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スイッチ版も発売中のビジュアルノベルfault - milestone one

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結構前にsteamでPC版を購入したんですが、登場人物の女性比率が極端に高くて、「なんか期待してたファンタジーとは違うな」と思って、途中放置していました。

先日スイッチ版がダウンロード販売されるタイミングで、続きからはじめ、極端な男女比にも納得のいく理由があることを知って面白い! と一気にラストまでいきした。……とはいうものの、分岐のない(なかったよね?)ビジュアルノベルなので、総プレイ時間は3時間くらいです。

シナリオを手掛けているのは、アメリカの方ですが、日本のビジュアルノベルに感銘をうけ、ビジュアルノベルの聖地として日本に渡り、このゲームを開発されたそう。グラフィックは日本の方です。海外の方がヒットしているみたいです。

ゲームのテーマに、「異なる文明同士の交流(文化ギャップ)を描くこと」があると感じていて、それはシナリオライターの来歴から由来している気がします。

国産インディー累計30万本のヒット!国際化するビジュアルノベル「fault」シリーズ開発者インタビュー - fault SILENCE THE PEDANT

シナリオ以外の部分では、グラフィックが高解像度でびっくりしました。UIも洗練されています。セリフは音声なしです。

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なかなか凝った世界設定のあるゲームです。

まず前提として、この世界には魔法に似たマナクラフトという技術があり、それと同時にマナクラフトが全く発達していない(とある理由により発達させることができない)科学文明が存在します。

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主人公の二人は、マナクラフト文明側に人間です。

セルフィーネは王位継承筆頭のお姫様です。特殊なマナクラフトで、歴代の王の知識や経験を継承しています。

その側近で護衛役のリトナは、若くして近接戦闘用のマナクラフトの達人です。

二人が住む王国に突如として正体不明の武装集団が襲撃。王都陥落の緊急事態に見舞われます。

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襲撃から瞬間移動のマナクラフトで脱出する主人公の二人。転送には成功するものの、目的の指定は失敗(fault)。移動先は想定していた脱出先ではなく、故郷から遠く離れた惑星の裏側でした。

その土地(アウターポール)と主人公二人の故郷(インナーポール)との関係は、淡水湖と海の関係に似ています。アウターポールの人間は、マナのあるインナーポールでは生きていけませんし、インナーポールの人間はアウターポールでは体内にマナを吸収できずに(MPが回復できない状態)、活動時間は制限されてしまいます。時間制限があるなかで、二人は王国にもどれるのでしょうか!

……というのが、物語のあらすじです。

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……ここまでで、登場人物は全員見目麗しい女の子ばかり! テロリストグループも全員女の子です。

なんだかなぁ~、って思っちゃったわけです。

 

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この時点で、僕は固定概念に凝り固まっているんです。女の子はか弱く守られる立場で、強い女の子は特殊である、という考えです。

 

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深夜の裏路地を女性が一人、なんて我々からすればなんと不用心な、と思うのですが、マナクラフト文明では、腕力など関係なくマナクラフト能力が高ければ、女性が男性を圧倒することができる世界なのです。

このシュチュエーションの場合、マナクラフト文明では、よほど腕に自信がある女なんだろう、警戒せねば、という印象になる訳です。

この着眼点は考えれば考えるほど、納得してしまいました。魔法という技術が存在するファンタジーの全部が、こんなふうになるのが自然ではないでしょうか?

 

主人公二人が飛ばされた土地(アウターポール)は、マナというマナクラフトにとって燃料ともいえるものがない土地です。そのため、そこではマナクラフトは発達せず、かわりに科学が発達しています。

誤解してしまったのですが、科学文明が発達した我々に近いような文明の方が、この世界では遅れていると考えられています。前述の男女平等の観点からみれば、そうかも知れませんね。

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ここからネタバレ

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故郷から遠く離れた土地で、主人公はとある少女に助けられます(またしても女の子!)。

彼女にはとある秘密が……。

 

このエピソードは、自分の考えを改めなければ、と心苦しい気持ちになりました。

「未成年の犯罪」というニュースを知って、あなたはどうおもいますか?

「親の躾がよくないからだろ」……そんな風に突っぱねるような感想を僕は常々思っていました。

このお話の中に登場する家族は、とても善良で才能がある至極まっとうな人たちでした。そんな家族の中に、人との関わり方がとても特殊な娘が生まれます。

自分の子供が、もし仮に吉良吉影みたいに、生まれながらにして人を殺さずにはいられないって性分だったら?

そんな子供を授かり、育てていくことは罪なんでしょうか。自分たちのことを全然知らず、まったく関わっていない人間が「親の躾がよくないからだ」なんて、言ってしまっていいんでしょうか?

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なんとメッセージ性のあるエピソードでしょう。

とても考えさせられました。

 

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一行は旅の仲間を獲得しますが、襲撃者の首領が突然あらわれ、お姫様の様子に異変が……なんという鬼の引き! ここで最初のエピソードは幕間となります。

faultというタイトルには、欠陥品とか失敗作とかいう意味もあるので、転移失敗という意味以外にも、主要人物由来の意味もありそう。

 

faultシリーズは現在、外伝を抜いて2作が発表済みで、次のエピソードのマイルストーン2は第二章の前編で、現在制作中の3作目は、なぜか前日譚となっているみたいです。面白かったので、続きもプレイして、続きはよぅ! とヤキモキするか、それともまとめて前後編で楽しむか……うーん、悩ましい。

 

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