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原作改変で人が亡くなるということ

今週のお題「元気を出す方法」

なんだろうなー、やるせない気持ちになる事件でした。

事件の経緯は改めて話さなくても良い気がする。有象無象の僕が、PV欲しさにキーワードを散りばめて記事にするのも、なんだかなぁ、って感じだし。でも、こういう原作改変、原作いじめ、原作レイプについては、どこかでまとめておきたい気持ちがあったので、この機会に残しておく。

 

よく言うことだけど、創作には0から1にする仕事、1から10にする仕事、10から無限大にする仕事があると思う。

原作者の仕事が、0から1にする仕事であるとするなら、出版社は1から10にする仕事だろう。そしてメディアミックスは、10から無限大にする仕事だと思う。それぞれがとっても重要な仕事で、優劣はつけられない。

今回の件でいうと最後の10から無限大にする仕事をする陣営が、自分たちの仕事こそ至高とイキった結果のように感じた。

連中は制作に関して、事の起こりである0から1にする仕事の重要性を軽視した。もちろん、沢山の人達が視聴して納得できるようにすることや、メディアの違いを考慮した改変が必要な場面も出てくるだろう。そういう所で発揮されるクリエイティブも存在するが、今回の件でいうと他人のふんどしでとってる相撲ということも理解していないように感じる。

最近アニメのローカライズで、セリフを改変して、自分の主義主張を代弁させて作品意図にない持論を展開するような事件が明るみに出て炎上しているのも、同じ構造なのかなと思う。

 

メディアミックスに及び腰の原作者を口説き落とす文句に、「ファンの期待が」 という言葉があるらしいが、何ファンなのかがわからん。原作ファンは、原作を大事にして欲しいだけだろう。アニメファン、ドラマファン、監督ファンとかなら、別にその原作である必要性はない。

プロデューサーや製作委員会が、スポンサーを募るのに、オリジナルだと注目度が低く、プレゼンしにくいので、大ヒットしている原作であるというお墨付きが必要なのだ。連中の本音は、プロジェクトがすんなり進むように、やりやすい原作が欲しいだけだ。お前ら(原作)の代わりなどいくらでもある、と言う考えだろう。すでに売れている原作で、ファンベースもしっかり出来上がっていて、話題になれば良い。中には原作ファンという熱心な制作陣もいるかもしれないけれど、多くのスタッフが集まって作られている以上、原作者の意思が全体まで行き渡るとは思えない。

 

僕は、原作ありの映像化は、全部お金が欲しい寄生虫達が、原作に群がり利用しているだけだと思っている。映像化に携わる人の中にも、職人気質の人や芸術家もいる、という反論する人は、それなら原作使わずに1から作ればよい。変なプライド持つなら、最初から作れ。貴様らは全員盗人だ。

少なくとも、原作者の人は、自分の作品は自分の分身だ、自分の子供だ、みたいな全部自分でコントロールするみたいな立派な使命感を持たず、自分が管理できる範囲を決めて、あとは委ねる気持ちであれば、今回のような不幸はなかったように思う(我ながら後出しの酷い言い分だ)。スラムダンクみたく、不満ならいつか自分で作れば良いと思う……。今回は、自分が担当した脚本の不出来さと、個人攻撃みたくなってしまったことの後悔の念などがあったのだろうけど……。

アニメ化、TVドラマ化、映画化なんて、お金かかった原作の販促くらいに考えてくれればよかった。改変されてクソになったのなら、それすらネタにして炎上させ、原作コミックスを宣伝すればよかったのに、と思う。現に、自分は今回のことがなければ原作のタイトルを知らなかった。

 

自らの命を絶たなければ、少なくとも原作の完結を「本当の」ファンが愉しむことができたはずだ。死体蹴りのようになってしまうが、こんな無責任な終わり方は誰も望んでいなかっただろうし、この結末がなくては業界が変わらないのだとしたら、と思うと、TVドラマ制作陣にも原作者のどちらの肩も持てない。ブーメランのようだが、匿名性の仮面の下で、好き勝手にお気持ち表明している有象無象の連中にも中指立てたい。正論を振りかざし、誰が悪者なのか探して晒してイイ気持ち。何もかもがクソすぎる。今でもまだ正義を振りかざして、あいつが悪いって言ってるやつ、もっと人が死んでほしいのか。

 

中には大きく原作改変をして「これはコレであり」 とか「原作者は原作を読め」 なんて言われている作品もあるが、今回の件で良くも悪くも(個人的には人が亡くなって初めてきちんと問題になってる時点で悪なんだけど)、原作者の意思に反して、大きく原作を逸脱するような作品作りはなくなって言って欲しいと思う。

一方で、最初から最後まで原作を完璧に再現! みたいな映像化作品を原作読了済みの僕が見たいのか? とも思う。見たいのは、原作が描かれなかった部分の補完、原作では微妙だった表現の改良、原作とは違う魅力などではないだろうか。

 

宮崎駿や押井守みたいに、大きく原作改変してしまって評価されている人もいるし、一概に原作改変しちゃう監督が脚本が悪いとは言えないんだよな。

制作陣側・出版社側が、もっとちゃんと原作者にしっかりヒアリングして、酷い言い方だけど「めんどくさそう」 な感じだったら違う原作を選んで、どうしても自分のクリエイティブ(笑)を発揮したいなら、ちゃんとOKしてくれる原作を選んでくださいな。仕事なんだから、ちゃんと契約結んで、その通りにやりなさいよ、という話じゃないか。