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コンラッド / 闇の奥 ‐ ポリコレ・Woke渦中の今だからこその読み方

『闇の奥』(Heart of Darkness)は、イギリスの作家ジョゼフ・コンラッド(Joseph Conrad, 1857–1924)が1899年に発表した中編小説。

名古屋にある素敵な本屋ヘラブックスさんにて、最近高尚な文学に触れてないし、読書習慣を取り戻したいと思い、名古屋に来る度に本を一冊購入していこう! なんか俺カッコイイって自惚れるし! と思って購入。

 

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店主がどう思ったのかわかりませんが、別にコンラッドも闇の奥も知らねぇ! 名の知れた文豪は、名前が省略される(例:フィッツジェラルドとかディケンズとか)の法則に従っただけである……。

著者のジョセフ・コンラッドは、1857年のロシア支配下のポーランドの没落貴族の家に生まれる。父は独立運動に関わり流刑、母も若くして亡くなり、少年時代から困難な境遇にあった。16歳でフランス船に乗り、のちにイギリスの商船隊に加わる。約20年にわたり世界各地を航海。イギリスに帰化し、英語を第三言語として習得。40歳頃から本格的に英語で執筆を開始。豊富な航海経験を背景に、帝国主義や人間の内面の葛藤を主題とした作品を多く残す。……なんつードラマティックな人生だ。

闇の奥はジョセフ・コンラッドの代表作の一つで、帝国主義と植民地主義の暴力と虚偽。表向き「文明の伝播」と称しつつ実際には搾取と破壊であることを暴く。

映画『地獄の黙示録』(1979年、舞台をベトナム戦争に移した作品)の原典としても有名。

 

文章量としては中編にあたり、ページ数は少ないし、新訳である公文社古典新訳文庫版はとても読みやすい。解説を読む限り、過去に三度翻訳されたようだが、どれも原典である英語版を忠実に翻訳していて、非常に難解らしい。過去に読んで断念した人にも今回の新訳版はオススメである。

読みやすいと言っても、最初のロンドン情景の描写を読み解くのには、大変時間がかかった。普段ネット小説の異世界転生モノーー毒にも薬にもならない駄文(だからこそ良い)、2・3行ボーっと斜め読みしても行方不明にならないテンプレ展開ーーを読んでるからこそ、1行読んでも情景が浮かばず最初から読み直す、イライラしながら、これを繰り返してゆっくりと読んでいった。次第に文章の呼吸(文字柱のスモッグ「一の型・単なる思いつき!」)がアジャストしてきて、スラスラと最後まで読むことができた。

 

小説は、テムズ川に停泊する船の上で、船乗りマーロウが昔の体験を語るという形式で進む。

モノローグがほとんどなく、マーロウの「」付き独白セリフがほとんどを占めるという、僕はあまり読んだことのないスタイルだった。

モノローグの男以外の人間は、マーロウの話を真剣に聞いている風でもなく、それは語り手と読者の距離感を感じさせた。

 

マーロウは象牙貿易会社の蒸気船船長としてコンゴ奥地に派遣される。

マーロウの目的は、象牙貿易で絶大な権力とカリスマを誇る謎めいた人物クルツが会社の帰還命令を出しても戻ってこないので、彼を英国へと帰還させることだ。

マーロウは、道中で植民地経営の非人道性を目撃しつつ、クルツがどのようにして象牙貿易で巨万の富を築いたのか、どうして戻って来れないのかを知る。

クルツは最後に「恐怖!」という言葉を残して死んでいくが、その姿はまさに文明の裏に潜む闇を象徴しているように感じられた。

 

読みながら私は、クルツの姿を手塚治虫『火の鳥』の一編に出てくる、恋人を村に残して都会で堕落していく青年や、『ドラえもん』の映画に登場する悪役ギガゾンビに重ねていた。純粋さを失い、権力や欲望に取り込まれていく人間像は、時代や文化を超えて普遍的に描かれているのだと思う。

 

この作品が書かれた時代の植民地主義の問題は、今も尾ひれを引いて、昨今の差別と分断につながっていると思う。

しかし、この本を読んで、もうそろそろ次の段階に進んでもいいのでは? と思った。

昨今の海外創作物は、ポリコレ・Wokeの検閲が厳しく、政治的に正しい描写を優先してしまうあまりに、エンターテイメントとしては面白くない・商業的に失敗した作品が目立つ。逆に創作自由度の高い日本の作品が海外でヒットを飛ばしている。

そんな中、海外のアニメファンの中には、「日本が舞台で日本人ばかりが登場して、つまらない。他の地域や人種を登場させないのは差別だ」 という批判を上げる人がいるらしい。

求めるばかりではなく、自分たちで自分たちの抱える不満や理想を創作物にぶつけ、表現すべきじゃないだろうか。

 

コンラッドも、当時はSNSなんてなかったし、自分の中に抱えていた怒りや不満を、こうやって作家になって物語として表現したんだと思う。

 

※文章添削にAIを利用した(チート)。

 

読んだ新訳版。

 

 

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