キャラと違って個性の立たないセクションではあります。プロメアでは、主要な舞台である都市をフル3DCG化させており、マイクラ風のボクセルスタイルに統一させてキャッチーさと個性を際立たせています。フル3DCGによってカメラアングルは縦横無尽・自由自在で、バレット撮影し放題で、アクロバティックなすごいカットシーンが続きます。余談ですが、背景がボクセルなのと、プロメア生命が三角のポリゴンなのは、別次元の存在であることを示唆しているのかな。

 

シナリオについては、やはりトンデモ展開は多いですね。唐突にプロメアの正体が明かされるとか、ガロとリオが池の底の研究所に来たのは偶然だとか。もう少しうまい伏線を張って欲しいという気持ちが正直なところ。

一番残念なのは、クレイが権力と名誉欲に駆られた、わかりやすい悪人だったことです。物語的なわかりやすさを優先したのかもしれませんが、彼なりの正義があった結果だったとしたら、譲れない正義同士の対決、どちらも間違いではない意見同士炎上となり、テーマに深みが加えられたように感じました。

 

物語のあとのことを考えると、元バーニッシュの人と普通の人、船に乗った一部の人と残された人などの対立関係は残り「炎上」し続けることでしょう。でもガロたちバーニングレスキューの面々が、行き過ぎた場合は鎮火させるのでしょうね。問題は解決してはいませんが、人間そこまで終わってねーよ、と希望の持てるラストで良かったです。

 

プロメア

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