前回ネタにした、3ヶ月月額100円キャンペーン中のXbox Games Passでプレイしたホラーアクションアドベンチャーのミディアム(霊媒、仲介者の意味)をプレイしてクリアしましたので、レビューします。
一応、物語の核心的なネタバレは避けていますが、ネタバレの境界は、人それぞれなので、ご自身で判断してください。
このゲームは、ポーランドの会社が開発しており、ポーランドが舞台となっています。第二次世界大戦時のナチスの影響、共産主義時代の負の遺産といった暗い過去の遺物を下敷きに、心霊現象などオカルト要素を絡めたホラーアクション・アドベンチャーです。
ストーリー
主人公は、まだどこか少女の面影のある女性マリアン。頬にケロイド状の火傷のような跡が気になります。彼女は、孤児かつ霊能力者で、幼いときよりその能力のせいで、周囲との軋轢が絶えませんでした。
物語は、唯一の理解者であった、養父の死から始まります。霊能力者である彼女は、物理的な死とともに、死者との対話を通して、養父の魂とも別れを告げるのです。
そんな失意の彼女に、一本の電話がかかってきます。
直感的に、自分の失われた過去につながると感じた彼女は、電話の告げる場所へと向かいます。
プレイフィール・グラフィック
さて、ミディアムのプレイフィールは、初代PS時代のホラーアクション・アドベンチャーの金字塔、バイオハザードを彷彿とします。固定されたカメラが部屋の中を動き回るプレイヤーの位置にそって、瞬時に切り替わります。
さすがにリモコン操作ではないですが、カメラが切り替わるたびに、ステイックを倒していた方向と別アングルに切り替わり、主人公がフラフラと変な挙動になってしまうのは、なんだか懐かしいような、現代にこりゃないわ、って気分になります。懐古主義に浸るには良いかもしれません。
プレイフィールはオールドスクールですが、グラフィックはかなり高水準です。鬱蒼とした森や、不気味な廃墟の情景は、リアルで不気味です。
廃墟マニアには最高じゃないですかね。
システム
このゲームで特徴的な部分は、現実世界と心霊世界の2つを行き来すると同時に、2つの世界が同時に進行していくと言う点です。
まるで007ゴールデンアイやマリオカートの多人数プレイ画面分割のように、2つの世界を別カメラで同時進行にプレイすることができます。
物質世界のオブジェクトを操作することで、心霊世界のオブジェクトが変化、あるいはその逆もあります。
このシステムはかなり斬新で、バリエーションも豊かで、霊体離脱をすることによって、肉体はその場所に留まったまま、扉をすり抜けて別の場所へ移動するもできます。霊体離脱中は、時間とともに魂がすり減っていきます。
イベントシーンでも、普通の人の視点と、霊能力者の視点がそのままシームレスに展開していきます。面白い演出です。
怖さ
もちろん、怖さについて、耐性がある人ない人いますが、僕個人の感想では、あまり怖いゲームではなかったです。
こう……人の怨念が重なって、ゾゾゾ……と来るような恐怖体験では無かったですね。
気持ち悪いとか、そういう感じの方が強かったです。
僕は、ホラーが特別好きって訳ではないので、その点は良かったんですけど、ホラー好きを唸らせるようなホラーではなさそうです。
人をわッ! と驚かせるエセホラーシーンは一箇所くらいしかなかったので、それは良かったです。
また、初見殺しや一撃死の多いゲームなので、リトライ回数が多く、その度に結構長いロードを挟んでしまい、イベントシーンもスキップできず、恐怖が長続きせず、逆にイライラが募ることが多かったです。
こういう部分もなんとか現代的にならなかったのかな、って思いました。
キー配置
これは、日本特有の問題だと思いますが、Aボタンと聞いて、PSコントローラの○ボタンと思ってしまって、Bボタンを誤操作してしまうことが多かったです。
よりにもよって、デフォではBボタンは霊体離脱、霊体離脱解除ボタンで、霊体離脱中にオブジェクトに触れようと思い、霊体離脱解除、元の位置に戻ってしまうというイライラがありました。
キーコンフィグできるので、うまくバッティングしないようにしておくと、スムーズだと思います。
謎解き
古き良きホラーアドベンチャーということで、パズル要素が結構あります。
ほぼ攻略サイトを見ずに、クリアできましたが、一箇所だけどうしても進めないところがありました。
触手の攻撃をバリアで防御するというものなんですが、何度防御しても進まず。持ってくるアイテムの順番があるのかな? とか試行錯誤したんですが、どうしてもクリアできない。もうお手上げで、攻略サイトを見たら、僕の手順で合ってます。オートセーブなので、ちょっとデータを読み直して、プレイしたら、普通に進めました。バグだったようです。
シナリオ評価(ぼかしてますが、一応ネタバレ警告)
イベントシーンだけでは、物語の全体像が見えてこず、道中にあるオブジェクトをサイコメトリーすることで、こういうことなのかな? という漠然としたものが見えてきます。
パズルのピースがきっちり収まったというカタルシスは、個人的には感じられませんでした。わりと伏線はバレバレな感じです。
ラストシーンは驚きました。
霊能力者として、周囲と馴染めず、この世で最も不幸な人間なんだ、と思っていた主人公。でも本当は、自分は恵まれた人間だったんだ、と。
そんなマリアンに、現実の自分をなぞらえて、明日を強く生きようぜ、と思えるラストでした。
ちょっと好みではない部分もありましたが、月額100円でプレイできるレベルのクオリティではないですね。とても良かったです。