電子音声:IDを確認します。AmazonIDを確認。施設内では武器を強制ロックします。依頼された任務を確認。
ーー配達員が配送端末に荷物を納めた。ホログラムが起動して、上下よれよれのスウェット姿の三十代冴えないおっさんが現れる。
おっさん:やあ！ 待っていたよ！ 荷物だね……確認するね。わお！ 信じられない！ ほとんど新品じゃないか！
総合評価はS……んな訳あるか！ 時雨も降ってないし、BTもミュールも居ないのに、どうして本が傷ついているんだよ！ 大型本なのに、簡易包装はやめて！！！
茶番終わり。
今回もデス・ストランディングのネタバレも含む内容です。
そんな訳で、前回の小説版レビューに続きまして、本日はデス・ストランディング公式アートブックのレビューをしていきます。
大きくて重くて立派な本です。価格もそれに見合っております。
茶番で完璧な状態での納品ではないことを告白しましたが、内容は本当に良いです。
文字はキャプション程度で、読み物という感じではなく、完全な画集でした。素晴らしいアートばかりなので、文字がなくても説得力が凄い。
デス・ストランディングって、前情報もほとんど明かされず、どんなゲームなのか？ って期待と不安のまま発売を迎えたゲームだと思います。でもゲームというのは長い開発期間を経て完成を迎えるものです。環境設定、キャラクターデザイン、小道具の仕様など事細に決めて、多くのスタッフにも「どんなものを作ろうとしているのか」をきちんと共有するためにも沢山のイメージボードを作成する訳ですね。
この本では、初期のころから製品版になるまでのコンセプトアートや設定資料画が沢山収録されています。ゲームを楽しんだファンとして、とても興味深いです。こういうイメージでこのデザインはされていたのか、このキャラクターは当初はこんなイメージだったのか、ボツ案になってしまったがこんな可能性もあったのか、と。
キャラクターについては、サムやアメリ、クリフについては最初から配役が決まっていたのか、イラストでもかなりゲームに近い姿が描かれていました。フラジャイルは、当初は全然違って、エモファッションのような涙の化粧、前髪が長くショートボブ風と、下手すると十代くらいの見た目でびっくりしました。
衣装や小道具については、ブリッジズのスーツは結構沢山の案があるのですが、どれもかっこよくてクオリティが高いのに、こんなに沢山の代案があることにびっくりしました。ゲームで登場したか、ちゃんと見てませんが、ミュールのバックにミステリーランチのスリーディアサルト風のジッパーのものがあって、くすっと笑ってしまった。
前回の記事で書いたとおり、フラジャイルの傘は割れたガラスをイメージしたもの。
BBやスティルマザーのカプセルは、エジプトの棺をイメージしたものらしいですよ。
オドラデクはどうやらヒトデをイメージしたものらしいですね。海洋生物は座礁体として何度も登場するアイコン。また英語でスターフィッシュと言いますし、星は古来より旅人や船乗りが方向をしる道標としてきました。オドラデクの機能を鑑みると、ピッタリなモチーフに思いました。
使用されなかった車両がかっこよかったですが、違う映画みたいになるので採用されなかったのかもしれません。
ヒッグスとの殴り合いは、当初手錠端末で繋がりあった状態でやりあう予定だったみたいです。そっちの案のほうが良かったかなぁ……。
妄想が膨らんで、非常に楽しい本でした。
