ElecHead(エレキヘッドと読むらしい! ドヒャーーー、エレクヘッドちゃうんかい! 英語わからん)は、PC向けに販売されているパズルアクションゲームで、洗練されたゲームデザインの巧みさに唸ってしまった作品だ。
このゲームでは、言語は使われず(なんとSteamのストアページの「このゲームについて」ですら文字が使われていない!!! クソカッコいい~!)、操作アクションは図式で、考え抜かれたステージデザインによってプレイヤーの行動を自然と誘導させてしまう。
エレキヘッドとは、おそらく主人公のキャラクターである。彼の目的はどうやら電力が断たれた都市を復旧させることのようだ(このストーリーも言語では説明されない)。発電所を復旧させるため、分断された道を知恵を絞って突き進む。
ネタバレを避けるなら、このゲームの秀逸な点をタイトル画面で説明できる。
この画面は、タイトル画面と同時に、すでにプレイアブルなゲーム内のステージである(なんだろ……こういうの大好き)。
操作方法が右のディスプレイに示されている。
右スティックで移動、Aボタンでジャンプ。スタートボタンでメニューだ。
プレイヤーは、これを見て移動し、ジャンプする。
ジャンプした瞬間、黄色くハイライトされていた地面はブルーになり、ディスプレイが表示されなくなる。しかし、エレクヘッドが地面に着地した瞬間、地面は黄色になり、ディスプレイが点灯する。
ここで、このゲームの一番大切な要素である、エレキヘッドが触ると電気が通じてギミックが作動することがわかる。よく見ると左右の壁は床とつながっていないので、電気が通じていない。
さあ、ここから出るには?
右から出られそうだ。右に進み、ジャンプ。しかし、壁に張り付くが、とどかない。この自発的な行動で、エレキヘッドのジャンプ力と、壁に張り付くことができるというアクションを、チュートリアルなしでプレイヤー自らが起こした行動で、理解させている。
この壁はとどかないのはわかった。
次は?
ぶら下がった鎖のところ、あそこが足場なんじゃないか?
黄色と青の2色で構成されたビジュアルは、一見どこが背景で足場なのかわかりにくいが、実はプレイヤーの行動をうまく誘導している! すごい!
足場に飛び乗り、次の足場へジャンプしていくと、タイトルのEREC HEADの一文字が黄色く点灯していく。やばい……このゲーム、超クールだぞ! ってなる。
以下、若干のステージのネタバレがある。
基本、このゲームのペースはスローである。
自立行動する敵がいないせいもあるが、自分が動いて、オブジェクトに触れないかぎり、ステージは動作することがないからだ。
一撃ミスでチェックポイントに戻ることになるので、じっくり考えて、あるいは手当たり次第に試すといい。リスタートは爆速なので、ストレスを感じない。
途中、頭を投げるアクションが追加される。これによって行動範囲が広がり、パズル要素も多彩になっていく。おどろくべきは、追加アクションは、頭部投げのみである。
そのワンアクションで、これほどたくさんのパターン、驚くようなパズルを考え出したことが凄い。
隠し要素がいくつかあり、それらを全部見つけていないが、クリアにはノーヒントで三時間を要した。短いかもしれないが、僕には十分満足できる、丁度良いボリュームだった。
パズルとして頭を捻ったのは、上記の場面である。特に3つ目はちょっとズルいな、と笑ってしまった。
単純にアクション要素として難しいところ、探索要素で二度手間してしまった場面もあったが、それらもゲームの不備ではなく「用意された楽しい要素」だった。
この傑作にあえてケチをつけるならば、音楽である。
おそらくパズル要素を汲んで、あの曲調になったのかもしれないが、もう少しキャッチーな音楽のほうが(それこそロックマン的な)僕は嬉しかった。あれ? トレイラーの音楽ってステージで使われていたっけ? 特に街に光が灯るエモーショナルなシーンには、もっと相応しいものが用意されていると嬉しかった。
ElecHeadは現在PC向けに発売中。きっとコンシューマ機にやってくるだろうし、このゲームをお手本にして、開発者になっていく人も出てくるはずだ。