お題「#おうち時間」
2017年にSteamにて無料公開、日本語化MODが公開されるやいなや、日本でも話題沸騰したDoki Doki Literature Club!(ドキドキ文芸部、以下DDLC)をクリアしました。
メディアでも特集記事になってましたし、有名ゲーム実況者もこぞって実況プレイしていたので、一応ダウンロードしてすこしだけプレイしたんですけど、普通のギャルゲーじゃん……、海外のゲームで確かに日本のギャルゲーと遜色ない感じだけど……それが面白いのか? と放置していました。最近はお家時間が長いので、なんとなくプレイ再開したら、怒涛の展開でびっくりしました。
以下ネタバレあり。ネタバレなしの状態でプレイしてもらいたいので、未プレイの方は是非。ただし、ゲーム中にも警告があるように、子供に相応しくない内容、または刺激の強い表現が含まれていますので、その点は注意してくださいね。
このゲーム、ホラーや精神崩壊などの剣呑なタグが付いていますが、根底にあるのは、被創造物に課せられた悲しい運命と、プレイヤーに対する無償の深い愛情がテーマとなっています。メタフィクションを題材にしたゲームとして傑作だと思いました。
メインヒロインは4名。
左から、文芸部部長の完璧美少女風のモニカ。
プレイヤーの幼馴染で、朝は弱い天真爛漫少女風のサヨリ。
ツンデレ・ロリっ娘風のナツキ。
スタイル抜群の文学少女風のユリ。
イラストレーターも海外の人なんですけど、派手な髪や目の色、不自然に身体にフィットした制服のブレザー(いわゆる乳袋)、回転ノコギリのような鋭利なプリーツスカートなど、日本の二次元絵の流儀をよく理解されています。
幼馴染に誘われて、文芸部に入部するプレイヤー。ゲームの序盤は、よくあるデートシムの流れになります。ありがちな属性を備えた四人の少女との交流を予感するはず。
文芸部の活動として、詩を作って見せ合うことになります。気になる女の子と好感度を高め仲良くなるように、好きそうなキーワードを選んでいきます。
最初は普通のギャルゲーなんですけど、ここでもこのゲームが普通のゲームではないことの片鱗が見え隠れします。天真爛漫風の幼馴染であるサヨリの好きなキーワードになにか不穏な空気が隠れていたり……。
都合よく、女の子と仲良くなっていく主人公。
でも、ワイは幼馴染ちゃんを捨てないぜ!!
えっ?
そ、そんなー!!!
両思い=ハッピーじゃないのー?!
2周目スタート。
表示が乱れてますが、これが仕様。
ここから、どんどん世界が壊れていきます。
ヒロインたちの隠し事もどんどん明らかになっていきます。
セーブデータも一新されてしまいました。
ここはサヨリのいない世界……。
バグ・グリッチ表現が頻発します。
ヒロイン達が隠していた本音が漏れます。
あるいはデータ改ざんによる影響か。
やがて、この世界を支配している存在が見えてきます。
ゲームに登場するキャラクターによるキャラクターの消去。
おー、こわ……。
しかし、それも愛なのです。たとえスクリプトで仕組まれたものとしても……。
ここからゲームはトリッキーな方法で進行することになります。ゲームを一旦終了し、ゲームファイルの一部を改変します。
彼女は、何度もプレイヤーに自分を消すように示唆します。怖い女、と最初は思っていましたが、この世界に未来がないことを悟っていたんでしょうね。プレイヤー自身の手で、彼女を消す、という行為がなんと重いことか……。
この世界の歪みの元凶を消したとしても、ハッピーエンドを迎えることはできませんでした。プレイヤーはこのゲームから何かを感じ学び、そして現実へと戻ることを余儀なくされます。
ゲームをクリアすると、再インストールしなければ再びプレイすることはできません。この演出も切ない。
ご都合主義に作られた、全てのフィクションの登場人物たちのことに想いを馳せずにはいられません……。本当は身勝手なプレイヤーのことなんて好きじゃないのかもしれません。でもそういう設定だから、本当の自分を隠して、偽って良い子のフリをしているのかもしれません。
DDLCには低確率で発生するイベントや、生成される内部データファイルそのものにたくさんの仕込みネタがあり、いかにもなギャルゲーというフォーマットにメタフィクションの皮肉がたっぷり仕込まれています。クリア後は考察や隠し要素などを調べるのも良いと思います。ゲームを遊ぶというより、解体して調べるというプレイ感覚が斬新でした。多くのプレイヤーにトラウマやしこりを残し、一部の人は非公式の追加シナリオMODを公開、こちらの出来も良いそうです。