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限定無料配信中のファンタスティック・プラネットを観た

You Tubeで現在無料公開中の1985年公開のフランスのSFアニメーション「ファンタスティック・プラネット」を観ました。


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カルト的作品で、数々の有名作品への影響が言及されているにもかかわらず、初視聴です。

見る前は、フランスの作品ということで、やたらと哲学的で難しい作品なのでは? と思ってましたが、するっと最後まで視聴することができました。

巨人の宇宙人が支配する架空の惑星を舞台としたSF作品で、人間はペット・害虫化されています。地球でいう人間と蟻の関係で(ペット化されるところから、カブトムシとか? 人によって嫌悪の対象であることも似ている)、現代の動物愛護の精神とも通じる部分があり、今見るとめちゃくちゃ時代を先取りした先進的な作品とかんじます。

 

ヴィジュアルも、今のアニメーションとはかなり様相が違っていて、絵本の挿絵がそのまま動いている感じで、職人技工極まっています。作画枚数を減らす意図で、同じ動きがループしてる感じも、逆に演出として、リズム感が生まれていい感じです。

 

お話の筋書きとしては、被支配階級である人間が、反乱を起こして如何に自治独立を獲得するか、という一大叙事詩です。宇宙人にとっての一週間が人間の一年、宇宙人にとっての一年(この星の季節のめぐりは3つ)が、人間の15年という圧倒的スケール観の違いが面白いです。

宇宙人のやってることは人間そのものを表しているとすると、被支配者の人間への感情移入もすんなりできないし、支配されている側の人間も良いやつばかりではないし、シニカルで、リアリスティックな描写がとても良い。

宇宙人の風俗・習慣の違い、惑星の動植物の意表をつく生態と、別世界で起こっている出来事という感覚がめちゃくちゃ強い。クリエイティブここに極まり。

作風と相まって、動くヴォイニッチ写本という感じ。

とても良かったです。