日本語版がついに追加されたDisco Elysium - The Final CutをPC(ウルトラワイドモニター対応!)でプレイしています。
Switch、PS4、PS5版あり。
このタイトルは、2019年に発売したディスコエリジウムに英語フルボイスと新コンテンツを収録した拡張版です。その年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを含む名だたる賞を総なめにしてしまった非常に評価の高い作品でしたが、小規模スタジオ制作のインディータイトルであったこと、当時日本語がなかったことで、日本のメディアの中でもノーマークの作品だったようです。メディアも詳しく知らない作品が「この年のベストゲーム」の栄冠に輝いたことで、この年はかなり混乱したし、数少ない英語ができて遊べた人が「すげー面白いよ!」 ってドヤーしているのを「ぐぬぬ……!」 ってなっていた記憶を思い出します。
ジャンルはRPGですが、いわゆるドラクエやFFのような世界を股にかけ、敵を倒して経験値を得て、装備を強化して、強くなっていくようなシステムではなく、ビデオゲームがなかったころに、ゲーム進行役とプレイヤーが集まって、キャラシートを作成して、会話とダイスロールによって、戦士や盗賊、魔法使いなどの役割分担(ロール・プレイング)して遊ぶというテーブルトークRPGの方に近い作風です。
敵とのコマンドバトルのようなものもなく、会話と散策が主体となりますので、RPGと聞いて、ドラクエやFFのようなものを期待すると肩透かしをくらいますのでご注意を(たぶん、このタイトルが気になって購入検討している人は、前情報調べていると思いますが……)。
どちらかというと、テキストアドベンチャーゲームに近く、見下ろし画面のフィールド散策も行うので、エンカウントバトルのないRPGツクール作品に親しい立ち位置かと思いました。
重厚かつウェットに富んだテキストを楽しむゲームですが、100万ワードにも及ぶテキストは、一般辞書に収録されていない難解英単語を含み、初歩的なフランス語の教養を必要とした内容であったため、日本語化の望みは薄いとされていましたので、ローカライズされたこと自体が驚きでした。
だいたい15時間ほどプレイしての序盤以降のネタバレなし感想となります。
プレイヤーは、自分が何者なのか、どうしてこの場所にいるのか、ここはどこなのか? 一切の記憶を酒とドラッグの過剰摂取によって失ってしまった男です。どうやらプレイヤーは、刑事でホテルの裏に数週間放置された殺人事件を捜査しているようです。
奇妙で不愉快な笑みが張り付いた中年男性がプレイヤーです。テキストアドベンチャーゲームに似ていると聞いて、ギャルゲーのようなものを連想した人、残念!!
プレイヤーには、4つのカテゴリーに分けられた技能(スキル)が存在します。それぞれのスキルは、体力や精神力のゲージを上げる(選択肢・アイテムで増減し、ゼロになるとゲームオーバー)こと、選択肢の成功・失敗判定に使われます。これらを成長させて、事件の真相を明らかにする、あるいは自分がやりたいように生きるというのがゲームの目的となります。
この技能は人格をもっていて、プレイヤーの頭の中で勝手に会話をしだします。時に知恵や警告を与え、狂言回しで混乱させます。このゲームの独特の部分です。
タスク(ミッション)を成功・終了させたり、NPCとの会話で経験値を獲得し、レベルアップして、スキルを伸ばすことで、難しい選択肢を成功させることができますし、スキルのレベルがあがることで、会話の中のスキル人格の露出度が増えていきます。
スキル能力の振り分けが、プレイヤーのロールプレイになっています。
ここで面白いのは、技能が伸びないと、会話の中に彼ら(?)が埋もれたままで、技能の振り分けが違うと全く異なる展開をみせるということです。問題の解決方法には何パターンも用意されているので、プレイヤー毎、周回毎に新しい展開が待っています。
選択肢の中には、ダイスロールによって成否が別れるスキルチェックがあります。
関連スキルを伸ばしたり、直前の会話などで有利な状況に持っていくと成功確率が上昇します。関連スキルをレベルアップさせると再挑戦できるものと一回かぎりのチャレンジしかできないものがあります。
一回かぎりのチャレンジの場合、チェック前にセーブすることは必須ですが、仮に失敗しても、ゲームオーバーにならず、そのまま物語が進むので、ロールプレイに従って、そのまま進める、リセットするすると良いと思います。
ゲームを初めて、10時間くらいは、「すごいゲームかもしれないが、自分に合わないかも」 と感じていました。僕はあまり賢くないので、政治や人種、主義主張が交錯して闇鍋状態になっているこのゲームを遊んでいると、どこにフォーカスしていいのかわからず、混乱状態が続きました。
あれ? この感覚、なにかに似てるな、と思って考えてみると、スカイリムなどのオープンワールドゲームでした。このゲームは、フィールドは広くありませんが、NPCとの会話量は膨大で、一人に半時間程度必要なことはザラにあります。そんなキャラが街のあちこちに居て、どこから手を付けてよいのかわからなくなります。
そんなときは、ジャーナルやマップを開いて、タスクを処理したり、レベルを上げてスキルチェックに再挑戦したりして、どんどんリストを消化させていけば良いとわかって、一気にこのゲームの楽しみ方がわかりました。
もともとPCゲームで、キーボード+マウス操作を前提としたUIのため、パッド操作はクセやバグがあるように感じました。
Lスティックでキャラクター移動しつつ、Rスティックでインタラクト可能なオブジェクトを選択する必要がありますが、何度Rスティックを倒しても選択できない、選択して決定ボタンを押しても反応しない、ということが何度かありました。
メニューUIは、カーソル・ページ移動にスティックとLRボタン、LRトリガーを駆使しなければいけない、自分が苦手とする操作系でしたが、最初こそとっつきにくいものの、不思議と慣れてくれば誤操作しなかったです。
途中まで思考キャビネットの項目の意味が全然わからなかったです。
チュートリアルが充実しているとは言い難いですが、即ゲームオーバーの選択肢も存在しますので、周回プレイ前提の作りなんだと思います。
癖の強い、遊ぶ人を選ぶ作品かとは思いますが、画面から伝わる雰囲気が好きな人、文章好きな人、洋ゲー好きな人におすすめ。3年前に発売したタイトルなので、今購入しなくてもSteamで半額以下のセールをしているときがあります。もともとインディータイトルなので、価格が安いです。正直、このクオリティとボリュームの作品をプレイしていると、日本の1万円近いプライスの大手作品がぼったくりのように感じます。
アートワーク、コンセプト、音楽、ストーリー、脚本、全てが一級品です。
攻略に便利っぽい覚書
アーキタイプ「思想家」は初心者に不向き。体力、精神が共に1なので、選択肢次第で一撃死する(開始20分の洗礼)。
選択肢は手当たり次第に選択しない。相手が怒る、不快に思う、自分が不利になるものもあるため、時に選ばないという選択もする。
セーブはこまめに。会話前、スキルチェック会話後(パッドならスタートボタンでメニューが開く)。
タスク管理のところのスキルチェックの難易度表示があてにならない。難易度:中なのに、成功率3%とか。バグか? スキルレベルを上げる際は、現地へ行ってから、難易度確認したほうがいい。
バールとビニール袋が基本装備。バールは箱から物品を回収でき、ビニール袋は空ビンを回収できる。空ビンはドラッグストアで現金化できる。
マイナス効果のある思考は、21時以降の深夜に行うと、探索の邪魔にならない。
スキップトラベル……あるのか? →スキップトラベル可能なポイントまで移動することで移動可能になる。例:ホテルの前の広場から教会、漁村へ。
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