smogbom

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砂の女 /著・安部公房 の感想

PC版のデス・ストランディング2が発売するし(発売したのかもしれない。ちょっと遊ぶ時間がとれそうにない)、安部公房の本を読むことにした。

名古屋のヘラブックスさんで、本を買う習慣を初めて二冊目だ。

砂の女は、安部公房による1962年発表の長編小説で、日本文学の中でもかなり異色で哲学的な作品、とされている。

海外人気も非常に高い。

 

ネタバレなしの感想としては、とても読みやすい。

状況自体は明瞭で、拘束からの脱出ゲームとして読めば詰まるところはなかった。

一方、比喩的表現や、哲学的な問いも多いため、そこでいちいち思考の檻に入ってしまうとなかなか読み進めることができなくなる。

自分自身を含めた人間の普遍的なテーマなので、何度も読み返して良いと思った。

長編小説だけど、そこまで長くないし。

あらすじ

主人公の男は昆虫採集のため、家族にも行き先を告げず、半ば失踪するように、海辺の砂丘地帯を訪れる。

男は、未発見の昆虫を採取、発表して歴史に名前を残すことに執着している。


帰りのバスを逃したことで、村人に案内されて、砂に侵食されて埋もれかけた集落の中、砂の穴の底にある家に泊まることになる。

男は、どうしてこんな不便な場所で暮らすのだろうと疑問に思う。

家では、まだ若く生まれた時から村で暮らす未亡人の女(ちょっと艶っぽい)の世話になる。

 

翌朝、外に出ようとすると縄梯子が外されており脱出不能、閉じ込められてしまう。

 

実はその村では
砂に埋もれないように毎日砂をかき出す労働が必要で、男はその労働力として拘束されてしまうのだった。

 

自由を奪われ、理不尽な状況に激しく抵抗し、脱出を試みる男。

しかし、失敗と反復の中で、女との生活は次第に日常となっていく。

自由こそ制限されるものの、何一つ生きていくことに欠けてない。

やがて男は、かつての「元の暮らし」を思い返し、「今の暮らし」と対比させていく。

 

果たして男は、砂の底から逃げ出すことができるのか。
それとも、そこに留まる理由を見出してしまうのか。

 

感想

放置しておくと砂に埋もれてしまう集落を舞台にしている。

どこか科学的な裏付けがズレているような、少し奇妙に感じる物理法則が働いていて、なんだかJOJOっぽさを感じた。

まるで、8部ジョジョリオンの壁の目っていう土地が隆起してできた場所みたいだ。

 

主人公の男が、だいぶ拗らせちゃってる。

でも、なんとなく僕側の拗らせ方だ。

自分には、なにかとてもつもない役割をもっているはずだと、どこかで信じている。

自分の存在価値を世に示したい。自分を認めない世の中が間違っている。

世の中に不平不満を抱えているが、身を粉にして世の中を変えようとは思ってない感じ。

偏屈でめんどくさい。

 

最初、彼は閉じ込められた状況に激怒して、脱出を試みるんだけど、だんだん状況に順応していく。

外へ出れば、解放されるような砂かきの労働に嫌気がさし、無意味だと女にぶちまける。

 

しかし、女は村での暮らしに順応しきっていて、疑問を抱かない。

男は、世の中を知らない可哀想な人間と判断する。

 

ここで見えてきたのは、世界の入れ子構造だ。

男自身も、元の生活に不満を抱えてして、新種の虫を発見して広く世間に認知されようとしていた。

その立場を得た瞬間、また別の目的が生まれる。

女は村での生活に満足していて、男という労働力、異性がやってきて喜ぶ。

この対比が鮮烈だ。

 

世の中には羨むような理想の暮らしみたいのがあるが、そのステージに生きる人間も不自由や不満を抱えているんだろう。

一方、惨めに感じている今の生活だって、本当は案外悪くないのかもしれない。

むしろ、不平や不満を捏造して、それを生きるための着火剤代わりにしているのかもしれない。

SNSでの政治批判とか、芸能人の不倫炎上とか、ああゆうのもそうなのかなぁ。

 

結論は、単純に男が不幸で女が幸福という、不相応の暮らしこそが最善、というお話ではないんだろう。

帰属意識の問題とも考えられる。

住めば都なのか?

着地点はすっきりせず、砂のようにまとわりつくような、居心地の悪さがつきまとう。

 

……最後はカッコつけすぎました。

 

 

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