VR元年という言葉があった。
オキュラスの市販版リフトを皮切りに、続いてHTCがVIBE、マイクロソフトのホロレンズ(MR機器)、モバイル端末を使った簡易VR機器、プレイステーションVRと、これからこの分野は百科狂乱、ますます盛り上がるぞ……! という機運であった。
いち早く、このVRという分野の可能性に目を付け、本業を蹴ってアメリカのオキュラスに直接交渉、オキュラス・ジャパン設立の立役者となったGOROmanこと近藤義仁氏の著書である。
本の構成は、「自己紹介‐VRとの出会い」、「オキュラス・ジャパン設立の裏側」、「VRが一般に浸透するには」、「VRによって変わる未来のビジョン」といった感じになっている。
僕は著者のことを購読しているポッドキャストで知っていたし、「キモズム」というキーワードの誕生も、そのポッドキャストだったと思う。
参照‐#176:GOROmanさんと語り合うVRとMikulusとキモズム – backspace.fm
第二章で、オキュラスがFacebookに買収されるところが書かれている。オキュラスにとって、これが幸運なことだったのか不幸なことだったのかはわからない(ビジネス的にはよかったのかな?)。でもユーザー的にはあまり良いことには思わない。現在のVRの停滞感ってFacebookのせいな気がするんだな。開発者はみんなFacebook嫌いでしょ。
未来のコミュニケータハブとしてVRに目を付けたところは、本当に流石だと思う。早すぎたきらいはあって、時間や流行の流れが早くなりすぎた現代の弊害って部分があるんじゃないかな。販売計画などにおいてはFacebook流を押し付ける形になり、まだ新しい分野なりのエモーショナルな感じはスポイルされてしまった。杓子定規な方法でマーケティングしても、この段階では意味がない。情熱があるからこそ、新しい分野に人が集い、発展していく。そういう段階だったのに。
結果的に、中核メンバーがオキュラスとオキュラス・ジャパンから退社、という結果を招く。Facebookの中の人も、あとになって後悔していると思う。パルマー・ラッキーというカリスマの喪失はビジネス的にも大きな痛手のはずだ。でも、それを回避できないくらいFacebookは巨大でのろまなのだ。
この本が出た当時は、まだオキュラスGOが販売前で、世間ではVR分野に停滞ムードが漂っていた。アミューズメント施設はともかく、コンシューマには受けない……まだまだマシンスペックが足らない(コストが高い)……コンテンツがない……
この本が、それを吹き飛ばすようなビジョンを提示するのではないかと期待していたが、2年か3年早くこの本が出ていれば、衝撃の内容だったのにな……という感想だった。
しかしオキュラスGOを被って、きちんとVRを自分の体験としてから、やっと実感が湧いた。この世界の未来は明るい。まだまだ過渡期なので、できることは少ないが、伸びしろは非常にある。今のゴーグル型から、メガネ型、ネックストラップやドローンからの網膜照射などに進化していったら……。
オキュラスGOが出たことで、この本の価値は上がったと思う。
オキュラスGOはFacebookにしては良いプロダクトだと思う。
非常に安価ながら、実用性十分にして、VRという大きな可能性を夢見させるだけの大きな伸びしろを感じさせる。初期のパソコンやiPhoneなんかに感じるものだ。
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